2000年噴火の火山灰
現地調査(2000/5/23作成)

5/5〜8に現地に行って参りました.許可を取って有珠山頂火口と四十三山付近(壮瞥町内)の調査をしました.山頂では,今回の噴火による地割れの調査と1977年の噴火の火口(銀沼火口)の調査と噴出物の採取を行いました.四十三山付近では,今回の噴火の降下火山灰と明治噴火の火口の調査をしました.詳細については追って報告します.

銀沼火口(有珠南西外輪山縁より) 

銀沼火口内壁

西

銀沼火口底(北東より南西方向)


3/31軽石の含水率(2000/5/13作成)

4/5に地質調査所が洞爺湖畔にて採取した軽石(0405YHK-2)の全岩含水率と見かけ密度(発泡度が良いほど小さい)をカール・フィッシャー法およびガラスビーズ法で分析しました.だいたい0.45 wt.% の水を含み,500 kg/m3の見かけ密度でした.これは富士火山1707年の噴火で初期に噴出した軽石のうち含水率の低いものとよく似た含水率と発泡度です.また,雲仙火山1991年の噴火で噴出した溶岩とほぼ同じ含水率でしたが,発泡度は雲仙の噴出物より良かったことがわかります.他の火山の最近の噴出物(図では玄武岩がほとんど)と比較すると,比較的含水率の高い噴出物であったといえます.

図1 
火山灰の全岩化学組成(2000/4/22)

4/8,9に金子隆之氏(東京大学地震研究所)が採取した火山灰の全岩化学組成をXRF(蛍光X線分析)で分析しました.今回分析したものは,火口の北東,東南東,北に分布主軸を持つ火山灰です(今後追加予定).ASTER(資源・環境観測観測センター)の画像に基づく地質調査所の解釈(図1)によると,それぞれ3/31噴火,4/2噴火および4/4噴火の火山灰に相当すると考えられます.

図1 
3/31〜4/2
4/4

図2 

 今回測定した火山灰の組成は,金比羅山等の有珠山外輪山を構成する玄武岩質溶岩(▲)と今回噴出したと考えられているマグマ(注1)合同観測斑地質グループ:北海道大学岩石学火山学)の組成を結んだ直線上にほぼ乗ることがわかります.また,噴火開始直後に噴出した火山灰(3/31NE)の組成が最もマグマの値に近く,次いで4/4に北方に堆積した火山灰(以前,3/31Nと書きましたが4/4Nに訂正します),4/2に東南東に堆積した火山灰(4/2ESE)の順にマグマ組成から遠ざかります.このことは,3/31NEの方がより多くのマグマ物質を含んでいたことを示していると考えられる(玄武岩質溶岩とマグマの混合と考えると約6〜7割がマグマ).これは3/31NEの噴火現象が暗灰色の噴煙を形成する噴火であったこと,またマグマの割合が約半分という地質調査所の見解(注2)とも調和的である.なお,洞爺降下軽石(火山ガラス),歴史噴火の軽石などの噴出物も同一直線の延長上に並ぶが,噴火活動の推移に伴ってこれらの放出量が変化するとはあまり考えにくい.以上のことから,火山灰の全岩化学組成を測ることによって,比較的迅速に噴火へのマグマの関与の程度を見積もることができると予想される.今後も推移を見守りたい.

注1:地質調査所東宮氏のページ参照

注2:地質調査所有珠のページ(宮城氏提供)


火山灰の形態(2000/4/15作成,5/13修正)

採取:金子隆之氏(東京大学地震研究所火山噴火予知研究推進センター)

スケールは全て 2 mm× 2.6 mm.分布図は地質調査所北海道支所から引用しました.

洗浄したものは細粒部分が取り去られていることを意味します.

○3月31日13:07- 降下火山灰

図1(図:地質調査所北海道支所)

09-02
09-03
09-04
写真1−1

(未洗浄)

写真1−2

(洗浄)

写真1−3

(洗浄)

北東帯(火口から約9,11,12km)


○4月1日12:00− 降下火山灰

(図:地質調査所北海道支所)

写真3:南東(火口から約12km)準備中


○4月2日14:00-14:10 降下火山灰

(図:地質調査所北海道支所)

09-01
写真4(洗浄)
(火口から約7km)

 


○4月4日 降下火山灰

(図:地質調査所:http://www.gsj.go.jp/~jitoh/opn/usu-Aster/0407_txt.html より)

08-01
写真2(未洗浄)
北帯(火口から約8km)

火山豆石として降下.

当初,3/31に降下したものとして公表しましたが,降下量と試料採取日時から考えて,4/4の噴火によるものであると考えられます.訂正いたします.


もどる リンク