2000年10月12日(木) 1.観測支援: 警視庁 「おおとり6号」(ベル412EP型、JA6786号機)        立川飛行センターより飛来、東京ヘリポート発着 (クルー3名) 2.搭乗者 : 平(気象庁、初飛行)・大島  3.離陸時刻: 09:06  着陸エンジン停止時刻: 12:02 4.観察時刻: 10:06〜11:06 5.天 候 : 晴  東京はモヤった晴。昨日と反対に南に高気圧あり、南下するほど徐々に視程広がるが スッキリとはいかない。(途中伊豆大島もやっと見える程度。新島・神津島は見えぬま ま。) 現地三宅島は晴、西南西の風。山頂に流れ雲が多量にかかり、初め火口観察に不向きだっ たが、時間とともに回復、流れ雲あるものの後刻ほど見やすくなった。火口観察OK! 6.飛行コース・状況 :   南西の風により噴煙(白色)が東側にたなびく。そんため島北西側から進入、西側を阿 古付近まで南下後、Uターンして右側ドアオープン、山頂を中心に時計回りに火口観察に 入る。  高度6000ftで2周、次に4000ftで2周、後者では東北東に流れる噴煙をぎ りぎりまたぐ。更に高度を下げて火口縁50〜100m程度上空を2周。 但し火口縁沿い低空飛行では東北東側で噴煙に阻まれてUターン、昭和58年と15・37年 の対称噴火位置にはさまれた北西側半分からの観察。 最後に南西〜北西側山頂付近斜面の観察。昭和15年火口列上を終点に反転、帰投。  カルデラ上に雲がかかっている際、それがどくまでしばし(1〜2分ホバリングして) 待つなど、パイロット・クルーの行き届いた配慮・親切に感謝。 (警視庁ヘリは私は今回が初めて。伊豆大島噴火以来14年ぶり。自衛隊機ばかり乗って きた身にはずんぶん静かだなあの感。それに外に飛びだした側面窓は通常飛行時に真下ば かりか190度下まで見えて、これは大変具合よろし。もっとも自衛隊機だって飛びだし た円窓はあるし、ドアオープンしてもらうと190度以上下も、必要なら反対側まで?? 見えるけど。) 7.山頂火口(カルデラ)の状況: 大きな変化はない。  噴煙が東にたなびいたため、噴出火口基部の様子が(私にとっては)久々に見えた(北 側から)。北西〜西カルデラ壁の小刻みな崩壊進み、カルデラ壁は断面あらわ、かつこの ところ見られているようにひときわ赤い。 <火口周辺> 新カルデラ底南端部に東西にならぶ火口列の東側主火口は、以前と同じ く、明瞭に火砕丘斜面と火口縁をもっている。その南東側はカルデラ壁崖錐で位置に高く なるが、そこにもより小型の火口縁状の地形が2つ連続している模様。 (火口は閉じた円ではなく連結している、の意。)丁度、東南東斜面の1535年火口列 (現在の)上部の(最上部ではない)連結火口に似た形らしいが、噴煙に遮られ、おまけ に日蔭で暗くて十分には確認できない。 噴出火口列北〜北西側の低い側にかけては泥流(ではないがそれに似た)水浸しデルタ地 帯似状態。 <カルデラ底北半> カルデラ底北側の水溜まりは拡大した(水位が上がった)感。水は 主な2個所とも赤色。北西〜西カルデラ壁からの崩壊物による赤さもあり。 <外側、スオウ穴> 水は相変わらず赤い。面積も不変。この水がカルデラ底に垂れ流さ れるようになるには、まだ時間かかりそう。もう少しなのにこちら北東側の崩壊はこの約 1カ月かなり停滞ぎみ。(以前からだが、北〜北東側の個々の火口地形は随分明瞭になっ た。) 8.噴煙の状況(と二酸化硫黄の臭い):  噴煙は純白色、灰を混えず。上限高度約1200m。西よりの風を受けて東北東(を主 軸)にたなびく。陸上での分布範囲は、山頂カルデラ南部の火口から真東(三池港=南 限)〜北東(三七山=北限)の35〜40度の角度内。 噴煙下部には特に明瞭に、二酸化硫黄と見える青白いモヤを伴う。なお、高度 4000ftで噴煙を跨いだ際は二酸化硫黄の臭い感ぜず。同高度以上で観察中の全時間も臭 い感ぜず。但し当然ながら、高度を下げて火口縁上空50〜100m程度を飛行し東北東 側の噴煙手前でUターンの際は臭あり。 9.山麓・居住地の新たな被害等: 特に認められず。 昨日来降雨もなく、山麓部に泥流等、水の関与した動きはもともと懸念なし。今日は山頂 部観察に主眼を置いたため山麓全周の観察は行っていないが、見られた限り、変化なし。 (阿古〜大路〜坪田〜三七区間以外の一周道は一応目を配ってある。) (大島 治)