試験:7月24日 16:50−18:20

以下のものは持ち込み可です:

手書きのノート,プリント(講義で配ったもの),電卓


試験正解:


[第1問]


[第2問]


[第3問]

(1) (A)図・説明より,プレート運動の方向に5%の(法線)歪み(e)が,t=50Ma (=5x10^7year)かけて形成されたことになる.従って歪み速度は

e/t = 0.05 /(5x10^7year) = 10^-9 year (10^7 は10の7乗を示す)

1year = 365x24x60x60sec =3.1536x10^7sec ( ( πx10^7 sec と約しても良い)より,

e/t = 10^-9/(3.1536x10^7sec) = (1/3.1536)x10^-16 [sec^-1] ~ 3.2x10^-17[sec^-1]

(注1: 断列帯にそっては,両側でプレートはつながっているので変位は起きない.ここで生じている歪みは,図のさらに右側に沈み込み帯があり,スラブプルの力などでプレートが引っ張られて伸びたためと理解するのがよい).

(注2: このようなプレート内の変形は,(B)のプレート境界の変形(歪み)に較べて小さいのが普通)

(B)図に与えられたように,トランスフォーム断層の破砕帯80kmの間で,1年間に40mmの変位が起きる.従って1年間に生じる(純粋)剪断歪みは

e = 0.5 x 40mm/80km = 0.25x10^-6 [歪みは無次元量]

これが t=1年 で生じるのだから,歪み速度は

e/t = 0.25x10^-6 / (3.1536x10^7sec) = (0.25/3.1536) x 10^-13 = 7.9x10^-15 [sec^-1]

(2) (A)で生じているのは,一様にプレート成長方向に伸びている法線歪みであり,(B)で生じているのは純粋剪断歪みである.

(注: (A)の法線歪みも座標軸を回転することで剪断歪み成分を持たせることは出来るが,純粋剪断歪みだけにすることは出来ない)


[第4問]

(A)(1) プレートとは,

(力学的) 地球の最表層100km程の部分で,その下のアセノスフェアに較べて硬く,ほとんど内部で変形を起こさずに剛体としてふるまう.リソスフェアと同義語.

(熱的) 対流を起こしているマントルの上側の熱境界層にあたり,熱伝導により地球内部の熱を放出している.

(物質的) 地殻とマントルの最上部を合わせたもの.地殻は,マントルが一旦融けてさらに固化して出来たもので,物質的にマントルと異なる.一方,リソスフェア(プレート)とアセノスフェアの境目は,物質的な違いでなく,力学的な性質の違い(地質学的時間スケールでの硬さ)による)

(2) 海洋底の水深は,その年齢の平方根に比例して深くなる.

その原因は,海嶺で出来たプレートが年を取るにつれ冷却していき,熱収縮により密度が大きくなる事による.アセノスフェアのうえを,海水をその上に乗せたプレートが浮いているというアイソスタシーの考えを考慮に入れつり合いを考えると,重い(密度の大きい)古いプレートの上には,軽い海水の層が厚くなることが要請される.水深が年齢の平方根に比例するのは,プレートの厚さがやはり年齢の平方根に比例することに起因する.

(B)(1) 

中央海嶺(海洋地殻の生成):  プレートの発散境界に存在する.

島弧(島弧地殻・大陸地殻)の生成: 収束境界(=沈み込み帯)

ホットスポット:  プレート境界以外のところにある,孤立した火山(ハワイ,アイスランド...)

(注: ホットスポットは陸上にもあります.アメリカのイエローストーン等)

(2) ホットスポットは地表に20個以上あるのが知られているが,その相対的な位置関係ははプレート運動に較べて,ほとんど変わらない.またホットスポットは,マントル深部に根を持つ(プルーム)と考えているが,マントル深部の運動速度はプレートの運動速度よりだいぶ小さいと考えられている.これらのことから,ホットスポットはマントル深部に固定されていて,ほとんど動かないものと仮定して,ホットスポットを基準としたときの個々のプレートの運動を,プレートの絶対運動と呼ぶ.

現在のプレートの絶対運動の特徴は,海溝の長さが長いプレートが早く動いていることである.

(3) (2)から,沈み込んだ海洋プレート(スラブ)が引っ張る力がプレートを動かす最大の原動力と推論される.