第1回 日本海溝・千島海溝周辺の海溝型地震に関する調査研究運営委員会 議事録
1.日時 平成16年10月6日(水) 13時30分〜16時00分
2.場所 東京大学地震研究所 第2会議室
3.出席者
委員長 本蔵 義守 東京工業大学副学長
委員長代理 金沢 敏彦 東京大学地震研究所地震地殻変動観測センター教授
委 員 海野 徳仁 東北大学大学院理学研究科地震・噴火予知研究観測センター
教授
小原 一成 防災科学技術研究所地震研究情報センター高感度地震観測管理室長
金田 義行 海洋研究開発機構地球内部変動研究センタープログラム
ディレクター
高波 鐵夫 北海道大学大学院理学研究科地震火山研究観測センター助教
長谷川 昭 東北大学大学院理学研究科地震・噴火予知研究観測センター 教授
三浦 哲 東北大学大学院理学研究科地震・噴火予知研究観測センター
助教授(藤本博己教授代理)
宇平 幸一 気象庁地震火山部管理課地震情報企画官
清水 洋 九州大学大学院理学研究科附属地震火山観測研究センター教授
谷岡勇市郎 北海道大学大学院理学研究科地震火山研究観測センター助教授
津村建四朗 財団法人日本気象協会参与
橋本 学 京都大学防災研究所 地震予知研究センター教授
畑中 雄樹 国土交通省国土地理院 測地観測センター国土交通技官
平田 直 東京大学地震研究所地震地殻変動観測センター教授
堀 貞樹 海上保安庁海洋情報部海洋調査課航法測地室主任衛星測地
調査官
オブザーバー西尾 典眞 文部科学省研究開発局地震・防災研究課課長
関口 宏二 文部科学省研究開発局地震・防災研究課技術参与
碓井 勇二 文部科学省研究開発局地震・防災研究課地震調査官
大城 功 文部科学省研究開発局地震・防災研究課
武田 清史 文部科学省研究開発局地震・防災研究課
阿南 恒明 気象庁地震火山部火山課
篠原 雅尚 東京大学地震研究所地殻変動観測センター助教授
酒井 慎一 東京大学地震研究所地殻変動観測センター助手
渡邉 隆夫 東京大学地震研究所事務長
4.議題
T全体計画について
1.「今後の重点的調査観測について(中間報告)」の概要説明 (16-1)
2. 東南海・南海および日本海溝・千島海溝RRに関する概算要求について(文科省)
(16-1)
3.日本海溝・千島海溝周辺の海溝型地震に関する調査研究提案書について(文科省)
(16-1)
U.東南海・南海地震等に関する調査研究−予測精度向上のための観測研究
1.プレート形状等を把握するための構造調査研究
今年度計画およびこれまでの成果報告
2. プレート形状等を把握するための構造調査研究
-平成15年度実施報告— -平成16年度実施報告及び計画案-
3. プレート形状等を把握するための構造調査研究
4. その他
4-1 平成16年度自己浮上式海底地震計による観測履歴と計画
4-2 海溝沿いの海底地殻変動観測
4-3 東南海・南海地域へのGPS連続観測点設置の状況等について
4-4 東南海・南海地震想定震源域における海底地震観測ケーブルシステムの緊急
整備計画(防災科学技術研究所)
V.日本海溝・千島開港周辺の海溝型地震に関する調査研究
1.海溝型地震調査研究運営委員会規約について
2.より正確な地震活動を把握するための海底地震観測研究
2-1プレート境界及びその周辺域の3次元地殻不均質構造の推定
2-2 アスペリティ周辺の地震活動の特性に関する研究
3.過去の地震活動などの調査
4.広帯域高ダイナミックレンジ孔井式地震計の開発
5.その他の調査研究
5-1 平成16年度自己浮上式海底地震計による観測履歴と計画
5.配布資料
・第2回 東南海・南海地震調査研究運営委員会 議事録
・16-1 今後の重点的な調査観測について
(東南海・南海)
16-1-1 プレート形状を把握するための構造調査研究(海洋研究開発機構)
16-1-2 微小地震分布を把握するための海底地震観測研究(東大地震研)
16-1-4 ブイ方式を用いたGPS/音響測距結合方式による海底地殻変動
観測の精度向上のための技術開発-経過報告-(東北大学)
16-1-5 平成16年度自己浮上式海底地震計による観測履歴と計画(気象庁)
16-1-6 海溝沿いの海底地殻変動観測(海上保安庁)
16-1-7 東南海・南海地震地域へのGPS連続観測点設置の状況等について
(国土地理院)
16-1-8 東南海・南海地震想定震源域ににおける海底地震観測ケーブル
システムの緊急整備計画(防災科学技術研究所)
・海溝型地震調査研究運営委員会規則
・改正理由
(日本海溝・千島海溝)
16-1-9 海溝型地震調査研究提案書
16-1-10日本海溝・千島海溝周辺の海溝型地震に関する調査研究(東大地震研)
16-1-11プレート境界及びその周辺域の3次元地殻不均質構造の推定
(東北大学)
16-1-12アスペリティ周辺の地震活動の特性に関する研究(北海道大学)
16-1-13過去の地震活動などの調査(東北大学)
16-1-14広帯域高ダイナミックレンジ孔井式地震計の開発
(防災科学技術研究所)
16-1-15平成16年度自己浮上式海底地震計による観測履歴と計画(気象庁)
議事概要
委員の出欠席ならびに配布資料を確認した。東大地震研・金沢教授より委員会の名称変更について説明がなされ承認された。東京工業大学・本蔵氏が委員長に指名され、委員会により了承された。続いて委員、オブザーバー、事務局の自己紹介が行われた。
1.今後の重点的な調査観測について(文部科学省)
碓井地震調査官より資料16-1に基づき本年度、全国を概観する地震動予測地図が作成されるにあたり、全体的な体制整備の枠組みを整理することとし、その検討結果の中間報告について説明された。また日本海溝・千島海溝周辺の海溝型地震を対象とした重点的な調査観測、および東南海・南海、海溝型地震調査研究等の概算要求と今後の進め方について説明があった。国民にわかる成果発表の方法が求められていることが報告された。
2.プレート形状等を把握するための構造調査研究(海洋研究開発機構)
紀伊半島沖の東西測線に関する構造調査の平成15年度成果について資料に基づき報告がなされた。また、海底地震計を用いた構造調査において,トラフ軸に沿った測線下の暫定的な結果が報告された。また今後の調査計画が説明された。紀伊半島沖不均質構造について質問があり、説明がなされた後、突発災害研究枠を含めた残りの平成16年度の調査計画案が了承された。
3. 微小地震分布を把握するための海底地震観測研究 (東京大学地震研究所)
長期観測型海底地震計を用いた海底地震観測について平成15年度実施状況が資料に基づき報告された。平成16年9月5日に発生した紀伊半島南東沖の地震の自己浮上式海底地震計を用いた緊急余震観測について観測域や解析手順、速度構造、暫定的な震源分布について説明があった。最後に平成16年度の計画が提案された。紀伊半島南東沖の地震の余震観測について質疑応答の後、平成16年度以降の観測計画案について了承された。
4. ブイ方式を用いたGPS/音響測距結合方式による海底地殻変動観測の精度向上のための技術開発−経過報告− (東北大学理学研究科)
初年度である平成15年度の目的が説明され,東北大学及び名古屋大学の取り組みについて,資料に基づき報告があった。また平成16年度の東北大学及び名古屋大学の研究計画として熊野灘、および東北沖の実験について説明がなされた。位置決定精度、音響測距の観測方法等についての質疑応答後、平成16年度の観測計画案について了承された。
5. 平成16年度自己浮上式海底地震計による観測履歴と計画 (気象庁)
平成16年度の実施・予定として南海トラフ周辺(東海沖も含む)における自己浮上式海底地震計を使用した調査観測について(東南海・南海)資料16-1-5に基づき報告された。最後に、平成16年11月末から予定されている潮岬沖の地震調査観測について長期海溝型地震調査による地震観測との連携が議論された。
6. 海溝沿いの海底地殻変動観測(海上保安庁)
キネマティックGPSと音響測距の組み合わせによる海底地殻変動観測の技術開発と海底基準点について説明がなされた。とくに宮城県沖において、海底基準点の変動が計測された可能性について報告があった。
7. 東南海・南海地震地域へのGPS連続観測点設置の状況等について(国土地理院)
東南海・南海地震地域へのGPS連続観測点設置の状況について説明がなされた。また、室戸岬から安芸市間の水準測量の計画、さらに平成16年9月5日の紀伊半島南東沖の地震の発生を受けて、串本から伊勢までの水準測量を行う旨,報告があった。
8. 東南海・南海地震想定震源域における海底地震観測ケーブルシステムの緊急整備計画
(防災科学技術研究所)
観測システムを整備するため、防災科研では相模湾ケーブルシステムを延長し海溝沿いに地震観測点を構築する計画を検討していることについて報告された。既存システムの延長により安価で短工期を実現、プレート内部の状況把握、震源決定の精度等が向上する事などが説明された。
9. 海溝型地震調査研究運営委員会規約について(東大地震研)
東大地震研・金沢委員より(日本海溝・千島海溝)資料16-1-9の「日本海溝・千島海溝周辺の海溝型地震に関する調査研究」実施体制図に基づいて、海溝型地震調査研究運営委員会規約について説明がなされ、質疑応答後、原案通り承認された。
10. より正確な地震活動を把握するための海底地震観測研究(東大地震研)
(日本海溝・千島海溝)資料16-1-10に基づき、千島海溝から日本海溝にかけて発生が予測される地震の震源域、アスペリティ周辺の地震活動を考慮した長期観測型海底地震計による微小地震観測計画案について説明があった。観測対象域が広範囲に渡ってあり、地震活動度は高いので、1年弱の観測を行い、観測域を移動する計画である旨が報告された。その後、平成16年度以降の観測計画案について了承された。
11. プレート境界及びその周辺域の3次元地殻不均質構造の推定(東北大学)
地震発生予測の高度化のために必要なプレート境界及びその周辺域の3次元的構造の解析に関する計画について説明があった。海底地震計で得られたデータから3次元地殻不均質構造の推定、プレート境界で発生する相似地震の解析,解析手法の開発などを計画している旨報告がされた。その後、平成16年度以降の研究計画案について了承された。
12. アスペリティ周辺の地震活動の特性に関する研究(北海道大学)
根室半島沖から福島県沖にかけてのアスペリティと、その周辺の地震活動の調査研究の現状について説明があり、ZMAP解析により、平成15年十勝沖地震ではアスペリティ北東部で地震活動の静穏化が見られたこと等が報告された。それに基づき、長期観測型海底地震観測を実施することによって,より精度の高い地震活動特性の把握が行えるとの研究計画が説明された。質疑応答の後、平成16年度以降の研究計画が了承された。
13. 過去の地震活動などの調査(東北大学)
過去の地震のアスペリティ位置や空間分布の特徴を明らかにする調査研究について説明があった。質疑応答や研究計画に対する意見提出の後、研究計画案が了承された。
14. 広域高ダイナミックレンジ孔井式地震計の開発(防災科学技術研究所)
高精度観測のための新型地震計の開発計画について報告があった。特に、孔井内に設置可能な、高感度加速度計と二種の強震計の開発内容について説明された。その後研究計画が了承された。
15. その他
・気象庁・宇平氏より平成16年5月から7月にかけて行われた宮城県沖の地震調査観測について報告があった。また、紀伊半島南東沖の地震の余震観測を行っている気象庁の自己浮上式海底地震計の回収航海について説明があった。
・国土地理院・畑中氏より日本海溝・千島海溝に面した地域で電子基準点の増設が3年計画で行われることが報告された。
・防災科学技術研究所・小原氏より大都市大震災軽減化特別プロジェクトについて、報告があった。
・海洋研究開発機構・金田氏より気象庁が計画している地震観測と海洋研究開発機構が計画している地震観測について、観測域や時期などの情報交換を行いたいとの意見が出された。