議事概要

第3回(平成25年度第1回)都市の脆弱性が引き起こす激甚災害の軽減化プロジェクト運営委員会
開催日時 平成25年10月3日(木) 12:30〜17:30
開催場所 東京大学地震研究所1号館3階 会議室

議事次第

[1] 報告

・開催の挨拶(武村)

・配付資料の確認(事務局)

・新運営委員等の自己紹介

・出席者の確認

・前回議事録の確認(事務局)

・文部科学省挨拶、予算の説明(文部科学省)

・地震研究所共同利用・特定共同研究の登録(平田)

[2] 議事

(1)研究計画 (平成25年度の実施計画と進捗状況について)

1.南関東の地震像の解明

a.首都圏での地震発生過程の解明

a1.首都圏主部での地震発生過程の解明(平田)【都25-1-5】

a2.首都圏南西部での地震発生過程の解明(宮岡)【都25-1-6】

a3.首都圏を含む関東広域の地震発生過程の解明(木村)【都25-1-7】

b.プレート構造・変形過程と地震発生過程の解明

b1.構造探査とモデリングに基づくプレート構造・変形過程と地震発生過程の解明(佐藤)【都25-1-8】

b2.関東下の構成岩石モデルの構築(石川)【都25-1-9】

c.首都圏での中小地震と大地震の発生過程の関係の解明 (佐竹)【都25-1-10】

d.首都圏の過去の地震活動に基づく地震活動予測手法の確立(鶴岡)【都25-1-11】

2.観測に基づく都市の地震被害評価技術の開発

a.地震動・地震応答の大規模数値解析法の開発(堀)【都25-1-12】

b.大規模数値解析結果の先端可視化技術の開発(廣瀬)【都25-1-13】

3.サブプロジェクトジェクト@の管理・運営

4.統括委員会によるプロジェクト全体の運営

5.サブプロジェクト間の連携について

[2] その他

・日本地球惑星科学連合2014年大会への対応(地震研、平田)

・総評


配布資料一覧

都25-1-1 出席者リスト

都25-1-2 前回議事録

都25-1-4 地震研究所共同利用・特定共同研究の登録

都25-1-5 首都圏主部での地震発生過程の解明

都25-1-6 首都圏南西部での地震発生過程の解明

都25-1-7 首都圏を含む関東広域の地震発生過程の解明

都25-1-8 構造探査とモデリングに基づくプレート構造・変形過程と地震発生過程の解明

都25-1-9 関東下の構成岩石モデルの構築

都25-1-10 首都圏での中小地震と大地震の発生過程の関係の解明

都25-1-11 首都圏の過去の地震活動に基づく地震活動予測手法の確立

都25-1-12 地震動・地震応答の大規模数値解析法の開発

都25-1-13 大規模数値解析結果の先端可視化技術の開発

都25-1-14 サブプロジェクト@の管理・運営

都25-1-15 統括委員会によるプロジェクト全体の運営

都25-1-16 サブプロジェクト間の連携について

都25-1-17 平成24年度成果報告書の作成について

出席者

委員

1.研究実施機関研究者

東京大学地震研究所 教授 平田 直

東京大学地震研究所 教授 佐藤比呂志

東京大学地震研究所 特任研究員 石辺岳男(佐竹委員代理)

東京大学地震研究所 准教授 鶴岡 弘

東京大学地震研究所 教授 堀 宗朗

東京大学地震研究所 准教授 酒井慎一

東京大学地震研究所 助教 中川茂樹

2.再委託先機関研究者

神奈川県温泉地学研究所 研究課長 宮岡一樹

防災科学技術研究所 主任研究員 木村尚紀

横浜国立大学大学院環境情報研究院 教授 石川正弘

東京工業大学大学院情報理工学研究科 教授 廣瀬壮一

3.上記以外の有識者

(委員長)

名古屋大学減災連携研究センター 教授 武村雅之

(委員)

国土交通省国土地理院 主任研究官 水藤 尚

気象庁地震火山部地震予知情報課 課長 土井恵治

地震予知総合研究振興会 副首席主任研究員 笠原敬司

株式会社小堀鐸二研究所 副所長 小鹿紀英

兵庫県立大学環境人間学部 准教授 木村玲欧

東京都総務局 企画調整担当部長 村山 隆

横浜市総務局 危機管理室情報技術課担当係長 高原 工(宇都木委員代理)

オブザーバー

(委託元)

文部科学省研究開発局地震・防災研究課 室長 丸山秀明

文部科学省研究開発局地震・防災研究課 室長補佐 清水乙彦

文部科学省研究開発局地震・防災研究課 調査員 山田哲也

(再委託先等)

神奈川県温泉地学研究所 技師 本多亮

東京都総務局 防災専門員主任 渡辺秀文

東京都総務局 防災専門員 萩原弘子

東京都総務局 総合防災部防災管理課防災事業推進担当係長 関根 豊

東京都総務局 総合防災部防災管理課防災事業推進係主事 辻 正博

(地震研究所・事務局)

東京大学地震研究所 准教授 長尾大道

東京大学地震研究所 助教 石山達也

東京大学地震研究所 特任研究員 パナヨトプロス・ヤニス

東京大学地震研究所 特任研究員 橋間昭徳

東京大学地震研究所 特任研究員 村岸 純

東京大学地震研究所 特任研究員 横井佐代子

東京大学地震研究所 特任研究員 林 旭川

東京大学地震研究所 学術支援専門職員 西山昭仁

東京大学地震研究所事務部 事務長 戸張勝之

東京大学地震研究所研究支援チーム 係長 西村まり

議事録

〔報告〕

・武村委員長より開会の挨拶があった。

・・ 事務局から配布資料の確認があり、資料【都25-1-3】は欠番との説明があった。また、資料【都25-1-1】に基づく出席者の確認、ならびに資料【都25-1-2】に基づく前回議事録の確認依頼があった。

・・ 文部科学省丸山室長から挨拶があり、本サブプロジェクトについて平行して実施される他のサブプロジェクトと協力して成果をあげることを期待すると述べた。

・平田委員から資料【都25-1-4】に基づき、地震研究所共同利用・特定共同研究の登録について説明があった。

・長尾オブザーバー、林オブザーバーから自己紹介があった。

〔議事〕

(1)研究計画(平成25年度の実施計画と進捗状況)

2.観測に基づく都市の地震被害評価技術の開発

・堀委員から資料【都25-1-12】に基づき、「a.地震動・地震応答の大規模数値解析法の開発」について説明があった。

・武村委員長から、この研究のシミュレーションにどういう情報が関わるのかという質問があった。それに対し堀委員から、昨年度のサブプロジェクトAで選定した建築物に設置した加速度計の応答データや、それらの建築物の厳密な応答モデルと比較する予定であるとの回答があった。また小鹿委員から、サブプロジェクトAで行なわれる実験について補足説明があった。

・小鹿委員から、MDOFに従うモデルを用いても精度が下がる場合もあること、建築物の応答特性にはある程度のばらつきを持たせるべきだという指摘があった。これに対し堀委員から、フラジリティーカーブよりも良い結果を得るようなモデルを作成するという回答があった。

・廣瀬委員から資料【都25-1-13】に基づき、「b.大規模数値解析結果の先端可視化技術の開発」について説明があった。

・武村委員長から、この研究がサブプロジェクトBと具体的にどのように関係するのかという質問があった。これに対し廣瀬委員からは退避シミュレーションとの連携が考えられるという説明があった。

・平田委員から、東京23区の可視化というのは具体的にどういうことなのかという質問があった。それに対し廣瀬委員から、シミュレーション計算を行いながらリアルタイムに結果を可視化するということであるという説明があった。また、武村委員長から、リアルタイムで可視化する意義は何かという質問があった。これに対し廣瀬委員から、現場の技術者からの要望があるという回答があった。堀委員から可視化結果の例の紹介があった。

・木村(玲)委員からは、動画を用いて一般の人々にどう説明するのかを考えるべきだという指摘があった。

1.南関東の地震像の解明

・酒井委員から資料【都25-1-5】に基づき、「a1.首都圏主部での地震発生過程の解明」について説明があった。

・武村委員長から、この研究の目標は地下構造を三次元的に求めることなのかという質問があった。これに対し、酒井委員から定量的に三次元モデルを求めるとの回答があった。

・山田オブザーバーから、この研究の成果は建築物等上部構造の地震動モデルに反映されるのかという質問があった。これに対し酒井委員から、MeSO-net観測網のうち3点を選び地下と地上の建築物で観測を行なって、地下浅部の構造がどのように影響するのかを検証しているとの回答があった。

・本多オブザーバーから資料【都25-1-6】に基づき、「a2.首都圏南西部での地震発生過程の解明」について説明があった。

・武村委員長から、本研究で解析した1923年関東地震の最大余震は本震の断層面の延長、すなわちフィリピン海プレートの沈み込み面で起こっているのかという質問があった。これに対し本多オブザーバーから、傾斜角については本震と少し異なるがその通りであるという回答があった。また、武村委員長から新しいデータを用いて地下構造をキャリブレーションするべきであるとの指摘があった。

・武村委員長から、箱根火山の活動と周辺の地震発生との関係を調べているのかという質問があった。これに対し本多オブザーバーから、2011年東北地方太平洋沖地震に関しては明らかに誘発地震が見られたが、その他には周囲で大きな地震が少ないので特に目立った関係性は見られない、今後詳細に調査したいとの回答があった。

・木村(尚)委員から資料【都25-1-7】に基づき、「a3.首都圏を含む関東広域の地震発生過程の解明」について説明があった。

・武村委員長から、銚子沖の地震のメカニズム解が正断層型であることについて、フィリピン海プレートがこの付近で沈み込みにくくなり、隆起が起こるのが原因であるのかという質問があった。それに対し木村(尚)委員から、そのように考えられるという回答があった。また平田委員から、銚子沖付近では東北地方太平洋沖地震前から正断層型のメカニズム解をもつ地震が発生していたのかという質問があった。それに対し、木村(尚)委員から数は少ないが正断層型のメカニズム解の地震が発生していたとの回答があった。

・佐藤委員から資料【都25-1-8】に基づき、「b1.構造探査とモデリングに基づくプレート構造・変形過程と地震発生過程の解明」について説明があった。

・武村委員長から、下部地殻の粘弾性を含むモデルを作り、調査した上部地殻の断層にかかるクーロン応力を求めることが本課題の概要であるのかという質問があった。これに対し佐藤委員からは、下部地殻だけでなく上部マントルも含む粘弾性モデルを作り、首都圏の伏在断層における地震の起こりやすさを推定するという説明があった。

・水藤委員から、今後行なわれる粘弾性モデルとして、マクスウェルモデルだけでなく、バーガーズモデルや冪乗モデルなど複数のモデルを比較しながら行なうのが望ましいとの指摘があった。これに対し佐藤委員からは、地質データや温度構造などの情報も含めながら複数のモデルを検討したいとの回答があった。

・石川委員から資料【都25-1-9】に基づき、「b2.関東下の構成岩石モデルの構築」について説明があった。

・武村委員長から、深部の温度圧力条件の精度に対して、地震波速度から構成岩石の種類がどの程度特定できるのかという質問があった。それに対し石川委員から、温度圧力の影響よりも構成岩石の違いによる効果が大きいので岩石の種類は絞ることが可能であるという回答があった。また石川委員から、構成岩石の種類を特定することによって、地下の物性構造に関して厳密なモデルを作ることができるという説明があった。

・石辺委員代理から資料【都25-1-10】に基づき、「c.首都圏での中小地震と大地震の発生過程の関係の解明」について説明があった。

・鶴岡委員から、宇津カタログの再検討に関して、深さの精度はどの程度に決まるのか、また解析領域は関東に限定するのか、という質問があった。これに対し石辺委員代理からは、精度は各地震に対して残されたデータ量に強く依存するが、どのプレートに属すか、プレート境界型なのかプレート内部型の地震なのかなどの類型化できる可能性があるとの回答があった。また解析領域については、対象となる地震数が多いため関東に限定するという回答があった。

・武村委員長から、横枕の津波堆積物について、元禄関東地震の堆積物があるのかという質問があった。これに対し、石辺委員代理からは江戸時代以降耕作地として開発されたので、元禄関東地震の津波堆積物は残っていないという回答があった。また武村委員長から、その他の地点で津波堆積物が残されていないのかという質問があった。これに対し石辺委員代理からは、相模湾において調査地点を選定中であるとの回答があった。

・土井委員から、明応四年と明応七年の地震をどのように判定するのかという質問があった。これに対し石辺委員代理からは、堆積物の堆積年代は判定する精度がないため、歴史資料から調査したいとの回答があった。

・鶴岡委員から資料【都25-1-11】に基づき、「d.首都圏の過去の地震活動に基づく地震活動予測手法の確立」について説明があった。

・武村委員長から、本研究で求められた下限マグニチュードについて古い時代のものは小さいのではないのかという質問があった。これに対し鶴岡委員は、本研究の機械的な手法では下限マグニチュードを過小評価しうるという回答があった。

・武村委員長から、対象領域の関東地方は、内陸と海洋では異なる地震活動を示しうるのではないのかという質問があった。それに対し鶴岡委員からは、そのことを考慮して、対象領域内の下限マグニチュードの空間分布をもとめなければならないという回答があった。

・笠原委員から、「c.首都圏での中小地震と大地震の発生過程の関係の解明」において古い地震の深さを求められれば、本研究にとって有用であるという指摘があった。

3.サブプロジェクト@の管理・運営

・平田委員から資料【都25-1-14】に基づき、サブプロジェクト@の管理・運営について説明があった。

4.統括委員会によるプロジェクト全体の運営

・平田委員から資料【都25-1-15】に基づき、統括委員会によるプロジェクト全体の運営について説明があった。

5.サブプロジェクト間の連携について

・酒井委員から資料【25-1-16】に基づき、サブプロジェクト間の連携について説明があった。

〔その他〕

・平田委員から資料【25-1-17】に基づき、日本地球惑星科学連合2014年大会への対応について説明があった。

・武村委員長から、地球惑星科学以外の研究者も幅広く含めたセッションにするべきだという指摘があった。木村(玲)委員からはサブプロジェクト間のコラボレーションという方向性を打ち出してはどうかという提案があった。

・総評

・笠原委員から、大規模数値計算や地球内部物性の観測に期待するという指摘があった。

・土井委員から、このプロジェクトの成果を一般の人々にどのように伝えるのかが重要であるとの指摘があった。

・水藤委員から、プロジェクトにおける各研究が確実に進展しているという印象を受けた。このプロジェクトを日本列島域全体に応用できる汎用的なプロジェクトに広げてはどうかという指摘があった。

・小鹿委員から、サブプロジェクトAで行なう建築物の振動実験に関して、退避に関する判断基準を結果として出せば、サブプロジェクト@と連携がとれるだろうという発言があった。また、サブプロジェクトAの立場からは、今後首都圏でどのような地震が起きてどのような震度分布が想定できるのかという情報をこのプロジェクトで得られるのかという質問があった。これに対し平田委員から、そのことを視野に入れて研究を行なっているという回答があった。

・木村(玲)委員から、プロジェクトで得られた研究成果(素材)を、どのようにしたら一般の人々に有用な防災減災の「教材」となるように加工できるのかを、よく考えるべきだという指摘があった。

・村山委員から、プロジェクトの成果を一般の人々に見えやすいものにして欲しいという要望があった。東北地方太平洋沖地震以降、行政では被害地震を想定する際に最大限のもの想定して対策するようになっているので、それに配慮してプロジェクトの成果を示して欲しいという要望があった。

・丸山室長から、成果をどのようにわかりやすく一般の人々に示せるかをどのようにしたら活用しやすいものになるのかが今後の課題であるという指摘があった。

・武村委員長から、科学が一般社会から乖離していて一般の人々にとってわかりにくいものとなっていることがプロジェクトの障害となりうるため、研究者はわかりやすい説明を行なうために時間を割くべきであるという指摘があった。堀委員からは、大学の研究者は手始めに身近な存在である学生にわかりやすく説明することを心がけてはどうかという指摘があった。平田委員から、このプロジェクトは将来を目指して目的意識をもった研究計画であるので、現在の段階では成果が見えにくいかもしれないが、最終段階においては成果を明確にする予定であるという説明があった。

〔閉会〕

・平田委員から挨拶があり、閉会した。