第2回(平成19年度第2回)首都直下地震防災・減災特別プロジェクト運営委員会


(1)開催日時 平成20年2月29日(金) 14:0017:15

(2)開催場所 東京大学地震研究所1号館3階 会議室

(3)議事次第

     配布資料確認 (事務局:根岸係長・平田)

     出席者の確認 (事務局:根岸係長)

     文部科学省研究開発局 地震・防災研究課  挨拶  5分

  地震調査研究関連平成20年度の予算について        【首19-2-2

     東京都総務局総合防災部 挨拶

     本蔵プログラムディレクター 挨拶

  [] 報告

・ 平成20年度業務計画書の作成について         (平田)

地震研共同利用・特定共同研究の公募    (平田)【首19-2-3

  [] 議事

  (1)研究計画 (平成19年度の実施計画・進捗状況と,平成20年度の計画について)

1.地震計を用いた自然地震観測によるプレート構造調査

        1-1地震計を用いた自然地震観測によるプレート構造調査

                          (地震研、笠原)【首19-2-4

        1-2 伊豆衝突帯の地震活動調査によるプレート構造調査研究

                      (温泉地学研究所 棚田)【首19-2-5

        1-3 統合処理によるプレート構造調査研究及びデータ保管 

                        (防災科技研、小原)【首19-2-6】 

2.制御震源を用いた地殻構造探査

        2-1 稠密発震反射法地震探査による地殻構造調査研究 

(地震研、佐藤)【首19-2-7

        2-2 自然地震波干渉法による地殻・上部マントル構造調査研究

                           (地震研、佐藤)【首19-2-8

        2-3 首都圏下のプレート相互作用を考慮した地殻・上部マントル構造解析研究

                           (地震研、佐藤)【首19-2-9

        2-4 長時間地殻変動からみた首都圏下の地殻構造調査研究

                          (千葉大、伊藤)【首19-2-10

3.歴史地震等の記録の収集、整理及び再評価

3-1  地震記象の収集と解析による過去地震の調査研究

                                                (名古屋大、山中)【首19-2-11

        3-2 東北地方の地震記象を用いた首都圏の過去地震の調査研究

                          (東北大、海野)【首19-2-12

        3-3 国外で記録された首都圏の過去地震の記象の収集とデータベース化

                  (地震予知総合研究振興会、松浦)【首19-2-13

        3-4 被害記録による首都圏の歴史地震の調査研究( 地震研、都司)【首19-2-14

        3-5 液状化痕等による首都圏の古地震の調査研究 (地震研、島崎)【首19-2-15

        3-6 考古遺跡における液状化痕データの収集並びにデータベース化

                          (産総研、杉山)【首19-2-16

        3-7 過去地震の類型化と長期評価の高度化に関する調査研究

                         (地震研、島崎)【首19-2-17

4.震源断層モデル等の構築

     4-1  強震動予測手法と地下構造モデルに関する調査研究

                                                (地震研、纐纈)【首19-2-18

        4-2  震源断層モデルの高度化に関する調査研究    (防災研、岩田)【首19-2-19

        4-3  強震観測研究の高度化に関する調査研究  (防災科技研、藤原)【首19-2-20

        4-4  地盤構造モデルの高度化に関する調査研究    (東工大、翠川)【首19-2-21

        4-5  震源断層モデル等の構築に関する共同研究    (地震研、纐纈)【首19-2-22

[] その他

    平成19年度報告書について           (平田)【首19-2-23


(4)配布資料一覧

19-2-1          委員名簿・出席者リスト

19-2-2          平成20年度の地震調査研究関係政府予算案の概要

19-2-3          地震研共同利用・特定共同研究の公募

19-2-4          地震計を用いた自然地震観測によるプレート構造調査

19-2-5          伊豆衝突帯の地震活動調査によるプレート構造調査研究

19-2-6          統合処理によるプレート構造調査研究及びデータ保管

19-2-7          稠密発震反射法地震探査による地殻構造調査研究

19-2-8          自然地震波干渉法による地殻・上部マントル構造調査研究

19-2-9        首都圏下のプレート相互作用を考慮した地殻・上部マントル構造解析研究

19-2-10       長時間地殻変動からみた首都圏下の地殻構造調査研究

19-2-11        地震記象の収集と解析による過去地震の調査研究

19-2-12        東北地方の地震記象を用いた首都圏の過去地震の調査研究

19-2-13        国外で記録された首都圏の過去地震の記象の収集とデータベース化

19-2-14     被害記録による首都圏の歴史地震の調査研究

19-2-15        液状化痕等による首都圏の古地震の調査研究

19-2-16         考古遺跡における液状化痕データの収集並びにデータベース化
               関東地方の地震痕跡一覧      

19-2-17        過去地震の類型化と長期評価の高度化に関する調査研究

19-2-18        強震動予測手法と地下構造モデルに関する調査研究

19-2-19        震源断層モデルの高度化に関する調査研究

19-2-20        強震観測研究の高度化に関する調査研究

19-2-21        地盤構造モデルの高度化に関する調査研究

19-2-22        震源断層モデル等の構築に関する共同研究

19-2-23       平成19年度報告書の作成について


(5)出席者

(委員)

1.(研究実施機関研究者)

東京大学地震研究所                 教授     平田 直

東京大学地震研究所               特任教授     笠原敬司

東京大学地震研究所                 教授    佐藤比呂志

東京大学地震研究所                 教授     島崎邦彦

東京大学地震研究所                 教授     纐纈一起

東京大学地震研究所                准教授     都司嘉宣

2.(再委託先機関研究者)

防災科学技術研究所              センター長     小原一成

神奈川県温泉地学研究所            主任研究員     棚田俊收

千葉大学理学部                   教授     伊藤谷生 

名古屋大学大学院環境学研究科           准教授     山中佳子

東北大学大学院理学研究科              教授     海野徳仁

(財)地震予知総合研究振興会          解析部長     松浦律子

防災科学技術研究所         プロジェクトリーダー     藤原広行

東京工業大学総合理工学研究科            教授     翠川三郎

3.(上記以外の有識者)

(委員長)(独)海洋研究開発機構            理事        末廣 潔

東北大学大学院理学研究科              教授    長谷川 昭

地震予知総合研究振興会            センター所長    阿部勝征

国土地理院 地理地殻活動研究センター     センター長     村上 亮

気象庁地震火山部地震予知情報課           課長     吉川澄夫

東京都総務局総合防災部防災管理課     防災事業推進係長    内田峰夫

                     (東京都総務局総合防災部長 鈴木省五委員の代理)

(オブザーバー)

(委託元)

文部科学省研究開発局地震・防災研究課      地震調査官   瀬戸 博巳

文部科学省研究開発局地震・防災研究課        調査員    奥野智久

(再委託先等)

東京工業大学                   教授       本藏義守

東京大学地震研究所               教授       佐竹健治

千葉大学理学部                  教授      佐藤利典

東京都総務局                   防災専門員    萩原弘子

神奈川県温泉地額研究所              技師      本多 亮

防災科学技術研究所                研究員    関根秀太郎

(地震研究所・事務局)

東京大学地震研究所            産学官連携研究員   佐々木俊二

東京大学地震研究所            産学官連携研究員    石辺岳男

東京大学地震研究所            産学官連携研究員    加藤直子

東京大学地震研究所            産学官連携研究員    引間和人

東京大学地震研究所             学術研究支援員    川北優子

東京大学地震研究所                 事務長    中塚数夫

東京大学地震研究所           研究支援チーム係長    根岸恒夫


(6)議事録

〔開会〕

1.      平田委員から第2回首都直下地震防災・減災特別プロジェクト運営委員会を開催する旨の発言があった。

2.      事務局から配布資料、平田委員から資料番号の混在についての正誤表についての説明があった。

3.      本蔵プログラムディレクターから挨拶と本プロジェクトの概要の説明および欠席者の紹介があった。

4.        末廣委員長から挨拶があり改めて運営委員会を開催する旨の発言があった。

5.        文部科学省奥野オブザーバーより挨拶と本プロジェクトの説明があった。

 

〔報告〕

1.       平田委員から資料19-2-0に基づいて、プロジェクトの概要についての説明があった。

また、資料19-2-2に基づいて、平成20年度の予算についての説明があった。末廣委員長

から予算削減による計画の見直しの必要性について質問があった。平田委員は継続的に予

算が削減されると難しいが、成果を挙げて当初の計画通りに遂行できるように努力すると

の返答があった。

2.  平田委員から資料19-2-3に基づいて、地震研共同利用・特定共同研究の公募についての

説明があった。


〔議事〕

(1)研究計画(平成19年度の実施計画・進捗状況と、平成20年度の計画について)

    1.地震計を用いた自然地震観測によるプレート構造調査

 ・笠原委員から資料19-2-4に基づいて「地震計を用いた自然地震観測によるプレート構造調

 査」について説明があった。

 末廣委員長から具体的にデータ公開が行われるのはいつかという質問があった。平田委員

 からできれば今年度中には行いたいという返答があった。

 海野委員から自律協調型データ転送システムの仕組みについて質問があった。これに対し、

 笠原委員、平田委員から、回線が停止した場合、従来の方法では再送をセンター側で要求

 するのに対し、自立協調型システムでは観測点側で通信状況の把握と再送の判断を行うも

 で、災害時でも確実にデータを取得できる、との返答があった。

また、松浦委員から、従来の方式では観測点はクライアントであるのに対し、この方式で

は観測点側がサーバーとなると思えばよいとのコメントがあった。

・棚田委員から資料19-2-5に基づいて、「伊豆衝突帯の地震活動調査によるプレート構造調

 査研究」について説明があった。

・関根オブザーバーから資料19-2-6に基づいて、「統合処理によるプレート構造調査研究及

 びデータ保管」について説明があった。

 平田委員から現在、防災科技研内部限定のデータについて観測点の増加に伴い今後プロジ

 ェクトにデータを公開して欲しいとのコメントがあり、それに対して小原委員から検討す

 るという返答があった。

 島崎委員からスロースリップの断層面がプレートの沈み込みの方向に長いが、やや珍しい

 ことではないかというコメントがあり、それに対して関根委員から観測点が一方向にしか

 ないため詳細な事はまだわからない,との返答があった。

 4.震源断層モデル等の構築

・纐纈委員から資料19-2-18に基づいて、「強震動予測手法と地下構造モデルに関する調査

 研究」について説明があった。

 末廣委員長から格子モデルは平面にせざるを得ないが、実際に即しているか否かの検討は

 行っているかとの質問があった。それに対し、纐纈委員から検討できるモデルはあるが、

 差分法の格子に当てはめるときに一工夫が必要であるとの返答があった。

・岩田委員の代理として纐纈委員から資料19-2-19に基づいて、「震源断層モデルの高度化

 に関する調査研究」の説明があった。

 長谷川委員から、内陸地震では強震動生成領域アスペリティが重なるのに対してプレート

 境界地震ではその対応が異なるとの発表であったが、これはサンアンドレアス断層などを

 含めたのか、それとも日本近辺の地震を対象としたのかとの質問があった。これに対し、

 纐纈委員から日本近辺の沈み込み型のプレート境界地震に対する結果であるという返答が

 あった。さらに、長谷川委員から、それぞれの地震のタイプで解析対象としたマグニチュ

 ードが異なっているのではないか、との質問があった。纐纈委員から、そのような傾向は

 一部あるが広いマグニチュード範囲で成り立っている関係であるとの回答があった。

・藤原委員から資料19-2-20に基づいて、「強震観測研究の高度化に関する調査研究」につ

 いて説明があった。

 島崎委員から、ボーリング資料がない地点においてどのように内挿、あるいは外挿してい

 るのか質問があった。それに対し、藤原委員から周辺のデータから境界深度を内挿すると

 の説明があった。

・翠川委員から資料19-2-21に基づいて、「地盤構造モデルの高度化に関する調査研究」に

 ついて説明があった。

末廣委員長から計画が当初の5カ年計画から変更されていないが、予算削減でも実現可能

であるかという質問があった。それに対し、翠川委員から実現可能であるという返答があ

った。また末廣委員長から、「強震観測研究の高度化に関する調査研究」と分担して行う

ことは大変結構なことであるとコメントがあった。

・纐纈委員から資料19-2-22に基づいて、「震源断層モデル等の構築に関する共同研究」に

 ついて説明があった。

島崎委員からインバージョン結果について元禄関東地震時の房総半島の先のアスペリティ

のすべり量についての質問があり,纐纈委員からはその値はおおよそ関東の2倍の20m

らいであると返答があった。

末廣委員長から、インバージョンの図が新たな結果であるか質問があった。これに対して

纐纈委員は論文として印刷されてはいないが、以前からある図であるという返答があった。

阿部委員から図中の矢印に対する質問があり、纐纈委員から説明があった。


  2.制御震源を用いた地殻構造探査

・佐藤委員から資料19-2-7に基づいて、「稠密発震反射法地震探査による地殻構造調査研究」

 についての説明があった。

・引き続き、佐藤委員から資料19-2-8に基づいて、「自然地震波干渉法による地殻・上部マ

 ントル構造調査研究」についての説明があった。

・引き続き、佐藤委員から資料19-2-9に基づいて、「首都圏下のプレート相互作用を考慮し

 た地殻・上部マントル構造解析研究」についての説明があった。

長谷川委員からモデル化についての手法と目的について質問があった。それに対して佐藤

委員から、100万年オーダーの変動地形から粘弾性を考慮すると地殻変動が説明され、ス

ラブ境界面の特性などが理解できる可能性があり,それより長いスパンでのスラブの動き

をダイナミックトポグラフィを含めて明らかにしたいと返答があった。

・伊藤委員から資料19-2-10に基づいて、「長時間地殻変動からみた首都圏下の地殻構造調

 査研究」についての説明があった。また佐藤(利)オブザーバーからシミュレーションに

 ついて説明があった。


  3.歴史地震等の記録の収集、整理及び再評価

・山中委員から資料19-2-11に基づいて、「地震記象の収集と解析による過去地震の調査研

 究」についての説明があった。

・海野委員から、「東北地方の地震記象を用いた首都圏の過去地震の調査研究」についての

 説明があった。

・松浦委員から「国外で記録された首都圏の過去地震の記象の収集とデータベース化」につ

 いて説明があった。

・都司委員から、「被害記録による首都圏の歴史地震の調査研究」についての説明があった。

 末廣委員長から文化9104日神奈川地震はこれまでどのように取り扱われていたのか

 質問があった。都司委員から「日本被害地震総覧」にも56行程度しか記載されておらず、

 今回の調査で60余点の被害記録が得られたのは成果であり、今後は関東地方のほかの地震

 についても調査をしたいと返答があった。

 佐竹オブザーバーから、震源の深さに関する情報は何か得られないか質問があった。これ

 に対し、都司委員から震度分布の範囲などから震源の深さについて制約を与えることがで

 きる可能性を示唆するコメントがあった。

・島崎委員から資料19-2-15に基づいて、「液状化痕等による首都圏の古地震の調査研究」

 についての説明があった。

・引き続き、杉山委員の代理として島崎委員から資料19-2-16に基づいて、「考古遺跡にお

 ける液状化痕等データの収集ならびにデータベース化」についての説明があった。

・引き続き、島崎委員から資料19-2-17に基づいて、「過去地震の類別化と長期評価の高度

 化に関する調査研究」についての説明があった。

末廣委員長から福井地震の断層モデルに関しての質問があり,島崎委員からその地震の断

層モデルは既知であると返答があった。

 海野委員から、クーロン応力変化を計算した深さについて質問があった。これに対して、

 島崎委員から断層の中央の深度であると返答があった。

 長谷川委員から、現在の地震活動から断層の位置やメカニズムを推定しようという試みで

 あるようだが、プレート内地震への適用の可能性について質問があった。島崎委員から、

 今後1993年釧路沖地震などについても調べ、適用の可能性を探っていくと返答があった。

 さらに長谷川委員から断層面の決定に関して質問があり,島崎委員よりAICなどを用いて

 定量化し、テクトニックな制約を使っていきたいとの返答があった。


(研究計画全体に対して、総括)

内田オブザーバーから防災とどのように結び付けていけるのか興味深い。地震計設置での

協力の他、古地震記録についても民家にも残っている可能性があり、東京都としてもデー

タ収集など協力できる点については協力する意思があるとのコメントがあった。


(2)その他

 平成19年度報告書について資料19-1-23に基づいて、平田委員から説明があった。

・末廣委員長から第1回首都直下地震防災・減災特別プロジェクト運営委員会議事録(案)

 について承認の確認があり、承認された。

・本蔵プログラムディレクターから、プロジェクトの進捗状況が確認できよかったとコメン

 トがあった。

・末廣委員長から挨拶があり、閉会した。