2000年10月25日(水) 1.観測支援: 東京消防庁航空隊(クルー3名、機長:本郷)         「ちどり」(JA119A号機)         多摩センター(立川基地のことか)より飛来、東京ヘリポート発着  2.搭乗者 : 濱崎聡志(地調資源エネルギー地質部、初搭乗)・大島  3.離陸時刻: 08:52     着陸時刻: 11:12 4.観察時刻: 09:40〜10:08 5.天 候 : 曇/晴  昨夜は満天の星、しかし今朝の新木場(東ヘリ)の空は鉛色。北に低気圧でも南方は好天か?と期 待したが、現地三宅島も曇りがち。北斜面暗く、山頂(海抜500〜600m以上)に雲かかり、火 口観察は不可。南斜面下半のみ明るく太陽に照らされて晴。 南寄りの風で噴煙は北北東へ。 6.飛行コース・状況 :  08:52 東京ヘリポートを南向きに発進、そのまま視程悪い中を直進、海ほたる〜富津洲〜州崎 沖と東京湾を縦断南下、南洋上は少しずつ明るくなるが、曇りがちには変わりなし。  島は山頂および西側に雲+噴煙がかかっているため、 09:40 北東側(下馬野尾)から進入、 (1)雲分布・視程、山頂へのアクセスなど先ずは観察条件偵察飛行。高度500mくらいで右下に 鉢巻き林道を見つつ南下、南東(坪田)から都道沿いに西側阿古へ。北西(伊ケ谷上空)で青白噴煙 左端に接触、機内硫黄臭、Uターン(左旋回)。 (2)高度600mくらいで中腹を反時計回りに東側(サタドー付近)まで。 (3)時計回り海岸沿いに阿古まで。 (4)多少雲のすけた西北西火口縁に接近、高度850mでホバリング。火口内見ようとするが、雲 と火口内の暗さで有効な観察できず。 (5)噴煙左翼沿いに北西の伊豆岬へ。離脱。 10:08 神津島へ向かい、 10:19〜10:24 神津島空港で消防庁職員1名ピックアップ(西から着陸、東へ離陸) 神津島東岸〜式根島東方〜新島東海岸沿い〜鵜渡根島〜利島東方〜伊豆大島(差木地〜波浮、ここで 陸自CH47J上空交差〜東海岸沿い)〜三浦半島剣崎〜(浦賀水道に自衛艦隊列、29日観艦式の 予行演習中)〜観音崎〜東ヘリ着陸 11:12。 * 「ちどり」(JA119A号機)には座席の余裕あり、機内の左右移動もできたため、両側観察 が可能、コースの往復とも有効だった。 * 「ちどり」(JA119A号機)にはヘッドセットが用意されておらず、パイロットとの直接交 信(会話)ができないのは痛かった。(ほとんど筆談) 7.山頂火口(カルデラ)の状況:  <火口・カルデラ底> 北寄りにたなびく噴煙と山頂域をおおう雲でカルデラ内は殆ど見られず。西 縁付近にホバリングして何とか覗き込んだものの、やっと見える範囲は南壁下東側の主火口付近の み、暗い中黒い相手で殆ど見えず。 (目のASA感度を100から800か1600くらいに上げないとダメ、残念。) <外側、スオウ穴> も雲の中で見られず。 8.噴煙の状況(と二酸化硫黄の臭い):  噴煙は純白の綿のようなモックモック白色噴煙。灰を混えず。噴煙活動盛んな位置は従来通りの南 壁下東側の主火口に当たる。上限高度1200m程度か。主軸は北北西。島内拡散範囲は伊豆岬〜神 着。  噴煙の特に下部にはいつものように明瞭に、二酸化硫黄と見られる青白いモヤが伴う。この中に入 るとテキメンに臭った。 9.山麓・居住地の新たな被害等:  特に認めず。 鉢巻き林道沿いに中腹を飛んだため、えぐれの進んだ谷すじでは、荒れ方をいつも以上によく観察で きた。 大路池の赤色湖岸は今日は黄色っぽく、枯れ水草であることがよりはっきりした。 (島は8月の一時期、灰色一色だったが、今は)いつも通りに、民家の屋根に灰は殆ど無く、カラフ ルな町並みがよみがえっている。 今日は島内に動く車・人の姿など、人の気配は感じられなかった。 (以上、文責 大島 治)