三宅島火山噴火調査 観測日時等 観測時間 10時43分−11時36分,13時28分−14時02分 搭乗時間 9時37分−15時16分                 羽田937→横浜→葉山→1004大島空港(保安庁職員2名降機)1010→1035三宅空港(古屋さん降機)1043→ COSPEC観測→1100阿古中ヘリポート1110→三宅上空観察1136→1150新島空港(給油・昼食)1313→阿古 中ヘリポート1328→COSPEC観測→1350三宅空港(古屋さん搭乗)1352→三宅上空観察1402→1425大島空 港(保安庁職員2名搭乗)1430→大島波浮沖 自動車運搬船火災跡上空で旋回→横浜→1516羽田 (海上保安庁 わかわし JA6805(AS332 スーパーピューマ)クル−5名+中堀・宮下・川辺・津久井・古 屋+(羽田-大島往復の保安庁職員2名) 観測者氏名   津久井  (千葉大)   中堀・宮下(気象庁)   川辺   (産業技術総合研究所)   古屋   (東大震研:島内作業) 天候状態  くもり〜はれ 飛行経路 私にとっては昨年8/7以来のフライト.大型機(AS332 スーパーピューマ)で9時37分,羽田航空基地離陸. 東京は晴.やや低い雲,もやのむこうに富士山が見える.横浜付近の煙突の煙から判断すると弱い北風のもよ う.大島はやや,もやがかかっているものの西山腹に雲はない.大島空港で保安庁職員2名降機.山頂はみえ ない.大島以南は,弱い白波がたつ.北〜北北東の風の模様. 三宅島は標高600m以上に雲がかかり,カルデラ観察は難しい.10時35分三宅空港ヘリポート着陸.古屋さん 降機,COSPECの設定を行い,43分離陸.火口から3マイルの距離で赤場暁沖から,阿古沖まで時計周りに観 測する.風が弱く,ガスは上昇・拡散しているためか,肉眼では見えないものの,大路池南〜タツネ浜付近で SO2臭を感じる.ところが観測機器不調のためうまく測定できない.阿古ヘリポートに降りて中堀さんが調整 を試みるが復旧せず,午後に再挑戦することにして,火口,山麓の観測に.南西山腹からカルデラに接近する が雲と噴煙でカルデラ,火口は見えない.海岸に沿って時計周りに一周して11時36分午前の観測終了,新島 へ. 新島では中堀さん必死にCOSPECの調整.昼食,給油.午後は,阿古中ヘリポートまで飛んで,機材を設定 し,阿古沖から空港まで測定.やはり島の南でSO2臭を感じる.しかし白色噴煙は空港南端〜坪田方面へ流れ ている.火口上の雲が切れてきたため,空港で古屋さん搭乗後カルデラ観測を行う.よく見える!予定外の観 測のため,大島空港着陸の予定が迫っていて時間がなく,カルデラの周囲を速度を落とさず2周(約5分間)観 察.熱くなってビデオ撮影をしていたら窓が曇ってしまった. 大島空港で2名搭乗した後,(昨年11月26日のヘリ観測中止の原因となった)波浮沖の自動車運搬船の火災跡 上空を6〜7回旋回して調査し,羽田へ帰投. 観測結果 ビデオから起こした写真(2,3,4)の画質が非常に悪い点,お許し下さい. ○ 噴煙 午前11時ころは標高600m以上に雲がかかり,噴煙よくわからず(写真1).午後2時ころ上空の弱 い北西風で白色噴煙は目視では火口上200〜300mの高さまで上昇したのち南東に流れ間もなく消散(写真1 ).青白ガスは肉眼ではほとんど見えないが,COSPEC観測時に(午前,午後とも)大路池南〜タツネ浜方面 (ほぼ南)でSO2臭を感じた. ○ カルデラ内部・火口 午後2時ころ5分間程観察(写真2〜4).白色噴煙は火口,割れ目から出ている.量 は少なくないが,排出の力強さはなく,とぎれることもある(写真2,3).水たまり3箇所は変化ないように 見える(写真3,4). ○ 山麓の木々は変色しただけでなく枯死してしまったものが多いようにみえる.特に,村役場や三池の背後の 樹木は樹皮がむけてしまっているのか,やけに白っぽい(写真5). 写真 1 南西薄木沖から見た三宅島.海抜 600m以上が雲の中(午前11時22分).この時点ででは火口の観 察は無理. 写真 2 南山腹からみた噴煙.白色噴煙はとぎれがちで,火口上200〜300mまで上がり,南東へ流されてい る.まもなく消散(13時56分ころ).右手前に1535年割れ目火口列が見える. 写真 3 西から見た火口とカルデラ底.噴煙は火口,割れ目から出ている.量は少なくはないが,力づよさ はない. 写真 4 東側からみた火口とカルデラ底. 写真 5 村役場と背後の樹林.枯死したように見える樹木が多い. (津久井 雅志)