ERI Zengaku Zemi
日本列島の形成と地震
佐藤 比呂志

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 日本列島で近年多発した大規模な内陸地震の調査や、地殻構造探査・地質学的な調査によって、地震を発生させる断層の多くが長い地質学的なプロセスによって形成されてきたことが明らかになってきました。とくに、3千〜2千5百万年前に始まる日本列島の移動・回転を伴った日本海の形成は、現在に繋がる日本列島の構造に大きな影響を与えています。例えば、日本海沿岸ではこの時期に地殻の伸張によって形成された断層が、現在の圧縮応力場によって逆方向に活動しています。こうした断層が形成されたプロセスを考慮することによって、地震にともなう強震動を予測する上で欠かせない、震源断層の形状や長さについて重要な情報が得られます。

講義では反射法地震探査とよばれる、地下に弾性波を投射してその反射によってよって得られた地殻断面のイメージを紹介しながら、震源断層の形状や形成を日本海形成時からの日本列島形成史の中で議論します。