カール・フィッシャー滴定水分測定法

2000年4月29日

 マグマに含まれる水は,地表に近づくと溶けていられなくなって出てきます.ちょうどコーラのビンを開けたときに炭酸が泡となって出てくるのと同じです.これが急に起こると,みなさんも経験があるかもしれませんが中身が勢いよく噴出します.これが火山だと爆発的な大噴火(プリニー式噴火)になって,たくさんの噴出物を周りに降らせ大きな被害をもたらします.さて,せっかく買ったコーラをこぼさないようにするには,ゆっくり炭酸だけを逃がしてやればコーラはこぼれずにすみます.これと同じことをマグマにやってやるとマグマもやはり勢いよく出てくることはなくなって,ゆっくりと溶岩を出すおだやかな噴火になるのです.だけど,人間には安全に地下にあるマグマから水を抜き取ることはできません.でも,マグマが今どのくらい水を含んでるのかがわかれば,これからどんな噴火になるのかが予測できるかもしれません.では,マグマはどのくらいの水を含んでいるのでしょう?そして,噴出したもの(軽石や溶岩)はどれくらい水を含んでいるのでしょう?噴出したものに含まれる水を測る方法はいくつかあります.よく使われる方法には
1)カール・フィッシャー法

2)FT-IRという機械をつかう

3)SIMSという機械をつかう

などがあります.ここでは最も取り扱いの簡単なカールフィッシャー法の説明をします.

<原理>噴出物を大気中で加熱すると噴出物中の水が溶けていられなくなって出てきます.出てきた水(水蒸気)を薬品に溶かします.この薬品に電気を流すと水と反応します.この時流れる電流の量が溶けた水の量に比例します.だから,この電流の大きさを測れば,水の量がわかります.

<試料>加熱して水が出るものなら何でも測れます.岩石の場合には砕いて粉にします.前処理としてあらかじめ110℃位で乾燥させておきます.測定にはきちんと重さを量ってから,これを加熱します.

カールフィッシャー水分測定装置(東京大学地震研究所)

オレンジ色に光っているのが加熱部分(2カ所).このうち右側のヒータで試料にくっついただけの水をとばします.そのあと,左のヒータで本当に噴出物の中に含まれる水を出します.中央のコップ状の筒が薬品の入った容器.左は電流を測って水分の量を計算するコンピュータ.扇風機は,ヒータを冷やすのに使う.

はかり終わった試料,溶けて丸くなったものもある.試料1個が1cmくらいの大きさ(Moの箱に入っている).測定には,だいたい数百ミリグラムの試料が必要です.試料にもよりますが,十数分から1時間位で一つの試料を測定できます.


この分析方法についての文献・解説

Turek, A., Riddle, C., Cozens, B.J. and Tetley, N.W. (1976) Determination of chemical water in rock analysis by Karl Fischer titration. Chemical Geology, 17, 261-267.

Westrich, H.R. (1987) Determination of water in volcanic glasses by Karl-Fischer titration. Chemical Geology, 63, 335-340.

ダイアインスツルメンツのホームページ 

京都電子工業のホームページ 

平沼産業のホームページ 

柴田科学のホームページ 

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