平成13年4月16日(月) 三宅島火山噴火調査 観測時間 10時11分 〜 10時46分 搭乗時間 8時58分 〜 12時52分 東ヘリ903→田園調布→新横浜東方→城ケ島西側→大島東沖→1008タツネ工事現場1021 →三宅上空観察1046→ タツネ工事現場1055→1108神津島空港(給油と警視庁職員1名 交代)1152→新島西→利島西→大島空港上空→葉山→横浜→1252東ヘリ (警視庁 おおとり6号 JA6786 クル−3名 +(東京都職員(広報カメラマン1名+ 建設局1名)+警視庁災対職員(1名神津島で交代)) 観測者   津久井 雅志   (千葉大)   川辺 禎久    (産業技術総合研究所) 天候:はれ  9時03分,東京へリポート発.晴れているが,かすみがかかって視程はいま一つ.本日 はやや高めの高度(陸上1200m〜海上2000m)で三宅へ.白色噴煙がヘリの飛行高度 6500mとほぼ同じ高さまで上がり,東へたなびいている. 三宅島一周都道の立根(たつね)の道路不通箇所で,仮橋架設のクレーン作業が10時すぎ に行なわれることから,この様子を撮影するため,広報カメラマンと建設局担当者が同乗. 高度をさげて三宅に接近し,10時5分ころ伊豆付近に到着.西回りでタツネへ.携帯電話で 作業の時刻と打ち合わせを行ないつつ現場周辺を繰り返し旋回して撮影(10時8分〜10時 21分ころと10時50分〜10時55分ころ).高度200〜150mくらいか?つり下げられた橋 桁には横断幕も(写真11,12).他にヘリ2機も飛行. タツネの1回目の撮影の終了後,高度3000フィートでカルデラの南〜西〜北東を観察.左 旋回してもう1度同じ高さで,西〜北〜東から観察.三池付近にさしかかったところで臭 いを感じて左旋回.高度を上げつつ西側へ.5500〜6000フィートで西〜北から観察. 10時46分火口,カルデラ観察終了.最後にもう1回作業現場まで飛んで周回し,終了 (10時55分).  撮影時,観測時はドアオープン.神津島で給油し,職員1名交代後,新島の西側を北上. 大島空港,葉山,横浜上空を通って,12時52分東京へリポート帰還. ○ 本日晴れであったが,霞みがちで視程はあまり良くなかった. ○ 噴煙は白色,風は弱く,刻々変化しているが,高度2000〜2500mくらいまで,あまり 乱れることなく上昇し,東(三池方向)に流されている(写真1,2,3).青白いガスはそ の下を流れる.噴煙は少なくないものの,勢いは良くない. ○ カルデラ内に大きな変化はない(写真4,5)が,わずかづつ壁が崩壊し,崖錐が成長し ている.カルデラ北壁および北東壁(スオウ穴の西および東)に新しい断面が露出.特に東 寄りの断面は成層構造,不整合が良く見える(写真6).北西壁の張り出し部分の中位の高 さおよび付近の崩落が進行している(写真7)ようにみえる(3/16との比較で). ○ 10時30分過ぎに,カルデラ壁北西側上空に,茶色〜赤っぽい弱い土煙が一時的にあが った(写真8).崩落によるものと思われるが,後刻,気象庁に報告した際に確認すると, レストハウスの地震計には全く異常なし. ○ 南側カルデラ壁外側の登山道の東側(写真9),西側(写真10)の亀裂はまだ残って いる. ○ 北西側カルデラ壁外側の尾根を横切る亀裂も残っている. (津久井 雅志) 写真 1. 三宅の北から.噴煙は高度2000mくらい,東に流れている.力強さに欠ける. 2. 南からみた噴煙. 3. 北西から見た火口と噴煙. 4. スオウ穴上空から見たカルデラ底. 5. 北西上空から見たカルデラ底. 6. カルデラ北東壁.新しい赤い表面が露出し,成層構造と,不整合面が見られる. 7. 東から見た西〜北カルデラ壁.張り出し部分とその右側付近の表面が新しい. (小規模な)崩落があったようにみえる.崖錐も少しづつ発達.  8. 北西から見たカルデラ底.右側に茶色っぽい土煙が見える. 9. 登山道東側の割れ目 10. 登山道西側の割れ目 11. タツネの“三宅島一周都道立根橋仮橋”架設工事の模様. 12. この沢は本来が主要な水系なので泥流に襲われるのも道理.