EIC地震学ノート No.43                  May 12, 98

東大震研情報センター

◆遠地実体波解析(改訂 98/05/20)◆ -------------------------------------

  5月11日インドの核実験(mb4.7)

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● 概略・特徴: 日本時間5月11日19時13分、インド北西部のラジャスタ
ン州の砂漠地帯で核実験が行なわれました。インドの核実験は24年ぶり。USGS
による震源諸元は次の通りです。

  発生時刻        震央      深さ    マグニチュード
 10:13:52 UT     27.1°N  71.7°E    0 km      mb4.7

● データ処理: IRIS-DMCのデータを準リアルタイムサービス (spyder) により収
集しました。解析には10地点の広帯域地震計記録(P波上下動)を用いました。

●結果:等方成分(I)を含む6成分のモーメントテンソル(MT)を波形インバージョン
で求めました。解析結果を図1に示します。MTは次の通りです。

      Mij =  13.3  0.3 -0.8  [x10**15 Nm]
              0.3  4.6 -0.3
             -0.8 -0.3  4.3        (x1,x2,x3) = (North, East, Down)

 主値M1,M2,M3、及び、等方成分Iは

      M1,M2,M3 = 13.4, 4.7, 4.2  [x10**15 Nm]
      I = (M1+M2+M3)/3 = 7.4 [x10**15 Nm] 

です。また、

 破壊継続時間      T  < 0.2 [s] 
 深さ(Centroid)      H = 0.5 [km]

● 解釈その他:95年、96年のフランス核実験(ムルロア環礁)に対して得られた、
等方成分I[kT]とTNT火薬相当量W[x10**15 Nm] との関係式   W = 4 I   を
適用すると、
   W = 30 [kT]
が得られます。参考までに、95年、96年のフランス、中国の核実験について、当
方の推定値を示します。今回の核実験はこれらに比べてやや規模が小さかった
ようです。

         中国  フランス フランス フランス フランス 中国  インド
         95/                     96/                      98/
日付     08/17  09/05    10/01   10/27    01/27    06/08  05/11
等方成分   46       4       30      23       30       61      7 [x10**15Nm]
TNT       184      16      120      92      120      244     30 [kT]
                                (文責:菊地)