■ 研究内容
岩石などの地球化学的試料は、地球の化学的進化や、地球内での物質循環を解明する情報を含んでいる。われわれのグル−プは地球化学的試料の微量元素濃度や同位体比を分析する方法を開発し、それらの情報を読み解くことを目指している。 現在、主に取り組んでいるのは、コア−マントル境界で起こるコア−マントル相互作用を、タングステン同位体トレーサーなどで検証する研究を行っている。地震研究所に設置されているセクター型ICP質量分析計を用いた分析法の開発し、深部からの物質が混入している可能性のある南太平洋の海洋島火山岩などの分析を始めている。 また、ウラン−トリウムなどの放射非平衡を利用して、若い火山岩の生成機構にタイムスケ−ルを付けることも行っている。伊豆島弧の火山試料に適用し、マグマ生成から数万年で噴火にいたっている結果を得ている。この他にも沈み込み帯での物質循環の研究のために、微量元素濃度や同位体比を用いた地球化学的研究を行っている。特に沈み込み物質のトレーサーとなるリチウム・ベリリウム同位体比の分析を行い、物質循環に制約を加える研究を行っている。またレ−ザ−アブレ−ション装置と組み合わせた四重極型ICP質量分析計や、マイクロドリリング装置などを利用して、火山岩の斜長石斑晶などの局所分析法を開発し、マグマ生成時の一次的情報を得ることも行っている。雲仙火山の斜長石斑晶の分析から最近3回の噴火溶岩に含まれる斜長石が同じ起原を持つことを明らかにした。
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