ERI Zengaku Zemi
地震をおこす実験:cmスケールから100mスケールまで
中谷 正生

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1960年代に地震の正体が岩石の急激な滑りであることがわかり,地震発生の力学の研究がスタートした.室内実験で調べられた岩石の摩擦や破壊の特性にもとづいて,地震の繰り返し,余震,前駆滑りなどのやや複雑な現象までが説明できるようになっている.講義では,摩擦や破壊そのものの基礎的なメカニズムにも踏みこんだ,われわれの音波透過による摩擦強度モニタの話題をとりあげる.一方で,室内実験には,試料サイズの制限から,地震を自然な形で停止させることが困難だという大きな弱味 (地震の大きさは,滑りがいつ止るかで決る.) がある.そこでわれわれは,鉱山の大規模な採掘活動をいわば巨大な圧縮試験機として利用して,数百メートルまでの範囲におよぶさまざまな大きさの地震をおこす実験を南アフリカの地下3kmで行っており,その成果も紹介する.