EIC地震学ノート No.42                  May 4, 98

東大震研情報センター

◆遠地実体波解析(改訂98/05/21)◆ ---------------------------------------

5月4日石垣島南方沖の大地震(Ms 7.3)

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● 概略・特徴: 日本時間5月4日8時30分、石垣島南方250km余りでM7.7(気象庁
速報)の大地震が起こりました。この地震に対して、沖縄地方に津波警報、九州地
方に津波注意報が出されました。気象庁の速報による震源諸元は次の通りです。

  発生時刻        震央    深さ    マグニチュード
 08:30 JST   22.4°N  125.6°E   20 km    7.7 (M)  7.3(Ms:USGS)

● データ処理: IRIS-DMCのデータを地震研究所の準リアルタイムサービス
 (gopher) により収集しました。解析には9地点の広帯域地震計記録(P波上下動)
を用いました。メカニズムの変化を考慮したインバージョンにより、2個のサブイ
ベントを求めました。

●結果:解析結果を図1に示します。東西圧縮のほとんど純粋な横ずれ型の震源で
す。初めの数秒間にメカニズムのやや異なる初期破壊相が見られます。主破壊は
初期破壊の南東に位置します。主な震源パラメータは以下のとおりです。

 走向、傾斜、すべり角(全体) =  (321, 79, -10)
        北西南東走向の左横ずれ断層
 地震モーメント     Mo  =  2.1 x10**20 Nm  (Mw = 7.5)
  破壊継続時間      T  = 18 s 
 深さ(Centroid)      H = 20 km
 断層面積         S = 40x20 km**2
 くいちがい        D = Mo/μS = 4.1 m
 応力降下         Δσ = 2.5Mo/S**1.5 = 23 MPa

● 解釈その他:メカニズム、及び、Mwの大きさの割に破壊継続時間が短いこと
(高応力降下)から、プレート内部の地震と考えられます。サブイベントの伝播
方向については余震分布(気象庁予知連資料)と調和的ですが、余震分布は双方
向破壊を示唆しているように見えます。
                           (文責:菊地・山中)