三宅島火山噴火調査 観測日時等 13年11月27日 観測時間 10時20分 〜 12時05分   搭乗時間 9時01分 〜 14時55分                 羽田925→横須賀→大島東沖→1017三宅中ヘリポート(古屋さん降機)1020→7マイルトラバースCOSPEC観測 →12マイルの距離から噴煙の上側境界を分布軸にそって雄山上空まで→1135三宅上空観察→1205三宅中ヘリ ポート(古屋さん搭乗)1207→1220新島空港(給油)1352→1406大島三原火口上空で旋回→1431横浜港本牧で 旋回1434→1445羽田 (海上保安庁 わかわし JA6805(AS332 スーパーピューマ)クル−5名(YANO機長)+中堀・浦井・古 屋・津久井 計9名) 観測者氏名   津久井  (千葉大)   中堀   (気象庁)   浦井   (産業技術総合研究所)   古屋   (東大震研:島内作業) 天候状態  はれ 飛行経路・高度 私にとっては8/27以来のフライト.大型機(AS332 スーパーピューマ)にCOSPEC観測機材搬入後牽引車で格 納庫から移動 .9時25分,羽田航空基地離陸.東京は晴.視程よく富士山が見える.高度6500フィート( 2000m)で南下.大島は雲がかかり山頂はみえない.大島以南は風強く,細かい白波がたつ. 10時17分三宅中ヘリポート着陸.古屋さん降機,21分離陸.COSPEC観測へ.気象状況,風向(北から時計周 りに)285°,35ノット/h(〜18m/s).火口から7マイル東,高度100mを4往復して観測.次に(目視による) 噴煙の上面に沿って火口に向かう.火口から10マイルの噴煙高度(海抜)4700フィート(1430m)(外気温-0.3 ℃),8マイル:4700フィート(-0.1℃),6マイル:4700フィート(-0.4℃),4マイル:4500フィート(1370m)(0.9 ℃),2マイル:4300フィート(1310m)(0.5℃).カルデラ上空を横切って火口観察へ(11:35).3500フィートに て南側から時計周りに3周,高度を4500フィートに上げて1周して観測終了. 三宅中学校ヘリポートで古屋さんを乗せて新島空港に向かう.風が強いため固定翼機のように風上の西に向 かって滑走しながら着陸(12:20).給油後,大島三原火口上空で旋回,観察(帰りはよく見えた).横浜港 上空で旋回し,油流出の経過観察をおこなってから羽田空港へ帰投(14:43). 観測結果 ○ 噴煙 噴煙は北側からの目視では火口上200〜300mの高さまで上昇(写真1).上空の強い西風で三池方面 に流れる.火口の上まであがる噴煙量は特別多くはない.噴煙は白色.白色噴煙はほぼ島の東端上空で消滅. 火山ガスは斜面に沿ってくだり,金層マールの低所から空港北半側に流れる(写真1,2).さらに海面上へ. 7マイル離れた海上でも風下主軸上ではガス濃度が高く,山頂方向が見えない(写真3).また,ガス臭(マッ チを擦った臭い,または花火の臭い)がきつく,数分以上いるとむせて不快. ○ カルデラ内部・火口 噴煙,ガスがカルデラ内に滞留しているため大変見にくい(写真4〜8).ガスごしに カルデラ壁がわずかにみえる(写真5〜8)が,カルデラ底,火口の様子は見えない.火口内の最高温度は150 ℃レンジでスケールアウト(条件がよくないので参考値)とのこと. ○ カルデラ縁 スオウ穴の西側の崩落が(夏に比べ)かなり進んで,壁面も比較的新しい(写真7).ヘリ報 告にも記述があるが,自分の目で確認.南西の登山林道の東側(写真9),西側(写真10)の割れ目はいずれ もまだブロックが落ちずに残っている. ○ 目視では噴煙は白色であったが,ヘリの風防ガラスに,わずかに灰が付着していた. ○ 先日の火映現象に先立ち,重力の増加が観測されたとの古屋さんの話. (http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/furuya/miyake/AbsG.html参照) 写真 1 北から島をみる.火口上200〜300mまで上がり,東へ流されている.白色噴煙は 島の東端くらいで 消散. 写真 2 南海上から見る.ガスが斜面→金層の地形低所→空港北半に流れ下っている.環状林道(ハチマキ 林道)近くより高いところと,本日のような西風のときにガスが掃過する東側は植生が茶色に変色している. 写真 3 雄山の東7マイル海上から島を見る.ガスで島の中央部は見えない.くさい. 写真 4 東壁からみた火口.ガスが滞留していて非常に見にくい.(2001,3/26 津久井報告 写真5(http:// www.eri.u-tokyo.ac.jp/nakada/0326/fig5.jpg)とほぼ同じ方向から撮影したので,火口位置等比較されたい) 写真 5 南からみたカルデラ北壁.右端にスオウ穴があるが,その西側の崩壊が(夏に比べて)目立つ. (最近の様子を画像で見ていないのでずいぶん前との比較ですみません) 写真 6 カルデラ北西壁の様子. 写真 7 東側からみたスオウ穴とカルデラ北壁.スオウ穴の西側の崩壊部がよくみえる. 写真 8 南からみたカルデラ東壁と1535年火砕丘(の一部). 写真 9 カルデラ南西縁(登山道東側)の割れ目.最近ほとんど変化はない. 写真 10 カルデラ南西縁(登山道西側)の割れ目.一部は,まだ落ちずに残っている. 写真 11 番外 伊豆大島三原火口を北側からみる.  (津久井 雅志)