2000年10月19日(木) 1.観測支援: 海上自衛隊厚木基地第513航空隊(クルー4名、機長;山口3佐) シコルスキー対潜ヘリ SH60J(通称HSS−2B) 53号機 2.搭乗者 : 宮城(地調)・大島  3.離陸時刻: 08:56  着陸時刻: 11:43 4.観察時刻: 09:48(気象庁には09:51と報告ミス)〜10:56 5.天 候 : 晴〜曇  厚木の空は一点の雲もない青空、しかし多少モヤがかかって丹沢の大山はボヤッ、 富士は見えない。伊豆大島・利島・新島いずれもボヤボヤッと見え、南下するほど雲 量増える。南に前線。  現地三宅島は曇。海抜1000m弱(細かく言えば950m程度)に雲の底がひろ がり、山頂との間にわずかな(200m程度の)隙間がある。そこから火口観察は可 能。ただし十分な明るさはない。弱い東の風(15〜20KT)で噴煙は西〜北西へ。 6.飛行コース・状況 :   厚木を北に向かって離陸、右旋回後、小田急江ノ島線を右下に見ながら藤沢方面へ 南下、七里ケ浜から洋上へ。高度5000ft目指すも雲が拡がり高度3000ft に押さえられる。  三宅島は弱い東の風。噴煙が西〜北西へたなびいているため、山頂は東側からの観 察となる。山頂火口観察が主。時間が許せば下回り1周を依頼。結果的に次の6コー スとなる。 (1)先ずは偵察飛行。高度3000ft。北(神着)から進入、頭上を雲に押さえ られたまま、火口(新カルデラ)縁東上空を通過、噴煙南限沿いに村営牧場〜二男山 上空まで。左旋回後、反時計回りに北西海上まで戻り、 (2〜5)高度2700ft。北西(伊豆岬)から進入、火口縁沿いに時計回りに村 営牧場まで、のコースを4回繰り返し。(5)は可能なかぎり火口に接近、火口底を くまなく見られるようにしてもらう。 (6)北西の伊豆から時計回りに都道沿いに島1周。高度800ft。西側阿古北〜 伊ケ谷付近ではそのまま噴煙をくぐって起点の伊豆へ。(ドアオープンのまま噴煙内 を通過してもSO2の臭いは大して感ぜず。) 伊豆より離脱、城ケ島西方から三浦半島〜湘南海岸〜相模川沿いに南側より厚木着 陸。(曇) 7.山頂火口(カルデラ)の状況: 大きな変化はない。 <噴煙火口周辺> 特に変化は見られない。噴煙・噴気排出位置変わらず。最も active に白色噴煙を上げるのは従来通り東側の主火口。3個合体のうち、最も火口 (カルデラ)底寄りが最も 活発。しかし前回観察(14日)より弱い感じ。 <北半カルデラ壁と底> 北西カルデラ壁のえぐれ方が大きく、壁は新鮮、崩壊進ん でいる模様。火口底にその落下堆積物と見られるもの多い。カルデラ壁直下よりもカ ルデラ底中央寄りに小高い丘(マウンド)をつくっている様が以前より顕著な感。 この盛り上がりの成因は何か。9月からの疑問。 (カルデラ壁は切り立って見えるが底部まで含めて考えれば実はお椀の底型。側壁沿 いに落ち込んだものは底部を圧迫してまだ軟弱な?中央部を盛り上げるのではない か??眉唾か?) カルデラ底北側の水溜まりもあまり変わりない。やや縮小したかも。水は北半は赤 色。噴煙火口寄りのみ着色なし。 <スオウ穴> 水は相変わらず赤い。面積も不変。 8.噴煙の状況(と二酸化硫黄の臭い):  噴煙は白色、灰を混えず。東よりの風を受けて西〜北西にたなびく。噴煙上限高度 は雲のため確とは確認できないが、約1200m、高くても1500mくらいか。下 限は火口(新カルデラ)西壁からこぼれるように西斜面へ。 噴煙下部にはこれまで同様に、二酸化硫黄と見られる青白いモヤを伴う。噴煙に近い 村営牧場上空ではドアオープン状態でも臭いあまり感ぜず。しかし北西伊豆上空では 噴煙から離れていながら臭いあり。風下では拡散のためか。 また上記6.のように、風下側阿古北〜伊ケ谷付近でドアオープンのまま噴煙内を低 空飛行(800ft)してもSO2の臭い大して感ぜず。むしろ主軸からはずれた伊 豆上空のより高い高度(2700ft)の方が臭ったような(??) 9.山麓・居住地等の新たな被害等: 特に新たな変化を認めず。  1周都道沿いに新たな災害発生は見られない。明らかな不通個所は、大路池南西方 の次の2個所。 (1)アカコッコ館西方600mの都道カーブ地点。以前から複数回泥流にやられて 廃車?バスが埋まっている個所。14日より前(月日不詳)の新たな泥流が扇状地状 に拡がったまま。 (2)その更に西方500mの都道、南北方向の谷が明瞭にえぐれて既に複数回土石 流〜泥流の通過した個所。外側路肩深くえぐれている。事態深刻(?)  その他泥水につかった程度の個所は多数。しかし車での通行に支障はない模様。 10.その他:  今日は三池港に貨物船?が接岸、伊豆で作業中の人々、三池浜をショベルカーを乗 せて走る大形トラックほか、少なからず?島での人の動きが見られた。 (以上、文責 大島 治)