ERI Zengaku Zemi
海の底から地震をみる
篠原 雅尚

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日本周辺では、規模の大きな地震が発生します。その多くは海溝付近で発生しており、これらは海溝型地震と呼ばれています。海溝型地震の発生は、海洋プレートの沈み込みと直接関連しており、その詳細を明らかにするためには、海溝型地震の震源付近、すなわち海溝近くのプレート境界付近における正確な地震活動の把握や高精度構造調査が本質的です。それには、研究対象近傍である海底で観測を行う必要があります。この観点から、25年ほど前から、自己浮上式海底地震計の開発が始まりました。当初は数週間程度の短期間の観測でしたが、その後、観測期間が1年以上と長期化し、観測帯域がより広い高性能の地震計も搭載できるようになりました。この高度化に伴い、研究対象も、遠地地震の記録を使うことにより、マントルなどの深部構造に拡がりました。

講義では、現在の自己浮上式海底地震計について説明すると共に、海域地震観測から得られた最新の研究成果を紹介します。また、海底のボーリング孔を使った観測や、海底ケーブルを利用したリアルタイム観測などの最新の海域観測システムについても、紹介します。