科学研究費・基盤研究(S)
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「NECESSArray計画:中国大陸からみる地球内部ダイナミクス」(H19-H23)


★研究の構想・目的:(申請書より)

NECESSArrayとは,NorthEast China Extended SeiSmic Arrayの頭文字などから作った中国東北部 における大規模機動的地震観測網の略称である.本観測計画は,日中米の国際共同観測として準備期間 を含め2007年夏から5年間の予定で行われる.NECESSArrayの観測点は,中国地震局が2006年までに建 設予定の定常広帯域観測点140点(下図白印)と日米チームが2008年夏から3年間展開する120点の機動 広帯域観測点(下図黒印)とからなり,観測点数計260点,観測点間隔<100km,差渡し1000kmをこえ る,かつて例をみない巨大で稠密な広帯域地震計アレイである.

このような観測網から得られるデータが地球内部ダイナミクス研究に与えるインパクトは計り知 れないが,本計画では当面,(1)中国大陸の形成・火成活動とダイナミクス,(2)中国大陸下に滞留して いる沈み込んだ海洋プレート(スタグナントスラブ)のダイナミクスの解明,(3)マントル最深部(CM B)および地球中心核の構造解明の3テーマを目的として掲げる.この目的(特に(1)(2))を達成するた めに,観測網下の地殻・マントルの(深さ約800kmまで)地震波速度および減衰率の詳細な3次元構造 のマッピングを以下の様々な地震学的解析手法を駆使し集中的におこなう:P波・S波走時トモグラフ ィ,レシーバー関数地殻構造解析,S波スプリッティング異方性解析,P波・S波波形インバージョン解 析,(長周期)表面波トモグラフィー,Pn・Sn(速度・減衰)トモグラフィー,レシーバー函数・ア レイ解析による不連続面マッピング,脈動を使った表面位相・群速度マッピング.また異なった手法か ら得られる情報を統合して,中国東北部の地殻・マントルの構造モデルを提出し,温度・化学分布,ダ イナミクスにまで制約を与えることを目指す.海外共同研究者も含む本研究チームは,上記の種々の解 析手法に精通した研究者の集まりであり,研究遂行に技術的問題はない.また目的(3)に関しては,深 発地震の多数発生する南太平洋の沈み込み帯からの地震を解析することで,アフリカンプルームに後れ を取っている感のある太平洋プルーム源の実体解明を目指すとともに,地球最深部300kmの未踏の領域 「地球の芯」の構造を解明することを目指す.


★研究メンバー
川勝 均 地震研究所  全体統括.遷移層マッピング 
田中 聡 IFREE     観測統括.マントル深部・コア構造解析 
飯高 隆 地震研究所  大陸異方性構造マッピング 
竹内 希 地震研究所  遷移層波形インバージョン
西田 究 地震研究所  脈動による位相速度マッピング
一瀬建日 地震研究所  表面波解析
本多 了 地震研究所  沈み込み,大陸形成モデリング 
折橋裕二 地震研究所  大陸火成活動・地質モデリング
大林政行 IFREE     P波トモグラフィー
大滝壽樹 産総研    コア構造解析 

研究協力者: 出原弘毅(特認PD),利根川貴志(学振PD),地震研・総合観測室,入谷良平

★補助金
9760万円(間接経費2928万円)

  H19    H20    H21    H22    H23     
 5340   1910    980    940    590万円