平成新山アピール

 地球誕生からこれまで、地中の熱いマグマが地表に噴出してできる「火山」は数えきれないほどの噴火を繰り返してきました。近年、人間の活動範囲がますます広がり、また火山の恵みを求めることにより生ずる火山と人間、火山と都市の共生が重要な課題となってきています。
 第5回火山都市国際会議の舞台となった日本には、狭い国土の中に108の活火山がひしめき、毎年、複数の火山が噴火しています。特に近年の雲仙岳、有珠山、三宅島の噴火災害は記憶に新しく、300年の眠りについている富士山の噴火や、九州や北海道のカルデラ火山の危険性が大きな関心事となっています。活火山地域のハザードマップ作りや砂防対策など、研究者と行政、地域住民などが共に手を携えた活動が積極的に展開されています。
 このような中、2007年11月19日から5日間、「火山と共生する都市(まち)」づくりをテーマに、学術と行政の共同開催による第5回火山都市国際会議島原大会を行いました。国内外の研究者をはじめ、行政、防災関係者、報道、地域住民などのみなさんが、安全で安心して生活できるまちに生まれ変わった島原に集い、様々な分野の知識や経験、意見の交換を行った結果、次のような幅広い成果が得られました。
  1. 最新の火山学研究の成果について幅広い意見交換がなされ、総合的なリアルタイム観測による火山現象の理解が必要であること。また、噴火の発生や噴火被害に関して、確率的手法を含む定量的な評価が不可欠であり、そのためには国際火山観測所機構のデータベースの構築などが必要であることが確認されました。
  2. 科学者側と防災関係機関からの噴火とそれに関する統合的な情報を危機管理に反映することと、ハザードマップを利用し、将来の災害を考慮した土地利用計画の作成が重要です。また、災害復旧については構造物だけでなくコミュニティーの復旧が不可欠であることが指摘されました。
  3. 科学者、行政、住民、マスメディアがお互いに信頼関係を築きながら災害時だけでなく災害前からそなえることの重要性が指摘されました。また、教育やアウトリーチ活動はその手法が発展してきており、コミュニティーに火山についての自覚を促す有効な手段であることが認識されました。
  4. 今回の国際会議は、研究者や行政・防災関係者に加え、住民も一体となった「住民参加型の国際会議」という新しい形の国際会議を生み出しました。
 私たちは、この5日間で得られた重要かつ有益な論議を生かし、広い視野から世界中の火山災害の軽減に取り組み、関係者の緊密な連携のもと、「火山と共生する都市(まち)」づくりをめざしていくことを、この地において宣言します。
 私たちは、この国際会議が火山とその災害に対する人々の関心を一層高め、連携を促進し、一体となって火山とその災害に向き合い、世界の火山地域の安全と火山の恵みを享受する手がかりとなることを、心から念願するものであります。

                                  2007年11月23日
                                   第5回火山都市国際会議
@Copyright: Cities on volcanoes 5, November 2007
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