2001年3月5日(月) 1.観測支援: 警視庁ヘリ 「おおとり8号」 JA18MP号機         東ヘリ発着。クル−3名、航空隊隊長?ほか警視庁関係3名同乗。         三宅島上空観察後、神津島で給油。1名降機、交代で次長?搭乗。 2.搭乗観測者 : 宮城(地調)・ 大島         宮城さんは熱測定を予定。要ドアオープンのため、搭乗時から         モンキーベルト着用。右窓側前後に着席。 3.天候・飛行コース・時刻等 :  (はじめに余談、時間のない人は次項へどうぞ。)低気圧通過で荒れ模様の昨日とか わって冬型、東京は快晴。しかし南海上は西風強く波は5mの予報。これではカルデ ラ内はまた白煙充満で見えないのではないかと嫌な予感。案の定、白雪の富士山(地 吹雪ぎみ?)も見え視程良好だが、海上は白波。相模湾全体に及ぶほどのウネリがは っきり見える。白波も並ではなく海面全体を引っ掻いたよう。砕け散る波頭は、伊豆 半島の蔭になっている範囲は綿くずを沢山ぶちまけたくらいだったが、西風がまとも に吹き抜ける伊豆大島以南は、一面の蕎麦のお花畑のよう。白い海。吹き飛ぶ波しぶ きが無数に筋を引き、白い平行なクモの糸〜納豆の糸が海面全体を覆ったように見え る。強い西風の中を飛んだのは何度かあるがこれは最高。パイロットによれば「西風 50ノット、いやもっと出ているでしょう」。しぶきのためか、利島〜新島も白くかす む。(天城山は白い山すそに黒く浮いていた。) 新島以南は雲。西に雲の壁が迫り神津島は見えない。三宅島も雲の中、直前まで見え ず。強い西風。  搭乗時間 09時00分 〜 12時50分 (三宅島観察の後、三宅中学に touch & go、                   帰路、神津島で給油、警視庁1名交代)  観測時刻 10時10分 〜 10時40分 (約30分間) 9:00 東京ヘリポートにて搭乗。  9:01 エンジン始動 9:08 南に向かって離陸。右旋回後、晴海からいつもの警視庁コース (〜 目黒 〜 多摩川園 〜 新横浜 〜 葉山 〜 城ケ島西方 〜) 9:50 伊豆大島(波浮)東方      ここまでは一点の雲もなく快晴、この先は厚い雲、三宅も神津も見えない。 10:10 神着上空、雲間から海岸線。高度6900ft、西風50ノット以上!       雲間からチラッとカルデラが見える。白色噴煙充満、中は見えない。       いつもの強風パターンで、噴煙は上方に上がれず、東へ横倒し。       噴煙高度(上限)は不明(雲の中)。6900ftよりは下。 実質の観測飛行は西側鉢巻き林道上を往復、都道を見つつ西側海岸沿いを半周のみ。   以下はそのいきさつ。(時間のない人、興味のない人は次項へどうぞ。) 北斜面上空到達後、機首を西(風上)に向け、高度を下げつつ洋上を迂回してから反 時計回り観察飛行へ。但し我々は右席のため海側のまま阿古〜大路池方面へ南下。そ の間、左窓の警視庁2氏がカメラ・双眼鏡で観察。 大路池で右旋回、やっと右窓が山側に。雪が横に飛ぶ。カルデラ内はもちろん見えな い。温度測定はあきらめ。雲の下で斜面は暗い。少しでもよく見たいためドアオープ ンにかかったが、整備担当氏と2人がかりでも開かない。(風圧のためという話だが わからない。)カルデラ縁とほぼ同高度で鉢巻き林道上くらいを北上、スオウ穴まで は行けずに明治列を右に見て左旋回。 再び反時計回りに入ったところで、機長のお声がかりで座席を交代してもらい、われ われ左側(山側)へ。強風(気流)のため、山頂にはあまり近づけないそうで、やは り鉢巻き林道沿い。ヘリは一時ホバリングに近く、風に押し戻される感じで進めない 。(着陸後パイロットから聞いた話では、風が強い場合は山の気流が危険、普通、山 の高さの2倍以上離れて飛ぶ、とのこと。)大路池付近で右旋回、観測条件悪く、西 側下回り(都道〜海岸沿い)飛行となる。(昨日大雨だったはずのため、泥流など点 検のため。) 時計回りに進んで、 10:40頃 北側神着で観察終了。       左旋回後、都道を右に見て内陸側を西進、       三宅中学仮設ヘリポートにほぼタッチ&ゴー(高さ5mくらい) 10:42 三宅島北西岸を離脱       風に対応してかやや迂回飛行、神津島には北東から接近 11:04 神津島着陸 11:07 エンジン停止、ドアは難なく開く。降機。       給油中、空港待合室で待機。航空隊隊長?氏に全員コーヒーを       御馳走になる。ヘリは風でローターが上下にバタバタ、パイロット       によると、このくらいの風の時は普通飛ばないそう。(番外編参照)       新中央航空の定期便も欠航になっていた。 11:51 搭乗後、エンジン始動  11:54? 西に向けて離陸。  神津島 〜 式根島 〜 新島 〜 鵜渡根島 〜 利島 のいずれも西岸沿い 12:16 伊豆大島空港滑走路の真上を通過 12:27 城ケ島西方 > 往路の逆ルート 12:49 東京ヘリポート着陸、  12:50+ エンジン停止後、降機。 4.観察事項 個人経験の中で、これまで最強の西風だった。そのため、白煙カルデラ内に滞留、内 部は見られず、いつものようなカルデラ縁接近もできなかった。(観測条件不良で期 待ほどの観察はできなかった。) (1)噴煙は白色、灰交りには見えなかった。強風で東に倒され、斜面沿いに一旦下 降。海岸線上の北限=三池浜、南限=滑走路北半くらいの狭い範囲にたなびく。上限 高さ山頂部ではせいぜい900m、海上での高さ雲の中で不明。 遠望すると下部にガスを伴っているのは相変わらず。 (2)斜面は広い範囲でガリの掘り下げが進んでいる。また、南西斜面の登山道は、 雨に洗われたためか、以前(2月中旬)よりはっきり見えてきた。村営牧場牧舎付近 、およびその西側に、ガリから出てきた新たな泥流が扇状地状にひろがっている。 (3)都道沿いにうすく泥水かぶりに見えるところはあるが、著しい変化はない。( いつもやられる所がやられている。) <<番外編 − 「ヘリと強風」>> (番外1)今回に始まったことではないが、強風下での観察飛行は、向かい風で行う 。ドアオープンはもちろん風下側。上空でドアが開かなかったのは今回初めて。 (番外2)強風下では、風防ガラスが割れることがあるという。伊豆大島噴火で噴石 に当たって壊れた毎日新聞ヘリは記憶に新しい(いや古い)が、単なる風で何故? パイロットによると、風圧で機体がゆがむ。そのために風防ガラスが割れる(粉々で はなくヒビが入る)のだそうだ。なるほど。 (番外3)神津島で給油中、ローターが風でバタついているのを見て、「このくらい の風だったら普通は飛ばない」とのことだったが、「4枚だから大丈夫」だそうで、 2枚の小型機ならへたをするとひっくり返るらしい。そういえば海上自衛隊の HSS-2 B は5枚だった。MH-53E に至っては7枚。吹曝しの艦上離発着が本務の海自機なら 当然か。1度だけ乗せてもらった新鋭 SH-60J は4枚。大丈夫か?ハイテクでカバー ?余計な心配をする。木更津から何度も乗せてもらった陸自の大型輸送ヘリ CH-47J は3枚、ただし双発、今日は三宅島への人員輸送はないという。送りが出来ても迎え が出来ないとなっては、やはり中止やむなしだろう。  (大島 治)