関東で記録された新燃岳噴火に伴う空振

火山の噴火は大気を揺らし、空振と呼ばれる低周波の音波を引き起こすことが知られています ( 新燃岳噴火にともなう空振について)。今回、空振はジェット気流に乗ったために、遠く関東でも観測されましたので報告します。

観測には水晶型の絶対圧計(分解能は0.025 Pa)を用いています。 細かな仕様などは報告書(英語)を参照して下さい。設置状況を図1左に示しました。この気圧計システムを、関東に10点程度展開しています。今回記録が得られたのは、図1右で示した7点であす。

Fig. 2 Fig. 2
図1 左:観測に使用した気圧計(筑波)。右: 気圧計の観測点分布。

観測記録を図2に示します。800km以上離れた関東の観測点でも観測されました。縦軸が新燃岳からの距離、横軸が時刻を表しています。冬期特有の強いジェット気流が存在するために、風下側に良く効率的に伝播している様子が良く分かります。 Fig. 1

図2 2011年2月1日に観測された新燃岳の噴火。周期20秒のハイパスフィルタをかけている。

風下に音波が伝播する様子を理解するため、簡単な数値シミュレーションをおこないました。大気の平均的な温度構造を仮定し、成層圏下部に領域(画面で言うと1/4、高度10kmくらい)に強い風(左から右向きに)が吹いているとします。図3に示した動画を見ると、中央の地表付近で噴火が起こり音波が伝播する様子が分かります。左向きの音波は右向きに比べ遅く伝わり、さらに上方に逃げてしまいます。そのため途中からは伝播を確認出来なくなります。右向きの波は、風が強い領域と地表の間を何度も反射し効率的に伝わります。ジェット気流が弱くなる夏期には音波は上方へ逃げてしまうために、関東のような遠く離れた場所で空振を確認することは難しくなります。


図3 風に流される音波のシミュレーション。冬期の日本付近を模している。左が西向き、右が東向きに対応している。図下が地表、上端が30km程度の高さに対応する。

謝辞

産業総合研究所と防災科学研究所には観測に協力していただきました。記して感 謝します。