議事概要

第2回(平成24年度第2回)都市の脆弱性が引き起こす激甚災害の軽減化プロジェクト運営委員会
開催日時 平成25年2月4日(金) 13:30〜17:30
開催場所 東京大学地震研究所1号館3階 会議室

議事次第

[1] 報告

・開催の挨拶(武村)

・配付資料の確認(事務局)

・出席者の確認

・前回議事録の確認(事務局)

・文部科学省挨拶、予算の説明(文部科学省)

・地震研究所共同利用・特定共同研究の登録(平田)

[2] 議事

(1)研究計画 (5か年の研究計画及び平成24年度の実施計画・進捗状況)

1.南関東の地震像の解明

a.首都圏での地震発生過程の解明

a1.首都圏主部での地震発生過程の解明(平田)【都24-2-5】

a2.首都圏南西部での地震発生過程の解明(宮岡)【都24-2-6】

a3.首都圏を含む関東広域の地震発生過程の解明(木村)【都24-2-7】

b.プレート構造・変形過程と地震発生過程の解明

b1.構造探査とモデリングに基づくプレート構造・変形過程と地震発生過程の解明(佐藤)【都24-2-8】

b2.関東下の構成岩石モデルの構築(石川)【都24-2-9】

c.首都圏での中小地震と大地震の発生過程の関係の解明 (佐竹)【都24-2-10】

d.首都圏の過去の地震活動に基づく地震活動予測手法の確立(鶴岡)【都24-2-11】

2.観測に基づく都市の地震被害評価技術の開発

a.地震動・地震応答の大規模数値解析法の開発(堀)【都24-2-12】

b.大規模数値解析結果の先端可視化技術の開発(廣瀬)【都24-2-13】

3.サブプロジェクトジェクト@の管理・運営

4.統括委員会によるプロジェクト全体の運営

5.サブプロジェクトジェクト間の連携について

[2] その他

・平成24年度成果報告書の作成について(地震研、平田)

・総評


配布資料一覧

都24-2-1 出席者リスト

都24-2-2 前回議事録

都24-2-4 地震研究所共同利用・特定共同研究の登録

都24-2-5 首都圏主部での地震発生過程の解明

都24-2-6 首都圏南西部での地震発生過程の解明

都24-2-7 首都圏を含む関東広域の地震発生過程の解明

都24-2-8 構造探査とモデリングに基づくプレート構造・変形過程と地震発生過程の解明

都24-2-9 関東下の構成岩石モデルの構築

都24-2-10 首都圏での中小地震と大地震の発生過程の関係の解明

都24-2-11 首都圏の過去の地震活動に基づく地震活動予測手法の確立

都24-2-12 地震動・地震応答の大規模数値解析法の開発

都24-2-13 大規模数値解析結果の先端可視化技術の開発

都24-2-14 サブプロジェクト@の管理・運営

都24-2-15 統括委員会によるプロジェクト全体の運営

都24-2-16 サブプロジェクト間の連携について

都24-2-17 平成24年度成果報告書の作成について

出席者

委員

1.研究実施機関研究者

東京大学地震研究所 教授 平田 直

東京大学地震研究所 教授 佐藤比呂志

東京大学地震研究所 教授 佐竹健治

東京大学地震研究所 准教授 鶴岡 弘

東京大学地震研究所 教授 堀 宗朗

東京大学地震研究所 准教授 酒井慎一

東京大学地震研究所 助教 中川茂樹

2.再委託先機関研究者

神奈川県温泉地学研究所 研究課長 宮岡一樹

防災科学技術研究所 主任研究員 木村尚紀

横浜国立大学大学院環境情報研究院 教授 石川正弘

東京工業大学大学院情報理工学研究科 教授 廣瀬壮一

3.上記以外の有識者

(委員長)

名古屋大学減災連携研究センター 教授 武村雅之

(委員)

国土交通省国土地理院 主任研究官 西村卓也

気象庁地震火山部地震予知情報課 課長 土井恵治

地震予知総合研究振興会 副首席主任研究員 笠原敬司

兵庫県立大学環境人間学部 准教授 木村玲欧

東京都総務局 企画調整担当部長 箕輪泰夫

オブザーバー

(委託元)

文部科学省研究開発局地震・防災研究課 課長 寺田博幹

文部科学省研究開発局地震・防災研究課 室長補佐 西城祐樹

文部科学省研究開発局地震・防災研究課 調査員 山田哲也

文部科学省研究開発局地震・防災研究課 調査員 谷 雅一

(再委託先等)

神奈川県温泉地学研究所 技師 本多亮

東京都総務局 防災専門員主任 渡辺秀文

東京都総務局 防災専門員 萩原弘子

(地震研究所・事務局)

東京大学地震研究所 助教 石山達也

東京大学地震研究所 特任研究員 石辺岳男

東京大学地震研究所 特任研究員 パナヨトプロス・ヤニス

東京大学地震研究所 特任研究員 横井佐代子

東京大学地震研究所 学術支援専門職員 西山昭仁

東京大学地震研究所事務部 事務長 戸張勝之

東京大学地震研究所事務部 副事務長 渡邉重夫

東京大学地震研究所研究支援チーム 係長 西村まり

議事録

〔報告〕

・武村委員長より開会の挨拶があった。

・事務局から配資料の確認があり、資料【都24-2-3】は欠番の説明があった。また、資料【都24-2-1】に基づく出席者の確認、ならびに資料【都24-2-2】に基づく前回議事録の確認依頼があった。

・寺田オブザーバーから挨拶があり、本運営委員会をこれからの都市災害についてどのような対策をとっていくべきか、その根拠となる色々な考え方を整理する委員会と位置付けている。各研究者個人の成果として色々な物が出てくることも大切であるが、これらの成果が合わさった時にどういう像を指し示すのか、分割して研究し統合して理解することが重要であるのでこの委員会で活発に議論し、結論を導き出してほしいとの要望があった。

・西城オブザーバーから挨拶があり、平成25年度予算について説明があった。

・平田委員から資料【都24-2-4】に基づき、地震研究所共同利用・特定共同研究の登録について説明があった

〔議事〕

(1)研究計画 (平成24年度の進捗状況と平成25年度の実施計画)

1.南関東の地震像の解明

・酒井委員から資料【都24-2-5】に基づき、「a1.首都圏主部での地震発生過程の解明」について説明があった。

・佐竹委員から内閣府の調査によれば、2012年スマトラ沖地震の際には2方向から来る地震波が埼玉県で干渉する現象がみられたが、これをみているのかと質問があった。これに対し酒井委員から、色んな周波数帯で様々なことをみている。どういうふうに首都圏の構造につなげていくかがこれから大事になるとの回答があった。

・寺田オブザーバーから地震防災知識の普及の活動について聴衆、用いる資料、聴衆の反応について質問があった。これに対し酒井委員から、聴衆は多岐にわたり、みな自分のところを気にしていて、どういうことをやってほしいという要望を受ける。地震がいつ起こるかだけではなく、その後どうなるのかを教えてほしいと要望されるとの回答があった。続けて武村委員長より、記録を残すフォーマットを酒井委員及び文部科学省で作成してはどうかとのコメントがあった。

・宮岡委員から資料【都24-2-6】に基づき、「a2.首都圏南西部での地震発生過程の解明」について説明があった。

・武村委員長から、今分かっている中で1924年1月15日の丹沢地震はどういう位置づけになるのか質問があった。これに対し宮岡委員から今後調査するという回答があった。

・木村(尚)委員から資料【都24-2-7】に基づき、「a3.首都圏を含む関東広域の地震発生過程の解明」について説明があった。

・佐藤委員から資料【都24-2-8】に基づき、「b1.構造探査とモデリングに基づくプレート構造・変形過程と地震発生過程の解明」について説明があった。

・堀委員から有限要素法によるモデリングであれば協力できるとのコメントがあった。これに対し佐藤委員より、現在は商用ソフトを使いアセノフェアーの形状の影響を簡単なモデルでフィジビリティ評価を行い、プロトタイプを作っているところである。将来的にはスーパーコンピュータ等で計算していく必要があると考えているとの回答があった。

・武村委員から粘弾性モデルの粘性の流れやすさはどうやって決めるのか質問があった。これに対し、佐藤委員より東北地方太平洋沖地震の際に記録された地殻変動のデータを使うことにより粘弾性パラメータが決められると考えており、成功すれば非常に大きな成果になる。石川委員は、地表に出ている岩石を高圧高温にしてVp/Vsを測定し、地震学的に観測された地震波速度分布からどれほどよく岩質の化学組成を決められるか、温度はどうやって決めるかを調査している。平田委員の方でも、岩石モデルを考慮した温度圧力条件が分かってきた。これらを総合的に考えることにより信頼性の高い粘性率を推定できるようになると考えているとの回答があった。

・石川委員から資料【都24-2-9】に基づき、「b2.関東下の構成岩石モデルの構築」について説明があった。

・佐藤委員から伊豆衝突帯の先はどう解釈するのか質問があった。これに対し石川委員から構成主要鉱物は斜長石と角閃石と考えられる。角閃石は含水鉱物なので地下深部に行くと脱水しグラニュライトに変わっていると予想できるとの回答があった。続けて、佐藤委員からその場所の温度を推定することは可能であるか質問があった。石川委員からできると思いますと回答があった。

・佐竹委員から資料【都24-2-10】に基づき、「c.首都圏での中小地震と大地震の発生過程の関係の解明」について説明があった。

・武村委員から、元禄関東地震の前の活動は大正関東地震前と頻度や規模の点で似ているか質問があった。これに対し佐竹委員からそのような視点で見ることもできると回答があった。西山オブザーバーから1650年以前は江戸における史料記述が少ないので地震活動を決めるのは難しいが、数少ない資料から被害地震の様子を分析することで解明することができると考えられるとのコメントがあった。また、武村委員長から用いるデータの場所を上手く選べば、時代間の比較は可能なのではないか質問があった。西山オブザーバーから、例えば日光であれば資料が残されているので比較は可能であるとの回答があった。

・笠原委員から、首都直下プロジェクトで作成した液状化痕データベースは利用するのか質問があった。これに対し佐竹委員から今後、積極的に使用していきたいとの回答があった。また、佐藤委員からぜひ活用して頂きたいとのコメントがあった。

・寺田オブザーバーから、前回の首都直下地震プロジェクトの時に1885年以降に発生した5つのM7級被害地震について類型化を行い、フィリピン海プレート上面の地震が見つかっていないが、今回の調査では見つかったのか質問があった。これに対し佐竹委員から、首都直下プロジェクトの時に解明したのは明治以降の地震で波形記録があったが、今回はそれがなく震度分布だけでやらなければいけないので地震波の減衰構造や深さを調べればある程度目処がつく。しかし、前回ほど簡単ではないとの回答があった。武村委員長から関東地方の構造は複雑なので震源を推定することは相当難しいとのコメントがあった。佐竹委員から最近に発生した地震の震度分布との比較からも震源を推定することは可能なので利用していきたいとの回答があった。

・鶴岡委員から資料【都24-2-11】に基づき、「d.首都圏の過去の地震活動に基づく地震活動予測手法の確立」について説明があった。

・武村委員長から過去にさかのぼって地震の発生予測を行うのか質問があった。これに対し、鶴岡委員から事後予測を行いながら予測モデルを改良していく予定であるとの回答があった。

・平田委員からサブプロジェクト@の研究計画についてのレビューがあった。

・武村委員長から、平田委員が一生懸命説明しないとプロジェクトの意味が分からないこと自体かなり大変だということなのではないかとの発言があった。専門家のやりたいことの寄せ集めになっているので、もっと簡潔に説明する方法を皆で考えるべきとの提案があった。

・土井委員から、平田委員の説明によってサブプロジェクト@の全体像が見えたとの発言があった。常に全員がこの像を忘れなければ、プロジェクトは当初の目的に向かって進むのではないか。サブプロジェクトAやBとの連携も意識しているようなので非常に良い。安心して全体の課題をみていけるとのコメントがあった。

・木村(玲)委員から、サブプロジェクトジェクト@の個々の研究課題は面白いが、オムニバス形式の危うさはあると指摘があった。トップダウンとボトムアップを上手く組み合わせながらプロジェクトの内容を説明していかなくてはいけない。平田委員が示した全体像の図は分かりやすいと思ったとのコメントがあった。

・西村委員から、このプロジェクトの成果と国土地理院や中央防災会議などで行われている関東の地震の調査との関係はどうなるのか質問があった。これに対し平田委員から、研究成果が出れば、他の機関で使っていただく可能性はあると回答があった。

・笠原委員から科学的な調査や研究は行きつくとこまで来ている感じがするとの発言があった。これから新しいデータを取って突っ込んでいくというフェイズに入るので結果を出すためにかなり時間が必要になってくる。焦らないで着実に積み上げて次の防災・減災に向かって良い結果を出していけばよいとのコメントがあった。

・箕輪委員から、都民と話をする際に東京湾北部地震とは何か行政自身もあいまいな説明しかできないので、東京湾北部地震の発生過程やメカニズムについて解明が進むことを期待しているとのコメントがあった。

2.観測に基づく都市の地震被害評価技術の開発

・堀委員から資料【都24-2-12】に基づき、「2.観測に基づく都市の地震被害評価技術の開発の概要」ならびに「a.地震動・地震応答の大規模数値解析法の開発」について説明があった。引き続き、堀委員から資料【都24-2-13】に基づき、「b.大規模数値解析結果の先端可視化技術の開発」について説明があった。

・武村委員長から、MeSO-netで観測された地震波形を入力に使っている分には問題ないが、想定地震動の場合には困らないのか、また想定地震動はどういう形で与えられるのか質問があった。理論的に計算できる地震波形は、長周期側は良く説明できるが短周期側は現在のところ良く説明できない。これによって生じるモデルの精緻のアンバランスさが気になる。これに対し堀委員から首都高と鹿島と共同で行っている調査で山の手トンネルを作る際に首都直下地震の影響を調べた。大規模数値解析を使えば、数値計算することができるとの回答があった。

・武村委員長からどれくらいの周波数帯まで計算するのか質問があった。これに対し堀委員より1Hz程度までできれば望ましいと回答があった。

〔その他〕

・平田委員から資料【都24-2-17】に基づき、平成24年度成果報告書の作成について説明があった。5月30日に文部科学省に提出しなければいけないので、3月31日までに第1次原稿を提出してほしいとのお願いがあった。

・総評

・木村(玲)委員から、サブプロジェクト間の連携をきちんと行ってほしいという武村委員長からの要望について、サブプロジェクトBに持ち帰って実現させるよう検討したいとの発言があった。人間のリスク認知は発生可能性とそれが起こった時の影響力の大きさの2つの変数で決定すると言われており、これらを明確に区別しないと一般の人はリスク認知ができない。今回の研究報告では発生可能性に関する成果が期待できる。また影響についてはシミュレーションで視覚的かつ数値的に人に伝えられる成果が期待できる。これらの成果から得られるシナリオをサブプロジェクトBに組み込んでいきたいとのコメントがあった。

・西村委員から、サブプロジェクト@における個別の課題がどのように連携してくか注目しているとの発言があった。特に課題b1の粘弾性モデリングの課題は非常に挑戦的なテーマであり、東北地方太平洋沖地震の際のデータを使うということで、巨大地震後の今だからこそできる研究の成果を期待しているとのコメントがあった。

・笠原委員から、首都圏の地震像はまだ掴みきれておらず、もう少し幅広い手法で認識していかないと見誤るのではないかとの発言があった。また、このプロジェクトの要は地震観測を高層階まで行うことであり、これをできるだけ早く進めて成果を出してほしいとのコメントがあった。

・萩原オブザーバーから、研究成果を東京都の行政に分かるように伝えることができればと考えているとの発言があった。

・渡辺オブザーバーから、サブプロジェクト@の首都圏の地震像を正しく認識するのは難しいという話があったが、そこを一番期待したいとの発言があった。東京都は被害想定を出したが、堀委員から提示された研究を元に、より現実的な想定を今後出せるようになるのではないかと思うとの発言があった。

・寺田オブザーバーから、研究成果を公表する際には手順を守ってほしいとの要望があった。

・武村委員長から、サブプロジェクト@がどのようなアウトプットを出したらいいのか明確にするために、サブプロジェクトAとBは早目に研究を進めてほしいとの要望があった。そして、お互いの連携を常に意識すること、報告書は分かりやすく書くことなどの要望があった。

〔閉会〕

・平田委員から挨拶があり、閉会した。