今までの研究


1989.3. 修士論文「波面を使った走時解析」

 地震学において、震源決定や震源過程そして地球内部構造など様々な場面で 用いられる走時計算方法は、波線追跡法が主である。しかし、この波線追跡法は 速度構造の微小な変化に敏感すぎるため、構造によっては走時を計算できない場合 がある。さらに、求めた走時が初動走時である保証を得にくいなど、いくつかの 欠点がある。
 そこで、速度構造の複雑さによらず安定に初動走時を得ることのできる 計算方法を新たに開発し、「波面伝播法」と名付けた。これは、波線ではなく 波面に注目し、ホイヘンスの原理を基にして時事刻々の波面の位置を計算する ものである。そのため、1度の計算で対象領域のすべての地点の走時を求める ことができる。

1992.3. 博士論文「2次元および3次元速度構造における 地震波走時の新しい計算方法 ー波面伝播法ー 」

 修士論文における「波面伝播法」は2次元構造の走時計算をするもの だけであったが、これを拡張し以下の計算を可能にした。
  • 2次元構造における後続波(反射波・変換波など)の走時計算
  • 2次元構造における波線経路の計算
  • 2次元構造における振幅計算
  • 3次元構造における走時計算
  •  これらの精度と計算時間を、解析解や他の類似の方法(Vidale,1988など)と 比較している。
     さらに、この手法の応用例として、日本列島周辺域の3次元不均質速度 構造における計算走時と観測走時の比較から、観測走時の残差異常における 沈み込むスラブ(太平洋プレートとフィリピン海プレート)の影響を調べ、 これまでの3次元トモグラフィの結果の妥当性を考察した。 3次元不均質速度構造での震源決定や3次元不均質速度構造解析の逆問題の 解法の可能性についても言及している。

    最近の話題

  • 1996.02.15  栃木県西部地域(足尾)直下で観測された低周波地震

  • 1996.01.07  地震計がとらえた隕石落下による衝撃波

  • 1995.10.04  伊豆半島東方沖の群発地震活動期に観測された低周波地震

  • 1995.04.01  新潟県北部地震の余震分布


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