水の体積と密度


水は非常に圧縮性が高いという特徴をもつ。1気圧のもとで気体状態にある1モル(18g)の水は約22000 ccの体積を占める。ところが圧力をかけるに従って体積はどんどん減少し、0.5GPa(5000気圧)では約1000分の1の数十ccの体積を占めるにすぎなくなる。

マグマ中に溶解しうる水の量は圧力の低下とともに減少し、1気圧のもとではマグマ中にはほとんど水は溶解しない。したがって、高圧下で水を溶解したマグマが上昇し減圧をすると、溶解していた水は徐々にマグマから分離してその圧力に応じた大きな体積を占めることになる。この水の膨張が火山の爆発的噴火の一要素となっている。

水の体積についてはガス圧型高圧装置によるBurnham et al. (1969), Burnham and Davis (1971), ダイヤモンドアンビル型高圧装置によるBrodholt and Wood (1994)などによる測定値が提出されており、実験値を満たす計算式が何組もの研究者によって提出されている。ここでは、気体(超臨界状態を含む)の体積については、Kerrick and Jacobs (1981, Am.J.Sci.)とPitzer and Stemer (1994, J. Chem. Phys.)の計算式を、シリケイトメルト中の水の体積についてはBurnham and Davis (1971, Am.J.Sci.)のNaAlSi3O8メルト中の水の体積の計算式を採用している。

Burnham and Davis (1971)のメルト中の水の体積計算式の適用範囲は1GPa以下程度、一方、 Pitzer and Stemer (1994)の気体の水の体積計算式の適用範囲は2.5GPaまでの実験値とは良く一致している(P&Sの原典によれば少なくとも10GPaまで適用可能)。

計算結果のグラフでは気体の水の体積を赤色、メルト中の水の体積を青色で表示している。1GPaを越える範囲についてもメルト中の水の体積を計算して表示しているが、意味の無い値であることに注意。


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15-Oct-1997; yasuda@eri.u-tokyo.ac.jp