第2回海溝型地震調査研究運営委員会議事録
1.日時 平成18年2月27日(月) 13時30分〜17時30分
2.場所 東京大学地震研究所 第2会議室
3.出席者
委員長 本蔵 義守 東京工業大学副学長
委員長代理 金沢 敏彦 東京大学地震研究所教授
委 員 安藤 雅孝 名古屋大学大学院環境学研究科教授
清水 洋 九州大学大学院理学研究院教授(代理出席:九州大学大学院理学研究院助手 植平賢司)
海野 徳仁 東北大学大学院理学研究科教授
小原 一成 防災科学技術研究所研究企画チームリーダー
金田 義行 海洋研究開発機構地球内部変動研究センタープログラムディレクター
高波 鐵夫 北海道大学大学院理学研究科助教授
谷岡勇市郎 北海道大学大学院理学研究科助教授
長谷川 昭 東北大学大学院理学研究科教授
藤本 博巳 東北大学大学院理学研究科教授
関田 康夫 気象庁地震火山部管理課地震情報企画官
津村建四朗
畑中 雄樹 国土交通省国土地理院測地観測センター国土交通技官
藤田 雅之 海上保安庁海洋情報部海洋調査課航法測地室主任衛星測地
調査官
堀 貞喜 防災科学技術研究所固体地球研究部門総括主任研究員
オブザーバー田所 敬一 名古屋大学大学院環境学研究科助手
日野 亮太 東北大学大学院理学研究科助教授
碓井 勇二 文部科学省研究開発局地震・防災研究課地震調査官
和田 弘人 文部科学省研究開発局地震・防災研究課本部係長
青木 元 仙台管区気象台地震情報官
阿南 恒明 気象庁地震火山部火山課地震調査連絡係長
小河原隆広 気象庁地震火山部地震予知情報課活断層情報係長
田中 昌之 気象庁地震津波監視課調査官
山崎 明 気象庁気象研究所主任研究官
篠原 雅尚 東京大学地震研究所助教授
酒井 慎一 東京大学地震研究所助手
嶋村 政義 東京大学地震研究所事務長
中村 透 東京大学地震研究所研究協力係長
中東 和夫 東京大学地震研究所産学官連携研究員
志賀 恵子 東京大学地震研究所事務局
4.議 題 (資料番号)
T.全体計画について
今後の重点的調査観測について(文科省)
U.東南海・南海地震に関する調査研究−予測精度向上のための調査研究−
1.東南海・南海地震の想定震源域におけるプレート形状等を把握するための構造調査研究(金田)
今年度計画の実施状況,成果の報告 (東南海・南海17-2-1)
2.より正確な地震を把握するための海底地震観測研究(金沢)
今年度計画の実施状況,成果の報告 (東南海・南海17-2-2)
2-1.想定震源域および周辺における地殻構造と地震活動の対比等に関する研究(清水)
今年度計画の実施状況,成果の報告 (東南海・南海17-2-3)
3.GPS/音響測距結合方式による海底地殻変動観測の精度向上のための技術開発
3-1.音速構造トモグラフィ手法を用いたGPS/音響測距結合方式による海底地殻変動観測の精度向上のための技術開発(安藤)
今年度計画の実施状況,成果の報告 (東南海・南海17-2-4)
3-2.ブイ方式を用いたGPS/音響測距結合方式による海底地殻変動観測の精度向上のための技術開発(藤本)
今年度計画の実施状況,成果の報告 (東南海・南海17-2-5)
4.その他の調査研究
気象庁、国土地理院 (東南海・南海17-2-6)
5.その他
V.日本海溝・千島海溝周辺の海溝型地震に関する調査研究
1.より正確な地震活動を把握するための海底地震観測研究(金沢)
今年度計画の実施状況,成果の報告 (日本海溝・千島海溝17-2-1)
1-1.プレート境界及びその周辺域の3次元地殻不均質構造の推定(長谷川)
今年度計画の実施状況,成果の報告 (日本海溝・千島海溝17-2-2)
1-2.アスペリティ周辺の地震活動の特性に関する研究(高波)
今年度計画の実施状況,成果の報告 (日本海溝・千島海溝17-2-3)
2.過去の地震活動などの調査(海野)
今年度計画の実施状況,成果の報告 (日本海溝・千島海溝17-2-4)
3.広帯域高ダイナミックレンジ孔井式地震計の開発(小原)
今年度計画の実施状況,成果の報告 (日本海溝・千島海溝17-2-5)
4.その他の調査研究
気象庁、海上保安庁、国土地理院 (日本海溝・千島海溝17-2-6)
5.その他
5.配布資料
運営委17-2-1 海溝型地震調査研究運営委員会 座席表
運営委17-2-2 海溝型地震調査研究運営委員会 出席者一覧
運営委17-2-3 海溝型地震調査研究運営委員会 議事次第
運営委17-2-4 第1回日本海溝・千島海溝周辺の海溝型地震に関する調査研究
運営委員会議事録(案)
(東南海・南海)
東南海・南海17-2-1········ 東南海・南海地震の想定震プレート形状等を把握するための
構造調査研究
東南海・南海17-2-2 より正確な地震活動を把握するための海底地震観測研究
東南海・南海17-2-3 想定震源域および周辺における地殻構造と地震活動の対比等に関する研究
東南海・南海17-2-4 音速構造トモグラフィー手法を用いたGPS/音響測距結合方式よる海底地殻変動観測の精度向上のための技術開発
東南海・南海17-2-5 ブイ方式を用いたGPS/音響測距結合方式による海底地殻
変動観測の精度向上のための技術開発
東南海・南海17-2-6 自己浮上式海底地震計による観測 (気象庁)
(日本海溝・千島海溝)
日本海溝・千島海溝17-2-1 より正確な地震活動を把握するための海底地震観測研究日本海溝・千島海溝17-2-2 プレート境界及びその周辺域の3次元地殻不均質構造の
推定
日本海溝・千島海溝17-2-3 アスペリティ周辺の地震活動の特性に関する研究
日本海溝・千島海溝17-2-4 過去の地震などの調査
日本海溝・千島海溝17-2-5 広帯域高ダイナミックレンジ孔井式地震計の開発
日本海溝・千島海溝17-2-6 自己浮上式海底地震計観測による宮城県沖の地震活動
宮城沖海域における海底地殻変動観測
議事概要
委員の出欠席ならびに配布資料を確認した。本蔵委員長の下、議事を進行した。
T.今後の重点的調査観測について (文部科学省)
今年度で海溝型地震調査研究の枠組み内での海底地殻変動観測が終了し、今後は構造調査研究、海底地震観測研究、その他を実施していくことが説明された。
今後もテーマ間の連携を図りつつ効率的に成果をあげることが求められていることが説明された。
U.東南海・南海地震に関する調査研究
1.東南海・南海地震の想定震源域におけるプレート形状等を把握するための構造調査研究
(海洋研究開発機構)
平成17年度中に紀伊半島熊野灘沖で稠密反射法探査を行う予定であることが報告された。これまでに得られた海底地震観測と地殻構造探査の結果から、志摩半島沖の沈みこむ海山と地震活動との関係などが説明された。平成18年度は紀伊半島から熊野灘の海陸境界域で海陸統合探査を行う予定であることが説明された。
2.より正確な地震活動を把握するための海底地震観測
2-1.より正確な地震活動を把握するための海底地震観測 (東京大学地震研究所)
平成17年度は23台の長期観測型海底地震計を用い観測継続中であることが報告された。これまでに得られたデータを解析した結果、紀伊水道から紀伊半島沖では地震活動度は低いが、トラフ軸付近にも地震活動が見られることが報告された。今後の課題として精度の良い震源決定のために、海底下の正しい速度構造が必要であることが説明された。平成18年度も引き続き繰り返し観測を行っていくことが説明された。
2-2.想定震源域および周辺における地殻構造と地震活動の対比等に関する研究
(九州大学大学院理学研究院)
平成17年度に回収された長期観測型海底地震計データを検測作業中であることが報告された。紀伊水道で発生する地震の発震機構を調べた結果、プレート形状と発震機構に相関が見られることが説明された。
3.GPS/音響測距結合方式による海底地殻変動観測の精度向上のための技術開発
3-1.音速構造トモグラフィ手法を用いたGPS/音響測距結合方式による海底地殻変動観測の精度向上のための技術開発 (名古屋大学大学院環境学研究科)
平成17年度は熊野灘、駿河湾において繰り返し観測を実施したことが報告された。また名古屋大学、東北大学、海上保安庁がそれぞれ使用しているGPS解析ソフトの比較実験を行った結果、基線長110km以下ではほぼ同じ精度の結果が得られたが、基線長110km以上では精度にばらつきがあることが説明された。それに対しドリフト補正など、詳細な検討を行う必要があるのではないかという意見が出された。
3-2.ブイ方式を用いたGPS/音響測距結合方式による海底地殻変動観測の精度向上のための技術開発 (東北大学大学院理学研究科)
熊野灘での観測において紀伊半島南東沖の地震に伴う変動が海底局で観測されたとが報告された。観測された変動は名古屋大学の海底局で得られた変動とも調和的であることなどが説明された。また、宮城県沖の海底局では2005年宮城沖の地震に伴う変動が見られたが、GPSの精度があまり良くないので今後検討する必要があることが説明された。
4.その他の調査研究
4-1.自己浮上式海底地震計による観測 (気象庁)
紀伊半島南東沖で3ヶ月間にわたり実施された海底地震観測の結果が報告された。解析の結果、1245個の震源が決定されたことが説明された。それに対し、志摩半島沖に沈みこむ海山と地震分布について議論などが行われた。
4-2.南海トラフ沿いのGPS連続観測点設置計画等について (国土地理院)
平成17年度は水準測量を白浜、室戸岬で実施し現在解析中であること、高知県にGPS観測点を設置する予定であることが報告された。平成18年度は、場所は未定であるがGPS観測点2点を設置する予定であることが説明された。
5.その他
なし
V.日本海溝・千島海溝周辺の海溝型地震に関する調査研究
1.より正確な地震活動を把握するための海底地震観測研究
1-1.より正確な地震活動を把握するための海底地震観測研究 (東京大学地震研究所)
平成16年から17年にかけて三陸沖北部において18台の長期観測型海底地震計を用いた地震観測を行い、現在データを解析中であることが報告された。検測の結果、気象庁一元化震源リストにない地震が多数見られることが説明された。また、海底地震観測網下の地殻構造を得るため、平成17年9月に学術調査船白鳳丸を用いて制御震源探査を実施したことが報告された。平成18年度は平成17年度に根室沖に設置した海底地震計の回収と、三陸沖北部への再設置を行う予定であることが説明された。
1-2.プレート境界およびその周辺域の3次元地殻不均質構造の推定
(東北大学大学院理学研究科)
平成17年に実施した三陸沖北部での長期海底地震観測データを検測している途中で、現在までに504個の地震を検測したことが報告された。また、2003年十勝沖地震の余効変動について、GPS解析と相似地震解析によるすべり速度の比較を行った結果、すべり量におよそ2倍の差があることが報告された。この結果については誤差推定など、さらに詳細な検討が必要である事などが説明された。平成18年度は三陸沖北部における観測データと過去に実施された海底地震観測データを用いて三陸沖周辺の3次元地震波速度構造の推定を行う予定であることが説明された。
1-3.アスペリティ周辺の地震活動の特性に関する研究 (北海道大学大学院理学研究科)
平成17年に実施した三陸沖北部での長期海底地震観測のデータは、現在検測中であることが報告された。関連した研究として、2004年釧路沖の地震後の観測、根室沖での海底地震観測、十勝沖での構造探査などが報告された。解析の結果、釧路沖ではプレート境界に低角逆断層型の地震が見られること、根室沖の観測の結果想定震源域内では地震の活動度が低い事などが説明された。それに対し構造探査で得られたプレート境界と地震分布についての議論が行われた。
2.過去の地震活動などの調査
(東北大学大学院理学研究科)
平成17年度も引き続きすす書き記録の保存作業を実施し、国立天文台(水沢緯度観測所)の記録については1920枚、東京大学地震研究所筑波観測所の記録については2700枚、合計4620枚の記録の保存作業が終了したことが報告された。また、すす書き記録を用いた過去の宮城沖地震について震源再決定の結果、1937年の地震はプレート内地震の可能性があることが説明された。平成18年度も引き続き保存作業を行っていくことが説明された。
3.広帯域高ダイナミックレンジ孔井地震計の開発 (防災科学技術研究所)
平成17年度は広帯域・大振幅の地震動を記録するための広帯域高ダイナミックレンジの新型高感度加速度計を試作し、確認試験、調整を行っていることが報告された。平成18年度は安定性の向上をはかる予定であることが説明された。
4.その他の調査研究
4-1.宮城県沖における海底地殻変動観測 (海上保安庁海洋情報部)
2005年8月宮城沖の地震に伴う海底局の変動が報告された。また、計測機器のバイアス補正を行うことで、解析誤差が軽減されることが説明された。
4-2.日本海溝・千島海溝沿いのGPS連続観測点設置計画について (国土地理院)
平成17年度設置予定のGPS観測点6点のうち5点は設置済み、残り1点については平成18年3月に設置予定であることが報告された。平成18年度については観測点数は未定であるが東北地方にGPS観測点を設置予定であることが説明された。
4-3.自己浮上式海底地震計観測による宮城県沖の地震活動 (気象庁)
平成17年度は想定宮城県沖地震の震源域において海底地震計を用いた観測を3ヶ月間実施したことが報告された。データ解析の際には、同時期に観測を行っていた東北大学の海底地震計データと統合処理を行い、陸上観測点だけでは得られなかった、精度の良い震源分布が得られたことが説明された。平成18年度も観測を継続していくことが説明された。
5.その他
なし
W.その他
・海底地殻変動について
文部科学省より、これまで3年間の海底地殻変動観測で得られた成果を、成果報告書とは別に、纏める必要があることが説明された。
・成果報告書について
5月30日に最終版を提出する予定だが、詳しくは後日連絡されることが説明された。