5月14,28日のヘリ観測に基づく,カルデラ内火口周辺図

図1:北西から見る5月14日カルデラ内火口の内部

図2:カルデラ南部の火口周辺のスケッチ(5月14日)

 噴煙量の減少に伴い,火口内部の状況を視認することが可能となったので,5月14日ヘリ観測の結果を中心に火口の状況をまとめる.

 カルデラ南端に存在する火口は二重になっており,外側火口は長径約400m,短径約 300mで北西‐南東方向に伸びる.外側火口の中央やや西よりに直径150〜200m程度の内側火口が認められ,噴煙はおもにこの内側の火口から上昇している.内側火口の周辺には低い火砕丘が発達する.

 外側火口火口底北西部は平坦で,全面に噴気が発達し,昇華硫黄の付着が顕著である.火口底中央付近の,5月14日に最高温度366℃を記録した噴気からは青白い火山ガスの放出が認められ,その周辺には硫黄の付着が見られない.外側火口はカルデラ南端によりかかるように成長した火砕丘上に発達するため,火口壁は南側ほど高くなる.火口壁にも硫黄の付着がみられる(図1).内側火口の内部,南側部分は噴煙により詳細は不明である.内側火口を取り巻く火砕丘斜面にはまだらに硫黄の付着が見られる.外側火口北西端に続くガリー上部から西側リムに沿って顕著な噴気帯が発達する.外側火口北西端からカルデラ床の縁に沿って約400mにわたって列状に噴気が発達する.火口に近い噴気ほど活発である.火砕丘北〜北東麓にも弱い噴気地帯が散在し,硫黄の付着が見られる.

 5月27日朝の小噴火後の観察でも,火口内に顕著な変化は観察されなかった.


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