三宅島ヘリ観測報告 報告:嶋野(東大地震研) 日時:2003年8月20日(水)曇り 風:北東5−10ノット(現地) 発着:立川防災センター(東京消防庁) 搭乗機:かもめ(JA9692)機長北郷ほか(計4名) 同行:飯野,松田(気象庁),東宮(産総研)(以上敬称略) [行程] 9:42 立川離陸 靄がかかり視界悪い(目視でせいぜい10km) 10:11伊豆大島:雲かかる(北側>標高約200m,南側>標高約400m) 10:23 三宅島視界に入る(>標高300mは雲中) 山頂の雲がすぐには取れそうもないので,山頂火口観測の予定を変更してコスペック観測に. 10:31 三宅島空港着陸(エンジンONのまま);コスペックを観測用に固定. 10:43      離陸―コスペックによるガス観測 山頂から雲がたなびいている方向の三池沖から立根沖約5マイルのところを高度300ftでトラバース (1往復半;三宅空港沖で二酸化硫黄濃度ピーク).ガス特有の変色はほとんど認められない. その後,三本瀬付近で硫黄臭強い.雲はあまりないがややガスがかかっている.ここでも二酸化硫黄 濃度ピーク(空港沖より低い)→写真1 11:13 ガス観測終了,給油昼食のため,神津島へ(このとき山頂火口西縁が見える) 11:24 神津島空港着陸 ―――――――――――――― 13:17 神津島離陸 13:26 三宅島上空(阿古). 海岸沿いから鉢巻林道沿いを大路池(ここで硫黄臭)まで行って旋回,再び同ルート沿いに島内一周 (時計回り).大路池上空で旋回し再度一周(反時計回り).七島展望台上空付近で旋回(時計回り), ひょうたん山上空で旋回(反時計回り),阿古集落上空で旋回(時計回り).山頂火口は全く見えず. 火口西側縁が時折見えただけであった.→写真2 14:01 大久保浜上空で三宅島上空から離脱.立川に向けて高度上げる. 14:18 大島東沖 快晴(ただし大島の標高>約400mは雲がかかる) 14:50 立川防災センター着陸. 15:00過ぎ 解散. [観察結果] 山頂火口は観察できなかったが,山頂付近を取り巻く雲を突き抜けるような噴気が時折認められた. 山腹,山麓では顕著な地形変化(ダム工事等を除く)は確認できなかった.火山ガスは相変わらず 放出されている.今回は東〜南東方向にたなびくガス(雲の動きと同じ)と地上風の方向と同じ南〜 南西方向にたなびくガスがあった.前者は恐らく上空高いところの風向きを反映していると考えら れる. (嶋野岳人)