第3回(平成20年度第1回)首都直下地震防災・減災特別プロジェクト運営委員会

開催日時 平成20年9月2日(火) 14:00〜17:30

開催場所 東京大学地震研究所1号館3階 会議室

 
議事次第

[] 報告

・地震研共同利用・特定共同研究の公募の登録       (平田)【首20-1-3

 

[] 議事

(1)研究計画 (平成20年度の実施計画・進捗状況について)

1.地震計を用いた自然地震観測によるプレート構造調査

        1-1地震計を用いた自然地震観測によるプレート構造調査       (地震研、笠原)【首20-1-4

        1-2 伊豆衝突帯の地震活動調査によるプレート構造調査研究   (温泉地学研究所 棚田)【首20-1-5

        1-3 統合処理によるプレート構造調査研究及びデータ保管    (防災科技研、小原)【首20-1-6

2.制御震源を用いた地殻構造探査

        2-1 稠密発震反射法地震探査による地殻構造調査研究      (地震研、佐藤)【首20-1-7

        2-2 自然地震波干渉法による地殻・上部マントル構造調査研究  (地震研、佐藤)【首20-1-8

        2-3 首都圏下のプレート相互作用を考慮した地殻・上部マントル構造解析研究  (地震研、佐藤)【首20-1-9

        2-4 長時間地殻変動からみた首都圏下の地殻構造調査研究    (千葉大、伊藤)【首20-1-10

                       

3.歴史地震等の記録の収集、整理及び再評価

3-1  地震記象の収集と解析による過去地震の調査研究       (名古屋大、山中)【首20-1-11

        3-2 東北地方の地震記象を用いた首都圏の過去地震の調査研究   (東北大、海野)【首20-1-12

        3-3 国外で記録された首都圏の過去地震の記象の収集とデータベース化
                                           (地震予知総合研究振興会、松浦)【首20-1-13

        3-4 被害記録による首都圏の歴史地震の調査研究         ( 地震研、都司)【首20-1-14

        3-5 液状化痕等による首都圏の古地震の調査研究          (地震研、佐竹)【首20-1-15

        3-6 考古遺跡における液状化痕データの収集並びにデータベース化  (産総研、杉山)【首20-1-16

                       
        3-7 過去地震の類型化と長期評価の高度化に関する調査研究    (地震研、佐竹)【首20-1-17

                        

4.震源断層モデル等の構築

     4-1  強震動予測手法と地下構造モデルに関する調査研究      (地震研、纐纈)【首20-1-18

        4-2  震源断層モデルの高度化に関する調査研究              (防災研、岩田)【首20-1-19

        4-3  強震観測研究の高度化に関する調査研究            (防災科技研、藤原)【首20-1-20

        4-4  地盤構造モデルの高度化に関する調査研究             (東工大、翠川)【首20-1-21

        4-5  震源断層モデル等の構築に関する共同研究             (地震研、纐纈)【首20-1-22


 

配布資料一覧

20-1-0          委員名簿

20-1-1          2回議事録

20-1-2(1) 新たな地震調査研究の推進について―地震に関する観測、測量、調査及

       び研究の推進についての総合的かつ基本的な施策― 「中間報告」

20-1-2(2)平成21年度の地震調査研究関係予算概算要求の概要

        = 地震調査研究推進本部とりまとめ =

20-1-3          地震研共同利用・特定共同研究の公募

20-1-4          地震計を用いた自然地震観測によるプレート構造調査

20-1-5          伊豆衝突帯の地震活動調査によるプレート構造調査研究

20-1-6          統合処理によるプレート構造調査研究及びデータ保管

20-1-7          稠密発震反射法地震探査による地殻構造調査研究

20-1-8          自然地震波干渉法による地殻・上部マントル構造調査研究

20-1-9       首都圏下のプレート相互作用を考慮した地殻・上部マントル構造解析研究   
20-1-10        長時間地殻変動からみた首都圏下の地殻構造調査研究

20-1-11         地震記象の収集と解析による過去地震の調査研究

20-1-12        東北地方の地震記象を用いた首都圏の過去地震の調査研究

20-1-13        国外で記録された首都圏の過去地震の記象の収集とデータベース化

20-1-15        液状化痕等による首都圏の古地震の調査研究

20-1-16        考古遺跡における液状化痕データの収集並びにデータベース化

20-1-17        過去地震の類型化と長期評価の高度化に関する調査研究

20-1-18        強震動予測手法と地下構造モデルに関する調査研究

20-1-19        震源断層モデルの高度化に関する調査研究

20-1-20        強震観測研究の高度化に関する調査研究

20-1-21        地盤構造モデルの高度化に関する調査研究

20-1-22        震源断層モデル等の構築に関する共同研究

  20-1-23       平成19年度報告書の作成について   

 

出席者

(委員)

1.(研究実施機関研究者)

東京大学地震研究所                 教授     平田 直

東京大学地震研究所               特任教授     笠原敬司

東京大学地震研究所                 教授    佐藤比呂志

東京大学地震研究所                 教授     纐纈一起

東京大学地震研究所                 教授     佐竹健治
                           (島崎邦彦委員の代理)

東京大学地震研究所                准教授     都司嘉宣

    東京大学地震研究所                准教授     酒井慎一


2.(再委託先機関研究者)

防災科学技術研究所              センター長     小原一成

神奈川県温泉地学研究所            主任研究員     棚田俊收

千葉大学理学部                   教授     佐藤利典
                                         (伊藤谷生委員の代理)

名古屋大学大学院環境学研究科           准教授     山中佳子

防災科学技術研究所                研究員     先名重樹
                                         (藤原広行委員の代理)

   京都大学防災研究所                 教授     岩田知孝

東京工業大学総合理工学研究科            教授     翠川三郎

   

3.(上記以外の有識者)

(委員長)(独)海洋研究開発機構            理事          末廣 潔

東北大学大学院理学研究科              教授    長谷川 昭

地震予知総合研究振興会            センター所長    阿部勝征

北海道大学大学院理学研究院             教授     村上 亮

気象庁地震火山部地震予知情報課           課長      森滋男

東京都総務局               企画調整担当部長    鈴木省五

    横浜市安全管理局                  総務部長    鈴木洋


(オブザーバー)

(委託元)

文部科学省研究開発局地震・防災研究課        課長補佐   梅田裕介

文部科学省研究開発局地震・防災研究課        調査員    小林道和

(再委託先等)

東京工業大学                     教授      本藏義守

横浜市安全局                情報技術課長     橋本孝二

横浜市安全局                  担当係長     曽我幸治

東京都総務局防災部防災管理課      防災事業推進担当係長     坂田俊行

神奈川県温泉地額研究所              技師      行竹洋平

防災科学技術研究所                研究員    関根秀太郎

(地震研究所・事務局)

東京大学地震研究所            助教          中川茂樹

東京大学地震研究所            特任研究員      佐々木俊二

東京大学地震研究所            特任研究員       石辺岳男

東京大学地震研究所            特任研究員       引間和人

東京大学地震研究所                 事務長    中塚数夫

東京大学地震研究所           研究支援チーム係長    根岸恒夫



議事概要

〔開会〕

1. 平田委員から第回首都直下地震防災・減災特別プロジェクト運営委員会を開催する旨の発言があった。

2. 事務局から配布資料、出席者の確認があった。欠席者は海野委員、松浦委員、杉山委員の3名、
代理出席者は伊藤委員(→佐藤(利)委員代理)、島崎委員(→佐竹委員代理)、藤原委員(→先名委員代理)の3名である。

3. 末廣委員長の司会により運営委員会を進行する旨の発言があった。

4. 文部科学省・梅田オブザーバーから挨拶があった。資料20-1-2(1)を使い、現在策定中の平成21年度からの
10
カ年の「新たな地震調査研究の推進について −総合的かつ基本な施策‐」において、首都直下プロジェクトの
内容が重要課題として取り上げられているとの説明がされた。また、資料
20-1-2(2)を使い来年度予算の概要について説明があった。

5. 東京都・鈴木(省)委員から挨拶があった。行政としても研究成果に期待しているとの発言があった。

6. 横浜市・鈴木(洋)委員から挨拶があった。成果については横浜市の総合減災計画に生かしたいとの発言があった。

7. 本蔵プロジェクトディレクターから開会にあたっての挨拶があった。

 

〔報告〕

1.  平田委員から資料20-1-3に基づいて、地震研究所共同研究の公募についての説明があった。

2. 平田委員から平成19年度成果報告書が完成したとの報告があった。近日中に、首都直下地震防災・減災特別プロジェクトの
ホームページに公開し、またサブプロジェクト1〜3をまとめたものを
CD-ROMで作成する予定であるとの説明があった。
また、配布資料の平成
19年度第2回首都直下地震防災・減災特別プロジェクト運営委員会の議事概要についての確認ならびに
承認の要請があった。

 

〔議事〕

(1)研究計画(平成20年度の実施計画・進捗状況について)

1.地震計を用いた自然地震観測によるプレート構造調査

・笠原委員から資料20-1-4に基づいて、「地震計を用いた自然地震観測によるプレート構造調査」について説明があった。

 纐纈委員から中国四川省地震の波形記録では、上4つの記録と他の記録とでは時刻がずれているのかとの質問があった。
これに対し、笠原委員から関東平野の地下構造の相違によるものと思われるとの回答があった。

 長谷川委員からネットワークとしての検知能力はどの程度であるかとの質問があった。笠原委員から、定量的な検討は
まだ行えないが、当初の予想よりは遙かに良いという印象を持っているとの回答があった。比較的ノイズが大きいと思われる
弥生観測点(地震研)の例でも、マグニチュード3程度のイベントまではほぼもれなく検知できるというデータが得られており、
他の地点でも同程度の規模の地震まで震源決定、インバージョン解析などに利用できるだろうとの説明があった。

・棚田委員から資料20-1-5に基づいて、「伊豆衝突帯の地震活動調査によるプレート構造調査研究」について説明があった。

・小原委員から資料20-1-6に基づいて、「統合処理によるプレート構造調査研究及びデータ保管」について説明があった。

 末廣委員長からは、順調に研究が進んでいるとの印象を受けた、とのコメントがあった。

 

2.制御震源を用いた地殻構造探査

・佐藤委員から資料20-1-7に基づいて、「稠密発震反射法地震探査による地殻構造調査研究」についての説明があった。

・引き続き、佐藤委員から資料20-1-8に基づいて、「自然地震波干渉法による地殻・上部マントル構造調査研究」についての
説明があった。

・引き続き、佐藤委員から資料20-1-9に基づいて、「首都圏下のプレート相互作用を考慮した地殻・上部マントル構造解析研究」
についての説明があった。

平田委員から、自然地震の観測準備は順調に進んでいるという理解でよいか、との質問があった。佐藤委員からは計画通り
今秋に観測を行う予定であるとの回答があった。

末廣委員長から、制御震源の測定時にはMeSO-netでの観測も行うかと質問があった。佐藤委員からは定常的に観測を行っているので、
この記録も収録できるとの回答があった。

・佐藤(利)委員代理から資料20-1-10に基づいて、「長時間地殻変動からみた首都圏下の地殻構造調査研究」についての説明があった。

 佐藤委員から、東京湾で実施される反射法探査結果に対して年代等はどのように推定するのか、掘削はしないのかと質問があった。
佐藤(利)委員代理からは、陸上の地質との対応を考慮して推定するとの回答がされた。以前行われた外房での調査結果は波食などの
影響からか対応がつかなかったが、平成
2094日に予定されている館山での探査は内湾であるため波食の影響も少なく、成果が
期待されるとの説明があった。また、掘削については予算面から予定していないと回答があった。

 平田委員から、シミュレーション結果に見られる茨城付近の隆起の原因は何かと質問があった。佐藤(利)委員代理からは
太平洋プレートの形状の影響ではないかとの回答があった。

 長谷川委員から、シミュレーションに伴いプレート形状などは変化するのかどうかと質問があった。佐藤(利)委員代理からは
そのような計算は可能ではあるが現状は行っていない旨の回答があった。

 末廣委員長からデータ取得班とシミュレーション班との合同作業をうまく進めるように留意して欲しいとのコメントがあった。

 

3.歴史地震等の記録の収集、整理及び再評価

・末廣委員長から議事進行について確認があった。海野委員、松浦委員、杉山委員の欠席に伴い、「東北地方の地震記象を用いた
首都圏の過去地震の調査研究」、「国外で記録された首都圏の過去地震の記象の収集とデータベース化」、「考古遺跡における
液状化痕データの収集ならびにデータベース化」の説明は割愛された。

・山中委員から資料20-1-11に基づいて、「地震記象の収集と解析による過去地震の調査研究」についての説明があった。

 佐竹委員から茨城沖の1982年の地震については菊地さんが海山との関係を指摘していたと思う、とコメントがあった。
山中委員の解析によると、海山のふもとに
1982年の地震のアスペリティが存在するとの返答があった。

・都司委員から、「被害記録による首都圏の歴史地震の調査研究」についての説明があった。

 末廣委員長から、古文書をもとに起こった事象を調べることは重要である。また、資料収集には自治体からの情報も
有効であると思うので協力して進めたらどうだろうか、とのコメントがあった。

・佐竹委員代理から資料20-1-15に基づいて、「液状化痕等による首都圏の古地震の調査研究」についての説明があった。

 末廣委員長から、大正関東地震、元禄地震以前の津波堆積層は古文書等に対応するイベントがあるのかと質問があった。
都司委員からは、鎌倉時代に被害の記録があるとのコメントがあった。

 長谷川委員から、この調査地点以外にも調査結果はあるかとの質問があった。佐竹委員からは、津波堆積物調査としては
この場所以外では新しい調査は無いとの回答があった。

・佐竹委員代理から資料20-1-17に基づいて、「過去地震の類別化と長期評価の高度化に関する調査研究」についての説明があった。

 平田委員から、鳥取県西部地震については動的クーロン応力変化を考慮すべきという論文があったが考慮しなくて良いのかと
質問があった。これに対して、解析を担当している石辺オブザーバーより、静的クーロン応力変化により大局的な余震分布は
説明できているが、細部では一致していない部分も見られるとの回答があった。

 

4.震源断層モデル等の構築

・纐纈委員から資料20-1-18に基づいて、「強震動予測手法と地下構造モデルに関する調査研究」について説明があった。

 末廣委員長から歴史地震データの解析では、都司委員などと協力して実施するかどうか質問があった。纐纈委員からは、
実際にはまだ取りかかれていないが、そのようにする予定であるとの回答があった。

・岩田委員から資料20-1-19に基づいて、「震源断層モデルの高度化に関する調査研究」の説明があった。

 平田委員から、スラブ内地震のすべり量、応力降下量について、内陸地殻内地震、プレート境界地震との比較について
質問があった。岩田委員から、平均すべり量はプレート境界と内陸地殻内地震との中間的な値であるが、アスペリティでの
応力降下量は内陸地殻内地震よりも大きいとの説明があった。

・先名委員代理から資料20-1-20に基づいて、「強震観測研究の高度化に関する調査研究」について説明があった。

・引き続き、翠川委員から資料20-1-21に基づいて、「地盤構造モデルの高度化に関する調査研究」について説明があった。

 平田委員からMeSO-netの観測記録も微動測定データの解析に使用して欲しい、との要望があった。翠川委員からは観測点の
状況などを考慮してあらためて相談したいとの回答があった。

 先名委員代理に対して、纐纈委員から、自治体の震度計の位置とフリーフィールドでのスペクトルが異なるものがあるのは
なぜかと質問があった。先名委員代理からは、地形の急変点近くや建物近傍に地震計が設置されており、少し離れると条件が
変わってしまう地点が存在するとの回答があった。

 さらに、纐纈委員からMeSO-netの観測点ではそのような心配はないかとの質問があった。笠原委員からは、20m掘削した地中に
地震計を設置しており、また、設置地点も平坦な場所が多いので大丈夫であるとの回答があった。また、翠川委員から、

20
mの深さに設置してあることが地盤特性を評価する上では問題となる可能性があるとのコメントがあった。
末廣委員長からは、結果が役に立つかどうかにとって重要な検討事項を含んでいると思うので、今後も検討を継続して欲しいとの
コメントがあった。

・纐纈委員から資料20-1-22に基づいて、「震源断層モデル等の構築に関する共同研究」について説明があった。

 

(研究計画全体に対して、総括)

・村上委員から、箱根や伊豆に近い地震観測点も存在し、地震防災に加えて火山との関連についても配慮して研究を
進めていくという姿勢示してもらえるとありがたい、とのコメントがあった。

・森委員から、本プロジェクトの成果を気象庁における業務に生かせるようにしたいとコメントがあった。

・長谷川委員から以下のコメントがあった。本プロジェクトは重要な施策であり、研究の推進とともに役に立つ成果を
出すことが求められている。個々の研究成果を統合して目に見える成果としてとりまとめることを意識して欲しい。

 

〔その他〕

・本蔵プロジェクトディレクターから総括があった。首都直下プロジェクトは3つのサブプロジェクトからなっており、
最終的にはそれらを統合した成果が求められる。それを念頭に研究を進めて欲しい。個々の成果については順調に
進捗しているという印象を受けた。特に、
MeSO-netでは役に立つデータが得られることが明らかになり安心した。
いずれにしても、最終的には、防災対策に具体的に使える成果があがることが期待されているのでそれを忘れずにいて欲しい、
との指摘があった。

・東京都・鈴木(省)委員から発表全体に対する総括的な感想が述べられた。現在、2012年を目処に小中学校の耐震化を行う
補正予算案が組まれていることや、緊急地震速報の導入を前向きに検討しているとの説明があり、何か手伝えることがあれば
積極的に参加していきたい、との発言があった。

・横浜市・鈴木(洋)委員から挨拶があった。横浜市も平成22年度までに小中学校の耐震化を行う予定である、との発言があった。
また、大地震発生後には高い防災意識が市民に見られるが、一過性のものである。市民にアピールして防災意識を高め、
継続させるためにもプロジェクトの成果を使いたい、との発言があった。

 

 

〔閉会〕

・文部科学省・小林オブザーバーから挨拶があった。予算も評価に関しても厳しい面があると思うが、成果をあげて
プロジェクトを成功に導いて欲しい、との発言があった。

・末廣委員長から挨拶があり、閉会した。