加納靖之 2019-11-09
情報・システム研究機構 データサイエンス共同利用基盤施設 人文学オープンデータ共同利用センター(CODH)で開発・公開されている IIIF Curation Viewer は「キュレーション」の機能がついた IIIF ビューアーです.2019年11月にリリースされたバージョン1.7では,「キュレーション領域に画像や文字マーカーを表示」することができるようになりました.
この新機能を利用した江戸マップβ版が CODH から公開されています.
さて,各地のデジタルアーカイブで地震などの自然災害の様相を描いた絵図(絵地図)が多数公開されています.江戸マップβ版のような手法を使えば,これらの災害に関する絵図に情報を付加して,より見やすく,あるいは,より調べやすく展示できるのではないかと思います.
試しに,『銘細改板江戸大地震出火場所附』(東京大学総合図書館所蔵)の地名にマーカーを載せてみました.お急ぎの方はすぐにお試しください.
『銘細改板江戸大地震出火場所附』(東京大学総合図書館所蔵)を改変.
1855年江戸地震(安政江戸地震)の被害のようすを描いた絵図です.
ちなみに『銘細改板江戸大地震出火場所附』(東京大学総合図書館所蔵)をはじめとする「石本コレクション」は,市民参加型の翻刻プロジェクト「みんなで翻刻」にも搭載されています.この絵図は翻刻済となっていますが,他の史資料の翻刻にもぜひご参加ください.
以下のリンクで画像を開くと,マーカーをクリックすると地名が表示されるようになっています.ビューアーの左下のスライダーで,マーカーの位置や透明度を調整できます.
マーカーなしで絵図をみることができます.
それぞれの地名の横のリンクをクリックすると地名(マーカー)にズームして絵図表示されます.
高精細画像を自分の手元に置いておかなくても,いろいろ加工したり情報を載せたりできるのが IIIF のおもしろいところだと思います(他にもいろいろご利益はあると思います).今後もいろいろ試してみようと思います.いっしょにやってみようという方がおられたらご連絡いただけたらうれしいです.
謝辞:以下のソフトウェアや資料を用いました.記して感謝いたします.