令和5年度地震研究所職員研修会報告

研修運営委員会

 令和5年度地震研究所職員研修会を令和6年2月1日(木)~2日(金)の2日間にわたり開催しましたので,ここに報告いたします.

1.研修会の概要

 コロナ禍以前の本研修会は3日間の集合研修でしたが,令和2年度から昨年度までの3年間は2日間のオンライン開催としておりました.昨年5月に新型コロナウイルス感染症が第5類感染症となり対面集合式の会合に対する制限も緩くなりましたが,この3年間で培ったオンライン開催のノウハウを生かし今後のハイブリッド開催につなげたいという思いから,今年度はオンラインに軸足を置きつつ現地会場の運営も行うハイブリット開催の試行という位置づけで開催いたしました.
 昨年度の「技術発表(口頭発表およびポスター発表)」・「外部講師による研修」・「特別講演」の3構成の内,ハイブリッドでの開催が困難と考えられた「ポスター発表」を廃し,代わりに「意見・情報交換会」を導入しました.これらを2日間の日程で開催しました.

 <1日目> 開会式に引き続き,口頭発表(4件),研修報告を行いました.口頭発表ではキャンセルが1件ありましたが,その時間を用いて技術職員の採用に関する意見交換が行われました.続いて地震火山災害予防賞の授賞式(受賞者:東京大学 渡邉篤志氏)と受賞記念講演が行われました.その後,現地会場の参加者もオンラインに移動して意見・情報交換会を行いました.

 <2日目> 初めに西海太介氏(一般社団法人 セルズ環境教育デザイン研究所)による危険生物対策講座(クマ編)を行い,続いて佐竹健治教授(東京大学地震研究所)による特別講演を行いました.昼休みを挟み,午後も西海氏による講座(クマ編の続き,および,触れて危険な植物編)が行われ,最後に地震研究所所長古村教授の講評と本研修会実行委員長の挨拶をもって修了式といたしました.

 本研修会への事前参加申込者のうち,2日間全ての研修に参加をご希望された方は33名で,その内訳は所内16名,学内(地震研以外)1名,他大学16名でした.一部のみご参加いただいた方や,特別講演の聴講を含めると50名以上の方々にご参加いただきました.

2.アンケート回答概要

  研修会では更なる改善を目指して毎年参加者にアンケートをお願いしており,今回は37通の回答をいただきました.ここでは要約してご紹介します.

 問1-2では各研修内容について5段階で評価していただきましたが,概ね高評価をいただきました.その中で今回初の試みであった意見・情報交換会については参考になる情報を得られたとご評価いただきました.一方で口頭発表が少なくて残念といったご意見も複数いただきました.

 問3ではハイブリッド形式の試行についてご意見をお伺いしました.オンライン参加でも問題なかったというご意見をいただいた一方で,発表件数が増えると運営の負担が大きくなるかもしれないといったご指摘もありました.

 問4-5では来年度の参加予定を伺っていますが,7割以上の方に参加をご検討いただいております.一方で発表を予定されている方は2割程度となっております.未定の方も多くいらっしゃいますので,発表をご検討いただければ幸いです.

 問8ではアンケートにご回答いただいた方がどちらの参加形式だったかをお聞きしました.オンライン参加と現地参加がほぼ半々で両方の参加形態の方にアンケートにご回答いただけたものと思われます.

 問9-10では開催形式の要望をお伺いしました.今回のようなハイブリッド開催を望む方が一番多く,ハイブリッド開催の場合はどちらの参加形態を選ぶかという問いに対しては,対面とオンラインが半々となる結果となりました.どちらの形式も良い面があり,参加される方の都合により選択できる形式が望ましいのだと思われます.実行委員会の負担も考慮しつつ,できるだけ多くの方にご参加いただける研修会を目指してまいります.

 問11-15では所外研修先や実習,特別講演について伺い,具体的なご希望を多数ご記述いただきました.来年度以降,頂いたご意見を参考にさせていただきます.

 問16-17では発表の際に気づいた点やその他のご意見等をお伺いしました.多くの方から感謝のお言葉をいただいたほか,アブストラクトテンプレートや運営方法に関して率直なご意見をいただき,深く感謝申し上げます.これらのご意見を参考に,今後もよりよい研修会を目指してまいります.
 アンケートにお答えくださった皆様,ありがとうございました.

3.研修会を終えて

 今年度の研修会も従前どおり野外観測の比較的少ない時期であることを考慮して2月初頭の開催としました.しかし元日に能登半島地震が発生し,その対応業務にあたるための参加や発表のキャンセルのお申し出もありました.そんな中,所内・学内からの参加のみならず,北海道大学,東北大学,秋田大学,名古屋大学,京都大学,高知大学,九州大学,鹿児島大学から20名の参加をいただきました.

 技術発表では,件数は少ないものの,装置開発,観測施設の維持管理,アウトリーチ活動など,多岐にわたる発表をしていただきました.意見・情報交換会では3つのグループに分かれ,それぞれのテーマについて活発な議論が行われました. 所外講師による研修では,昨年度好評を博した西海氏においでいただき,野外の危険生物への対策について講義をしていただきました.野生のクマの増加がニュース等でも取りざたされており時宜にかなった情報提供ができたのではないかと思っております.

 今年度も参加された皆様のご協力もあり,無事に研修会を実施することができました.今回ハイブリッド開催を試行しましたが,今後の研修会においてオンラインと対面をどのように取り入れるかについては引き続き検討を続ける所存です.今までの開催方法のノウハウを生かし,次回以降もより充実したものになるよう,委員一同真摯に取り組んでまいります.

4.謝辞

 本研修会の職員参加につきまして,ご賛同及び格別のご配慮をいただきました各施設長のみなさま,開催期間中の業務につきましてご配慮いただいた所内教員のみなさま,特別講演の依頼を快くお引き受けいただいた佐竹先生,事務手続きや修了証の発行等でご協力いただいた所内職員のみなさまに,委員一同,この場をお借りして心よりお礼申し上げます.この研修会は,専門部会や学会とは異なり,自由に技術や情報共有,問題提起ができる場です.これからも,話題の新旧や分野に気兼ねすることなく,積極的に発表していただければと思います.地震や火山に関わる全国の技術系職員や省庁・研究所職員が普段の業務活動で得られた知識や経験を共有する場として,本研修会が活用されれば幸いです.

5.参考資料


※ 令和5年度 研修運営委員 ※

蔵下 英司(運営委員長) ・ 行竹 洋平(運営副委員長) ・ 浦野 幸子(実行委員長) ・
安藤 美和子(実行副委員長) ・ 西本 太郎 ・ 秋山 峻寛 ・ 橋本 匡 ・ 八木 健夫