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データ同化のための新しい4次元変分法を開発

「データ同化」は、数値シミュレーションモデルと観測・実験データを、ベイズ統計学の枠組みで統融合するための計算技術であり、現代の気象予報はデータ同化が支えていると言っても過言ではありません。 気象予報を始めとする大規模な数値モデルに基づくデータ同化では、主に「4次元変分法」と呼ばれる手法が用いられていますが、従来の4次元変分法は、予測結果の不確実性を評価することができませんでした。 例えば、台風の進路予測でしばしば用いられる予報円は、中心位置の予測に関する不確実性を表現したものですが、これは4次元変分法とは異なる手法を用いて算出されています。

長尾研究室では、「2nd-order adjoint法」と呼ばれる手法を導入することにより、予測結果の不確実性評価が可能な新しい4次元変分法の開発に成功しました。大規模数値モデルに基づくデータ同化の場合でも、異なるデータ同化手法をアドホックに組み合わせることなく、この新手法によって予測およびその不確実性評価を統一的に実施することが可能となりました。

今後、本手法の様々な分野への展開が期待されます。本研究の詳細については、下記の論文をご覧下さい。
Ito, S., H. Nagao, A. Yamanaka, Y. Tsukada, T. Koyama, M. Kano, and J. Inoue
Data assimilation for massive autonomous systems based on a second-order adjoint method
Phys. Rev. E, 94, 043307, doi:10.1103/PhysRevE.94.043307, 2016.