11月3日(金) 天候不順のため、飛行中止。  10月30日からヘリ支援態勢が変わり、目視観察は基本的に月(警視庁)、水(警視 庁)、金(東京消防庁)の週3回となった。  気象庁によれば、COSPECヘリ観測支援に当たってきた海上保安庁が今後、1ヶ月のうち少な くとも10日間はヘリ非搭載型巡視船を派遣することになり(PLH→PL)、 「防衛庁のヘリは、海上保安庁ヘリを使用できない期間のCOSPEC観測に充てる。」ことに なった由。  観察機会が減って各回これまで以上にしっかり見なければならなくなったのに、このところ かんばしくない天気が続いて、火口内部の状況変化はちゃんとは追えていない。  今朝は台風くずれの低気圧(この台風は台北空港でジャンボ機B747-400の離陸失敗炎上事 故の元となった模様)が足早に通り過ぎはしたものの南海上にまだ前線が残っており、東京は 曇り空。飛行中に回復するかと期待したが、「決心」は「中止」。曇りで中止はこれまでも何 回かあったらしいが私は初めて。 (実は「中止」を知ったのは新木場駅に着いてから。「決心」結果の知らせがなかなか来ない ので、天候回復見極めのためにぎりぎりまで「決心」をのばしてくれているのだろうと嬉しく 解釈、「決行」にむけて東海道線・京葉線を乗り継いできたのだが、 何と、私の携帯電話がドライブモードになっていて、通じなかったそうな。何度も?かけてく ださった山里さん、すまんでした。) ******************* しかし、火口は見えずとも天候が悪ければ悪いなりに注目すべきものがある。泥流・土石流や その被害調査などもその一つ。今日の観察ができなかった代わりに、約2カ月前の雨中飛行か ら少々紹介します。 9月6日: 東京は曇、発進後南下するほど雲多く、途中から雨滴が風防を横に走る。山頂は もちろん雲の中で見えない。西海岸沿いをまわる。 雨の中、伊ケ谷(北西山麓)の海の茶色っぽい濁りが目立つ。いつも見える濁りは郵便局北の 急崖崩落によるものだが、この日目立つ「変色域」はそれとは別、はるかに大きく、伊ケ谷漁 港から西へ少なくとも300m沖までひろがっている。 発生源は伊ケ谷沢からの泥流(というとやや大袈裟か、岩塊まじりの泥水)。都道より下位の 下原で沢を溢れた模様、漁港に下る道路をも流路としている。 漁港に下る舗装道路は海岸近くでヘアピンになっているが、流れの主流は末端で滝をなして道 路からはずれている。路面に沿った流れも漁港への下り坂の途中から幅広い滝となって海へ。 ヘアピン部には直径1m近い岩塊が散乱している。下り坂を最後まで流れたものは、防波堤に 囲まれた港内に茶色い渦をつくっている。 伊ケ谷集落内にもう一つやや目立つものあり。郵便局前南の都道が一部冠水。(発生源・流路 を確かめることは出来なかった。)溢れた水は局前T字路(漁港へ下る道路の入口)から少量 漁港への下り坂沿いに流れているが、100mも進まぬうちに道路からはずれて海蝕崖へ。T 字路には直径約30センチ以下の岩塊が散乱(大きさは横断歩道の白線幅との比較)。 伊ケ谷集落は狭く閉ざされた山麓部にあるが、民家の大部分は深い沢筋より上にあるため、家 屋被害はほぼ免れている模様。 伊ケ谷集落南方にもう一つ顕著な「流れ」が見られた。 伊ケ谷から阿古方面へ南下する際、都道は尾根をまくかたちで一旦北上(地図上で正確には 170m北西に向かい)、ヘアピンを経て約400m南東に進み、沢を渡るかたちでまた急 カーブ(右カーブ)する。 この急カーブ地点で沢の流れが沢筋から溢れ、都道を見事に水路として、上記と反対方向に伊 ケ谷に進むかたちでヘアピンを経て集落に向かっていた。(伊ケ谷集落南端の共栄橋付近で伊 ケ谷沢からの流れに合流したらしい。合流点までは確認できず。) 流路=舗装された都道路面には20〜30センチまでの岩塊が点在。 (大島 治)