2回 海溝型地震調査研究運営委員会 議事録

 

1.日 時  平成20314日(金) 1330分−1730

 

2.場 所  東京大学地震研究所1号館 会議室

 

3.出席者

委員長   本蔵 義守 東京工業大学副学長 

委員長代理 金沢 敏彦 東京大学地震研究所教授

委 員   海野 徳仁 東北大学大学院理学研究科教授

小原 一成 防災科学技術研究所地震研究部副部長

金田 義行 海洋研究開発機構海洋工学センター海底地震・津波ネットワーク開発部部長

高波 鐵夫 北海道大学大学院理学研究院教授

日野 亮太 東北大学大学院理学研究科教授(長谷川昭 東北大学大学院理学研究科教授 代理)

清水 洋  九州大学大学院理学研究院教授

田所 敬一 名古屋大学大学院環境学研究科教授

谷岡勇市郎 北海道大学大学院理学研究院教授

藤本 博巳 東北大学大学院理学研究科教授

津村建四朗 地震予知総合研究振興会地震防災調査研究部副首席主任研究員

上垣内 修 気象庁地震火山部管理課地震情報企画官

中川 弘之 国土地理院測地観測センター国土交通技官・地震調査官

平田 直  東京大学地震研究所教授

堀 貞喜  防災科学技術研究所地震研究部部長

オブザーバー瀬戸 博巳 文部科学省地震・防災研究課地震調査官

大野 貴博 文部科学省地震・防災研究課インターンシップ生

白土 正明 気象庁地震火山部地震津波監視課調査官

田中 昌之 気象庁地震火山部地震予知情報課調査官

西脇 誠  気象庁地震火山部地震予知情報課調査官

山崎 明  気象庁気象研究所地震火山研究部主任研究官

斉藤 伸二 気象庁仙台管区気象台技術部地震火山課主任技術専門官

田中 宏樹 気象庁仙台管区気象台技術部地震火山課現業班員

植平 賢司 九州大学大学院理学研究院助教

田原 道崇 九州大学大学院理学研究院産学官連携研究員

篠原 雅尚 東京大学地震研究所教授

酒井 慎一 東京大学地震研究所教授

中塚 数夫 東京大学地震研究所事務長

根岸 恒夫 東京大学地震研究所研究支援チーム係長

中東 和夫 東京大学地震研究所産学官連携研究員

桑野亜佐子 東京大学地震研究所産学官連携研究員

志賀 恵子 運営委員会事務局

 

4.議 題                                                                                                                         (資料番号)

T.全体計画について(文部科学省)

 

U.海底地殻変動観測の高度化(報告)

0.海底地殻変動観測将来計画素案                                                             (海底地殻変動19-2-0

1.セミリアルタイム海底地殻変動連続観測に向けたシステム開発                   (海底地殻変動19-2-1

2.海底GPS観測システムにおける繰り返し測位精度の向上と広域多点観測の推進

                                                                                                                (海底地殻変動19-2-2

V.東南海・南海地震に関する調査研究−予測精度向上のための調査研究−

1.プレート形状等を把握するための構造調査研究

今年度成果の報告、および5ヵ年の成果のまとめ                               (東南海・南海19-2-1

2.より正確な地震活動を把握するための海底地震観測研究

今年度成果の報告、および5ヵ年の成果のまとめ                                  (東南海・南海19-2-2

2-1.想定震源域および周辺における地殻構造と地震活動の対比等に関する研究

今年度成果の報告、および5ヵ年の成果のまとめ                (東南海・南海19-2-3

3.その他の調査研究(報告)

気象庁、海上保安庁、国土地理院、防災科学技術研究所                   (東南海・南海19-2-4

4.その他

 

W.日本海溝・千島海溝周辺の海溝型地震に関する調査研究

1.より正確な地震活動を把握するための海底地震観測研究

今年度計画実施状況および成果の報告、来年度計画の概要                                               

                                                                                                                                          (日本海溝・千島海溝19-2-1

1-1.プレート境界及びその周辺域の3次元地殻不均質構造の推定

今年度計画実施状況および成果の報告、来年度計画の概要                                

                                                                             (日本海溝・千島海溝19-2-2

1-2.アスペリティ周辺の地震活動の特性に関する研究

今年度実施状況および成果の報告、来年度計画の概要                                       

                                                                             (日本海溝・千島海溝19-2-3

2.過去の地震活動などの調査

今年度実施状況および成果の報告、来年度計画の概要          (日本海溝・千島海溝19-2-4

3.広帯域高ダイナミックレンジ孔井式地震計の開発

今年度実施状況および成果の報告、来年度計画の概要          (日本海溝・千島海溝19-2-5

4.その他の調査研究(報告)

気象庁、海上保安庁、国土地理院、防災技術研究所               (日本海溝・千島海溝19-2-6

5.その他

X.その他

 

 

5.配布資料

運営委19-2-1 海溝型地震調査研究運営委員会 座席表

運営委19-2-2 海溝型地震調査研究運営委員会 出席者一覧

運営委19-2-3 海溝型地震調査研究運営委員会 議事次第

運営委19-2-4 平成19年度第1回海溝型地震調査研究運営委員会議事録()

(海底地殻変動)

海底地殻変動19-2-0 海底地殻変動観測将来計画素案

海底地殻変動19-2-1 セミリアルタイム海底地殻変動連続観測に向けたシステム開発

海底地殻変動19-2-2 海底GPS観測システムにおける繰り返し測位精度の向上と広域多点観測の推進

(東南海・南海)

東南海・南海19-2-1 プレート形状等を把握するための構造調査研究

東南海・南海19-2-2 より正確な地震活動を把握するための海底地震観測研究

東南海・南海19-2-3 想定震源域および周辺における地殻構造と地震活動の対比等に関する研究

東南海・南海19-2-4 自己浮上式海底地震計による観測(平成19年度の実績と平成20年度の計画)              (気象庁)

海底地殻変動観測の効率化と平成19年度の観測実施状況   (海上保安庁)

南海トラフおよび日本海溝・千島海溝沿いのGPS連続観測点設置等について             (国土地理院)

四国における構造探査実施報告                             (防災科学技術研究所)

(日本海溝・千島海溝)

日本海溝・千島海溝19-2-1 より正確な地震活動を把握するための海底地震観測研究

日本海溝・千島海溝19-2-2 プレート境界及びその周辺域の3次元地殻不均質構造の推定

日本海溝・千島海溝19-2-3 アスペリティ周辺の地震活動の特性に関する研究

日本海溝・千島海溝19-2-4 過去の地震活動などの調査

日本海溝・千島海溝19-2-5 広帯域高ダイナミックレンジ孔井式地震計の開発

日本海溝・千島海溝19-2-6 自己浮上式海底地震計による観測(平成19年度の実績と平成20年度の計画)   (気象庁)

南海トラフおよび日本海溝・千島海溝沿いのGPS連続観測点設置等について    (国土地理院)

 

「東南海・南海等海溝型地震に関する調査研究」研究委託業務の成果報告書の作成について

                                                                         (文部科学省研究開発局 地震・防災研究課 担当)

 

議事概要

委員の出欠席ならびに配布資料を確認した。本蔵委員長の下、議事を進行した。

 

T.全体計画について(文部科学省)

 

計画の一部である東南海・南海については最終年度であることの確認と、成果報告書の作成方法および締め切りについての説明があった。

 

U.海底地殻変動観測の高度化(報告)

 

0.海底地殻変動観測将来計画素案                                                   (東北大学大学院理学研究科)

海底地殻変動観測の30年後を見据えた長期ビジョンについて説明された。3年後までには現行のシステムによる海溝沿いでの地殻変動の検出および測位精度向上・観測の効率化を、10年後までに解析手法の高度化と観測の広域化による2次元でのプレート間固着状態のマッピングおよび準リアルタイム観測手法の開発、15年後までにプレート間固着状態の2次元マッピングの精密化とイベントに応じた地殻変動観測の評価などを行うことが説明された。

 

1.セミリアルタイム海底地殻変動連続観測に向けたシステム開発          (東北大学大学院理学研究科)

平成19年度の成果について、配布資料に基づいて説明された。海底地殻変動観測の課題としての音速場補正についての新しい観測方法の提案がなされ、またケーブル接続のための自律観測システムの開発、より安定に係留するための筒型ブイの作製、短基線海底間測距装置の分岐断層への設置・長期観測などの機器・システム開発についての説明があった。また、宮城県沖での定期観測を実施し、バックスリップによる予測と調和的な結果が得られたことが報告された。

 

2.海底GPS観測システムにおける繰り返し測位精度の向上と広域多点観測の推進

                                                                                                (名古屋大学大学院環境学研究科)

平成19年度の成果として、熊野灘と駿河湾での繰り返し観測の実施状況とその解析結果について報告された。また、高精度リアルタイム観測・解析手法の開発を目的として、海中音速構造の時間変化測定・海中音速構造の空間変化を考慮した数値実験、音響トモグラフィ型測距装置・高速度型音響測距船上局の開発、Real Time Kinematic測位実験を実施したことが説明された。平成20年度は広域・多点観測の推進を目指し、熊野灘の2点、遠州灘の1点、駿河湾の2点で観測を実施する予定であること、セミリアルタイム観測・解析手法の開発を行うことが報告された。

 

V.東南海・南海地震に関する調査研究−予測精度向上のための調査研究−

 

1.東南海・南海地震に関する調査研究                                                           (海洋研究開発機構)

これまでに実施した構造探査の成果のまとめについて配布資料に基づいて説明された。すべり特性の変化する東南海・東海震源域境界付近では、沈み込む海洋性地殻の形状が変化していること、低周波地震が海洋性地殻内および上部マントル内で発生していることが報告された。また、熊野海盆外縁のすべり集中域に発達する分岐断層深部には低速度帯が存在することが報告された。南海・東南海地震震源域では定常的な地震活動が静穏であるが、その境界では横ずれ断層に沿った地震活動があることが報告され、了承された。

 

2.より正確な地震活動を把握するための海底地震観測研究                         (東京大学地震研究所)

平成19年度の観測実施状況とこれまでの成果のまとめについて報告された。東南海・南海地震の断層境界に当たる潮岬沖では、海洋性地殻から上部マントルにわたる深さで陸域から海溝軸まで連続的に地震が発生していたこと、南海地震側では海洋性地殻下マントル内上部での地震活動が活発であったこと、東南海側ではより深部までのマントル内で広い範囲での地震活動が見られたことと、これらのことから、沈み込むフィリピン海プレートの形成過程による構造不均質に起因している可能性があることが報告され、了承された。

 

 

 

2-1.想定震源域および周辺における地殻構造と地震活動の対比等に関する研究

                                                                                                                  (九州大学理学研究院)

平成19年度の成果として、地震波速度構造推定、応力場推定の結果について報告された。200411月から20076月までの観測記録を使って、3次元速度構造を推定した結果、顕著なマントルウェッジは見られず、相対的に高速度な領域で地震が発生していることが報告された。また応力テンソルインバージョンによる応力場推定の結果、島孤地殻側で東西圧縮、沈み込む海洋性地殻側で東西張力となりプレート境界の浅部と深部と異なる応力場であったことなどが報告され、了承された。

 

3.その他の調査研究(報告)

 

3-1.自己浮上式海底地震計のデータを用いた震源決定                                                     (気象庁)

平成19年度の宮城県沖重点的調査観測、三陸沖の調査観測のための海底地震計設置状況について配布資料に基づいて説明された。また、平成20年度は双方の領域で5月から7月と7月から11月の2回にわたって観測を予定していることが説明された。

 

3-2.潮岬沖海域における海底地殻変動観測                                                               (海上保安庁)

資料配布のみ

 

3-3.南海トラフ沿いのGPS連続観測点設置計画等について                                        (国土地理院)

平成19年度は紀伊半島と四国半島東部でのGPS観測点設置し、運用開始に向けての調整中であることが報告された。また、平成1910月〜11月には高知県において水準測量が実施されたことが報告された。

 

3-4.防災科学研究所

四国西部において、深部低周波微動の発生域周辺の詳細な地殻構造およびフィリピン海プレートの形状を明らかにする目的で、平成2034日、5日に発破を用いた人工地震探査を実施したことについて報告された。

 

4.その他

なし

 

W.日本海溝・千島海溝周辺の海溝型地震に関する調査研究

 

1.より正確な地震活動を把握するための海底地震観測研究                          (東京大学地震研究所)

平成19年度は、平成18年度に設置した三陸沖北部の海底地震計42台を回収し、三陸沖に49台設置したことが報告された。これまでの成果として、根室沖での観測については、根室沖西側には地震活動の低い領域が存在すること、根室沖と十勝沖の境界付近で等深線の方向が変化していることなどが報告された。また、三陸沖北部で回収された記録を用いた震源決定の結果から、1968年十勝沖地震アスペリティの北縁でプレート境界面のディップ角が変化していたこと、同アスペリティ付近ではプレート境界面付近で活動が低調だったことなどが報告された。平成20年度は福島県沖・茨城県沖において海底地震計49台を設置し観測を行うことが説明され、了承された。

 

1-1.プレート境界及びその周辺域の3次元地殻不均質構造の推定     (東北大学大学院理学研究科)

平成19年度の成果として、沈み込む海洋性地殻に対応する低速度層が深さ100km程度まで検出されたこと、前弧域での島弧地殻の厚さは30km程度、日高衝突帯では40km近くであること、根室半島沖・十勝沖地震は島弧地殻−海洋性地殻の境界で発生していたこと、2004年釧路沖地震はマントルウェッジ−海洋性地殻境界で発生していること、マントルウェッジ内の地震波速度には顕著な低速度異常はみられなかったことなどが報告された。三陸沖における小繰り返し地震の解析結果としては、大地震の余効すべり等の擾乱により小アスペリティでは普段と異なるイベントが発生することなどが報告され、了承された。

 

1-2.アスペリティ周辺の地震活動の特性に関する研究                     (北海道大学大学院理学研究科)

平成19年度の成果として、根室沖、三陸沖北部における地震活動の特徴の検討およびZ値の推定と時間変化についての考察を行ったこと、三陸沖北部の観測記録について海底地震計のみで検知された地震の検出を行っていることが、配布資料に基づいて説明された。平成20年度は引き続きアスペリティ周辺での地震活動特性調査を行うことが説明され、了承された。

 

2.過去の地震活動などの調査                                                         (東北大学大学院理学研究科)

平成19年度の成果として、すす書き記録の選別の進捗状況、すす書き記録による1933年三陸沖地震の再検討を行った結果について報告された。また、すす書き記録のデータ提供を踏まえた画像処理法の改善などが報告され、了承された。

 

3.広帯域高ダイナミックレンジ孔井式地震計の開発                                            (防災科学研究所)

平成19年度は前年度から行っている長期観測を続行し、他の地震計との比較データを取得したこと、試作機は長期安定稼動していたこと、地動雑音の記録も時間領域では既存の地震計と遜色ない記録が得られていたことが報告された。平成20年度は試作機について総合的な性能評価を行うこと、横孔における長期観測を継続し、長期稼動したときの挙動を確認すること、他の地震計との並行観測データを取得すること、強震計については小型高精度振動台による加振によって感度の確認を行うこと、試験観測データと他の地震計データ等との比較を行い、試作した地震計の性能に関する総合評価を行うことが報告され、了承された。

 

4.その他の調査研究(報告)

 

4-1.自己浮上式海底地震計による観測(平成19年度の実績と平成20年度の計画)              (気象庁)

平成19年度は宮城県沖の宮城県沖で12台、三陸沖で6台のOBSを平成19427日から621日まで設置し観測を実施したこと、宮城県沖ではOBS11台を平成1971日から1021日まで設置し観測を実施したことが報告された。平成20年度は宮城県沖・三陸沖で5月から7月及び7月から11月の2回の観測を予定していることが報告された。

 

4-2.日本海溝・千島海溝沿いのGPS連続観測点設置等について                                (国土地理院)

平成19年度は青森県に1点、岩手県に4点、福島県に2点、茨城県に1点のGPS観測点を設置し運用を開始し、宮城県仙台市から牡鹿半島にかけての水準測量を平成197月から9月にかけて実施したことが報告された。観測結果は平成1911月の地震予知連絡会で報告されたと説明があった。平成20年度も同様の観測を予定していることが報告された。

 

5.その他

なし

 

X.その他

・ 平成19年度第1回海溝型地震調査研究運営委員会議事録()が承認された。

平成20年度の委員について 東北大学長谷川教授が平成19年度で定年退職のため、日野教授に交代することが説明され、了承された。

文部科学省より、平成19年度で東南海・南海の業務が終了するため、5ヵ年全体の成果のまとめを作成することが要請された。