硫酸塩測定結果(速報)2000.10.17更新
今井亮 下司信夫 (東京大学大学院 理学系研究科 地球惑星科学専攻)
嶋野岳人 (東京大学地震研究所)
7,8,9月に噴出した三宅島火山灰の付着硫酸塩の定量測定を行ったので、その結果を速報する。
1) 測定試料
付着硫酸塩の測定をした試料は、大学合同観測班および気象庁三宅測候所によって採集された、7月8日、14日、15日、8月14日、18日、29日、9月9日、10-12日、11日の噴火に伴い噴出した火山灰試料である。いずれの試料も降灰中あるいは降灰直後に採取されたもので、その後雨水などの影響を受けていない。
2) 測定方法
2-1)試料からの硫黄の分離・BaSO4としての回収固定
火山灰に付着した水溶性硫酸イオン
火山灰試料約5-20gを十分乾燥させ正確に秤量した.これをイオン交換水約200mlに溶き,室温で約2時間以上保持した後ろ過した.ろ液を回収して水溶性成分として溶出されてきたSO4=イオンをBaCl2溶液(10%)を加えることでBaSO4として沈殿させ,これを吸引ろ過して回収した.回収したBaSO4を秤量し,これを硫黄(S)の重量に換算したものを火山灰試料の重量で割ったものを結果に示した.
2-3)硫黄同位体比の測定(測定中)
上記により得られたSO2ガスを東京大学地球惑星科学専攻にあるFinninganMAT社製のMacKinney型質量分析装置deltaEに導入して34S/32S比を測定している.
3)付着硫酸塩定量結果
火山灰試料
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No. |
ID. |
採集地点 |
噴出日 |
S/ash (g/kg) |
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1 |
ERINo.22 |
鉢巻林道:山分橋 |
7月8日 |
3.448 |
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2 |
TS000714-1 |
赤場暁 |
7月14日 |
7.811 |
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3 |
ERI0715F |
すずらん(上5mm) |
7月15日 |
6.687 |
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4 |
ERI0716B |
すずらん |
7月15日 |
14.238 |
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5 |
MN000816-3 |
三七山付近? |
8月14日 |
15.216 |
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6 |
JMA00081801 |
東電営業所前 |
8月18日 |
5.080 |
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7 |
TS00082201 |
土佐林道終点土砂置場(豆石) |
8月18日 |
10.971 |
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8 |
JMA000829-2 |
三宅島測候所9:10 |
8月29日 |
13.391 |
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9 |
MN00082902-1 |
三池浜園地 |
8月29日 |
15.493 |
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10 |
JMA000909 |
三宅支庁 |
9月9日 |
4.248 |
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11 |
JMA0910-12 |
三宅島測候所 |
9月10日-12日 |
3.520 |
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12 |
JMA000911 |
三宅島測候所 |
9月11日 |
3.766 |
付着硫酸塩量と硫黄同位対比の時間変化 付着硫黄量と硫黄同位対比の関係


4)解釈
定量した付着硫黄量は東工大草津の結果と非常によい一致を示す.また,付着硫黄量には硫黄同位対比と同様の変化が認められた(図1).すなわち,硫黄同位対比が高いときには付着硫黄の量も多い.とくに,噴火開始(7/8)の火山灰から測定試料中で最も新しい(9/12)火山灰のうち,8/29と9/9の火山灰を除いた火山灰の付着硫黄量はカ34Sと非常によい相関を示す(図2).硫黄同位体測定結果から同位対比が低い場合にマグマティックな硫黄が関与していると考えられるので,このトレンドはマグマから直接脱ガスした硫黄と熱水溜まりのような場で同位体分別をした硫黄との混合で決まっている可能性がある.このことから考えると,基本的にはマグマに直接由来した硫黄が多いほど,付着量は少ないということを示している.8/29,9/9の結果の解釈については現在考察中であるが,東工大草津の測定したCl/Sの結果でも他とは異なる値になっていることから,やはりマグマと熱水系との関係を反映したものであると考えられる.