海底地震計を用いた2005年8月16日
宮城沖の地震の余震観測

- ヘリコプターによる緊急設置 -

東京大学地震研究所地震地殻変動観測センター
2005年8月22日更新
・2005年8月16日11時46分に宮城県沖で気象庁マグニチュード7.2(暫定値)の地震が発生し,最大震度6弱を記録しました.この地震の発震機構解は西北西方向に傾斜した断層面を持つ低角逆断層型であり,典型的なプレート境界型地震であると考えられています.今回の地震は,発生が予測されていた「宮城県沖地震」の想定震源域内ないしその近傍で発生しましたが,その規模が想定されていたものよりも小さく、政府の地震調査委員会が想定している「宮城県沖地震」ではないとされました.

・東京大学地震研究所では,文部科学省の科学研究費補助金特別研究促進費(代表 長谷川昭東北大学教授)および東京大学総長裁量経費を受けて,今回の地震活動とその地震発生場の特徴を正確に把握するために,震源域近傍において,海底地震計を用いた臨時余震観測を実施することとなりました.

・今回の地震の震源域およびその周辺においては,東京大学地震研究所の光ケーブル式海底地震計3台と,オフラインの海底地震計20台の計23台が地震発生前から設置され,観測を行っていました.この観測ではさらに20点の地震観測点を新規に海底に設置し,詳細な地震活動を把握することが目的です.

・一般的に,余震は時間と共に発生数が減少し,余震域は拡大する傾向があります.そこで,余震観測で設置する海底地震計のうち,5台はなるべく早い時期に設置できるようにヘリコプターを用いて,8月20日に緊急設置しました.なお,設置された5台の海底地震計は,20日12時(日本時間)より,観測を開始しています.

・残りの15台も今後,船舶を用いて設置を行う予定です.
宮城沖の地震の余震観測海底観測点の分布.大きい水色の逆三角形で示す地点にヘリコプターにより海底地震計を設置しました.観測点の記号の下に隠れてしまっていますが,大きい赤い星が宮城沖の地震の震央位置,小さな赤い点がその余震を陸上観測点から決めた震央の位置です.また,陸上にある赤い四角は,陸上地震観測点の位置を表しています.
設置に利用したヘリコプター(8月19日撮影)
ヘリコプターに搭載される海底地震計(8月19日撮影)
投入のためにヘリコプターの中から吊り下げられる直前の海底地震計.オレンジ色の玉は,海底地震計が着水した後に,ワイヤーを切り離す機構のための浮子(8月20日撮影)
ヘリコプターから投入される海底地震計(8月20日撮影)
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