ERI Zengaku Zemi
レーザーで地震を測る
新谷 昌人

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レーザーはふつうの光とは異なり、波の山・谷(位相)が良くそろった人工の光です。この性質をうまく使うと、わずかな地面の動きを極めて高い精度で観測することができます。

レーザー光の波長を極限まで安定化させて、13桁の精度を持つ「光のものさし」を開発しました。これは地球と太陽の距離を約1cmの誤差で決めることができる精度に相当します。このレーザーを使って地下1000mの神岡鉱山のトンネルで地面のひずみの観測を続けていたところ、従来観測できなかった遠地地震の断層運動に伴う地殻変動を正確に観測することができました。震源や地下構造の研究に応用できます。

光を使った計測は、装置の小型化や耐環境(高温・宇宙放射線下)に有利です。観測井に設置できる小型地震計は、火山近傍や海底下の深部観測など高温環境での地震観測を可能にします。また、地震計をさらに小型化・長周期化して、惑星探査(火星)に用いる計画を進めています。火星大気によって起こる火星全体の震動を検知して、内部の構造そして火星の生い立ちの解明につなげていきたいと考えています。