議事概要


第4回(平成20年度第2回)首都直下地震防災・減災特別プロジェクト運営委員会

開催日時 平成21年2月17日(火) 14:00〜17:55 

開催場所 東京大学地震研究所1号館3階 会議室


議事次第

[] 報告

  ・新たな地震調査研究の推進について        (文部科学省)【首20-2-1-12

  ・平成21年度の地震調査観測について                     (文部科学省)【首20-2-1-34

  ・平成20年度成果報告会について            (文部科学省)【首20-2-2

日 時:200932日(月)

場 所:東京大学 山上会館 大会議室

主 催:文部科学省研究開発局地震・防災研究課

  ・第3回首都直下地震防災・減災特別プロジェクト運営委員会議事概要(案)

                                                              (平田)【首20-2-3

  ・地震研共同利用・特定共同研究の公募の登録          (平田)【首20-2-4


[] 議事

 @研究計画 (平成20年度の実施計画・進捗状況と,平成21年度計画について)

1.地震計を用いた自然地震観測によるプレート構造調査

        1-1地震計を用いた自然地震観測によるプレート構造調査        (地震研、笠原)【首20-2-5

        1-2 伊豆衝突帯の地震活動調査によるプレート構造調査研究       (温泉地学研究所 棚田)【首20-2-6

        1-3 統合処理によるプレート構造調査研究及びデータ保管        (防災科技研、小原)【首20-2-7】 

2.制御震源を用いた地殻構造探査

        2-1 稠密発震反射法地震探査による地殻構造調査研究              (地震研、佐藤)【首20-2-8

        2-2 自然地震波干渉法による地殻・上部マントル構造調査研究      (地震研、佐藤)【首20-2-9

        2-3 首都圏下のプレート相互作用を考慮した地殻・上部マントル構造解析研究   (地震研、佐藤)【首20-2-10

        2-4 長時間地殻変動からみた首都圏下の地殻構造調査研究        (千葉大、伊藤)【首20-2-11

3.歴史地震等の記録の収集、整理及び再評価

3-1  地震記象の収集と解析による過去地震の調査研究                (地震研,島崎(山中委員の代理))【首20-2-12

        3-2 東北地方の地震記象を用いた首都圏の過去地震の調査研究      (東北大、海野)【首20-2-13

        3-3 国外で記録された首都圏の過去地震の記象の収集とデータベース化
                                      (地震研,島崎(地震予知総合研究振興会、松浦委員の代理))【首20-2-14

        3-4 被害記録による首都圏の歴史地震の調査研究            (地震研、都司)【首20-2-15

        3-5 液状化痕等による首都圏の古地震の調査研究            (地震研、島崎)【首20-2-16

        3-6 考古遺跡における液状化痕データの収集並びにデータベース化     (地震研、佐藤)【首20-2-17

        3-7 過去地震の類型化と長期評価の高度化に関する調査研究       (地震研、島崎)【首20-2-18

4.震源断層モデル等の構築

     4-1  強震動予測手法と地下構造モデルに関する調査研究            (地震研、纐纈)【首20-2-19

        4-2  震源断層モデルの高度化に関する調査研究                       (防災研、岩田)【首20-2-20

        4-3  強震観測研究の高度化に関する調査研究                       (防災科技研、藤原)【首20-2-21

        4-4  地盤構造モデルの高度化に関する調査研究                      (東工大、翠川)【首20-2-22

        4-5  震源断層モデル等の構築に関する共同研究                       (地震研、纐纈)【首20-2-23

A その他

平成20年度報告書の作成について                                                 (平田)【首20-2-24



配布資料一覧

20-2-1-12  新たな地震調査研究の推進について

20-2-1-34 平成21年度地震調査研究関係政府予算案などの概要について

20-2-2          平成20年度成果報告会について

20-2-3          3回首都直下地震防災・減災特別プロジェクト運営委員会議事概要(案)

20-2-4          地震研共同利用・特定共同研究の公募

20-2-5          地震計を用いた自然地震観測によるプレート構造調査

20-2-6          伊豆衝突帯の地震活動調査によるプレート構造調査研究

20-2-7          統合処理によるプレート構造調査研究及びデータ保管

20-2-8          稠密発震反射法地震探査による地殻構造調査研究

20-2-9          自然地震波干渉法による地殻・上部マントル構造調査研究

20-2-10        首都圏下のプレート相互作用を考慮した地殻・上部マントル構造解析研究   
20-2-11            長時間地殻変動からみた首都圏下の地殻構造調査研究

20-2-12        地震記象の収集と解析による過去地震の調査研究

20-2-13        東北地方の地震記象を用いた首都圏の過去地震の調査研究

20-2-14        国外で記録された首都圏の過去地震の記象の収集とデータベース化(欠番)

20-2-15        被害記録による首都圏の歴史地震の調査研究(欠番)

20-2-16        液状化痕等による首都圏の古地震の調査研究

20-2-17        考古遺跡における液状化痕データの収集並びにデータベース化

20-2-18        過去地震の類型化と長期評価の高度化に関する調査研究

20-2-19        強震動予測手法と地下構造モデルに関する調査研究

20-2-20        震源断層モデルの高度化に関する調査研究

20-2-21        強震観測研究の高度化に関する調査研究

20-2-22        地盤構造モデルの高度化に関する調査研究

20-2-23        震源断層モデル等の構築に関する共同研究
20-2-24        平成20年度報告書様式(案)            

 

出席者

(委員)

1.(研究実施機関研究者)

東京大学地震研究所                 教授     平田 直

東京大学地震研究所               特任教授     笠原敬司

東京大学地震研究所                 教授    佐藤比呂志

東京大学地震研究所                 教授     纐纈一起

東京大学地震研究所                 教授     島崎邦彦

東京大学地震研究所                准教授     都司嘉宣

    東京大学地震研究所                准教授     酒井慎一


2.(再委託先機関研究者)

防災科学技術研究所              センター長     小原一成

神奈川県温泉地学研究所            主任研究員     棚田俊收

千葉大学理学部                   教授     伊藤谷生

東北大学大学院理学研究科              教授     海野徳仁

防災科学技術研究所                研究員     先名重樹

                              (藤原委員代理)

産業技術総合研究所         活断層研究センター長     杉山雄一

東京工業大学総合理工学研究科            教授     翠川三郎

京都大学防災研究所                 助教     浅野公之

                              (岩田委員代理)

   
3.(上記以外の有識者)

(委員長)(独)海洋研究開発機構           理事             末廣 潔

地震予知総合研究振興会           センター所長       阿部勝征

北海道大学大学院理学研究院             教授      村上 亮

気象庁地震火山部地震予知情報課           課長      森滋男
東京都総務局              企画調整担当部長      鈴木省五




 (オブザーバー)

(委託元)

文部科学省研究開発局地震・防災研究課      課長補佐       梅田裕介

文部科学省研究開発局地震・防災研究課        調査員       小林道和

文部科学省研究開発局地震・防災研究課        調査員       吾妻瞬一

(プロジェクトディレクター)

東京工業大学                   教授         本藏義守

(再委託先等)

千葉大学理学部                 教授       佐藤利典

神奈川県温泉地学研究所             技師       本多亮

防災科学技術研究所              研究員       関根秀太郎

気象庁                  地震情報企画官      土井恵治  

(地震研究所・事務局)

東京大学地震研究所                     教授       佐竹健治

東京大学地震研究所                     助教       中川茂樹

東京大学地震研究所               特任研究員         佐々木俊二

東京大学地震研究所              特任研究員       楠城一嘉

東京大学地震研究所               特任研究員       石辺岳男

東京大学地震研究所              特任研究員       引間和人

東京大学地震研究所              事務長         中塚数夫

東京大学地震研究所         研究支援チーム係長     根岸恒夫



〔開会〕

1.     末廣委員長から第4回首都直下地震防災・減災特別プロジェクト運営委員会を開催する旨の発言があった.

2.     事務局から配布資料の確認があった.平田委員から資料番号20-2-1420-2-15は資料が無いこと,また,資料番号19-2-1120-2-12に修正するように依頼があった.さらに,出席者リストのうち,長谷川委員は都合により欠席,また,防災科学技術研究所の関根秀太郎氏をオブザーバーに追加するように依頼があった.

3.     末廣委員長の司会により運営委員会を進行する旨の発言があった.

4.     文部科学省・梅田オブザーバーから挨拶があった.資料20-2-1-1と資料20-2-1-2に基づき,当面10年間取り組むべき地震調査研究,「新たな地震調査研究の推進について」の位置づけについての説明があった.また,資料20-2-1-3と資料20-2-1-4 に基づいて,平成21年度地震調査研究関係政府予算案の概要に関する説明があった.また,文部科学省・小林オブザーバーから資料20-2-2に基づいて,32日に開かれる平成20年度成果報告会についての説明があった.

末廣委員長から成果報告会はワークショップ的な要素があると理解していいのかとの質問があった.これに対し,小林オブザーバーから3つのサブプロジェクトが,ひとつのプロジェクトとして連携性もなく、それぞれ独立した成果となってしまうことがないように,プロジェクト関係者の相互理解を深めるとともに,各サブプロジェクトの成果を他のサブプロジェクトが有効に活用できるための情報交換の場を設けることが目的であるとの回答があった.



〔報告〕

1.     末廣委員長から資料20-2-3の前回の議事概要(案)について,本日の会議終了までに内容を確認し,修正がある場合には事務局に連絡して頂きたいとの要請があった.

2.平田委員から資料20-2-4に基づいて,「地震研共同利用・特定共同研究の公募の登録」に関する説明があった.また,研究予算は大変厳しい状況にある.このため,来年度に行われる中間評価でよりよい成果出さなければ,このプロジェクトの財源を確保することが困難になる.学術に優れているだけでなく,地震防災に資する成果を出して頂きたいとの要請があった.また,本運営委員会における資料は電子版を収集することが伝えられ,協力の要請があった.


〔議事〕

(1)研究計画(平成20年度の進捗状況および平成21年度計画について)


1.地震計を用いた自然地震観測によるプレート構造調査

・笠原委員から資料20-2-5に基づいて,「地震計を用いた自然地震観測によるプレート構造調査」について説明があった.

 海野委員からMeSO-net独自でトリガーをかけているのか,また,得られたデータを利用する場合,連続記録とイベント記録のいずれなのかとの質問があった.これに対し,笠原委員からWINの運用の中で行っていること,また,いずれの方式でも提供できる体制にする予定であり,是非MeSO-netデータを使用して頂き,データの評価をして頂きたいとの回答があった.

 末廣委員長から耐震工学の委員にも利用して頂けるデータを提供することが,このプロジェクトでは重要になるとのコメントがあった.これに対し,笠原委員から是非連携して進めていきたいとの返答があった.

・棚田委員から資料20-2-6に基づいて,「伊豆衝突帯の地震活動調査によるプレート構造調査研究」について説明があった.

村上委員から伊豆衝突帯の地震活動は火山との関連を考慮しないと理解できない.是非とも火山との関連性を意識しながら地震の研究を進めて頂きたいとのコメントがあった.

・関根オブザーバーから資料20-2-7に基づいて,「統合処理によるプレート構造調査研究及びデータ保管」について説明があった.

森委員から相似地震の定義について質問があった.これに対し,関根オブザーバーから同じ場所で発生し,波形を比較した場合,相関係数が90数%以上のよく似た波形が複数の観測点で見られる地震を相似地震としているとの回答があった.


2.制御震源を用いた地殻構造探査

・ 佐藤委員から資料20-2-8に基づいて「稠密発震反射法地震探査による地殻構造調査研究」について,資料20-2-9に基づいて「自然地震波干渉法による地殻・上部マントル構造調査研究」について,資料20-2-10に基づいて「首都圏下のプレート相互作用を考慮した地殻・上部マントル構造解析研究」についての説明があった.

海野委員から岩手・宮城内陸地震の場合,震源断層を矩形でモデル化すると栗駒の下まで延びているが,そこでは大きな滑りや余震は発生していない.神縄・国府津断層帯が富士川河口断層帯に衝突している図は同じ状況と考えていいのかとの質問があった.これに対し,佐藤委員から短い断層をどのように評価するかを検討している最中である.重力図などによれば,現在推定されている活断層よりも長い地形・地質学的な構造が存在する.富士川河口断層帯の場合にも活断層の延長部にこういった構造が存在するが,火山噴出物に覆われているため,詳細は不明である.このため,震源のサイズを正しく評価出来ていない可能性があるとの回答があった.

これに関連して,伊藤委員から丹沢の地形は富士山と愛鷹山の噴出物で覆われているため,活断層が隠されている場所であるとのコメントがあった.

・伊藤委員と佐藤(利)オブザーバーから資料20-2-11に基づいて,「長時間地殻変動からみた首都圏下の地殻構造調査研究」についての説明があった


3.歴史地震等の記録の収集,整理及び再評価

・島崎委員(山中委員の代理)から資料20-2-12に基づいて,「地震記象の収集と解析による過去地震の調査研究」についての説明があった.

阿部委員から海溝型巨大地震と内陸型地震との関連が大変面白いが,断層のずれの動きが反対になるのがよくわからない.また,西日本との関係も議論できれば面白いとの意見があった.これに対し,島崎委員代理から以下の回答があった.プロジェクトの性格からとりあえず関東地震について説明した.現在のGPS観測から推定される応力場はやや南北圧縮であるため,1931年西埼玉地震の震源断層の走向を持つ断層から発生する地震は右横ずれになると考えられる.1931年西埼玉地震は左横ずれであるが,これは東西圧縮でなければ発生しない.関東地震が発生し東西圧縮・南北伸張場が強くなったことで,この地震が発生したというのが本報告での指摘である.

・ 海野委員から資料20-2-13に基づいて,「東北地方の地震記象を用いた首都圏の過去地震の調査研究」についての説明があった.

末廣委員長から東北大学の古い記録を用いた意欲的な研究であるとのコメントがあった.

「国外で記録された首都圏の過去地震の記象の収集とデータベース化」は,松浦委員が欠席のため割愛になった.

・島崎委員から資料20-2-16に基づいて,「液状化痕等による首都圏の古地震の調査研究」についての説明があった.

末廣委員長から重要な成果の一つであるとのコメントがあった.

都司委員から資料20-2-15に基づいて,「被害記録による首都圏の歴史地震の調査研究」についての説明があった.

末廣委員長から平成21年度の研究計画について質問があった.これに対し,都司委員から有感地震の記述がある日記に基づいて,安政江戸地震を含む被害地震が有感記録とどのような関係にあるかを調べる予定であるとの回答があった.

・佐藤委員から資料20-2-17に基づいて,「考古遺跡における液状化痕データの収集ならびにデータベース化」に関して説明があった.

・島崎委員から資料20-2-18に基づいて,「過去地震の類別化と長期評価の高度化に関する調査研究」についての説明があった.

海野委員からGutenberg-Richterの式や余震の減衰曲線から期待される頻度が求まるが,破壊領域の活動度からわかる頻度なのかとの質問があった.これに対し,島崎委員からよく見ていないが,すぐにわかることなので調べてみるとの回答があった.

平田委員から深さの推定はどのようなデータに基づいて行っているのかとの質問があった.これに対し,島崎委員から震度分布などあらゆるものに基づいて行う必要があるとの回答があった.


4.震源断層モデル等の構築

・纐纈委員から資料20-2-19に基づいて,「強震動予測手法と地下構造モデルに関する調査研究」について説明があった.

翠川委員から以下のコメントがあった.1944年東南海地震の再現計算の結果,東京は過大評価となっているとのことであるが,東京大手町の観測記録はよく見ると振り切れている.古村・中村(2006)はこの記録が振り切れていないと見なして復元しているが,振り切れたことを考慮して復元すれば観測記録の振幅は大きくなるはずなので,計算結果と観測とは調和するのではないかと思っている.

都司委員から安政東海地震と安政南海地震の大阪での記録を用いて調べている.大阪で被害が起きるのは南海地震ではなく東海地震であるとのコメントがあった.

・ 浅野委員代理から資料20-2-20に基づいて,「震源断層モデルの高度化に関する調査研究」の説明があった.

・先名委員代理から資料20-2-21に基づいて,「強震観測研究の高度化に関する調査研究」について説明があった.

・翠川委員から資料20-2-22に基づいて,「地盤構造モデルの高度化に関する調査研究」について説明があった.

・纐纈委員から資料20-2-23に基づいて,「震源断層モデル等の構築に関する共同研究」について説明があった.


[] その他

・東京都総務局鈴木委員から,自治体としての減災への取り組みの現状について説明があった.また,今日の議論・資料を今後の東京都の危機管理・減災の検討に活用したい旨の講評があった.

・平田委員から資料20-2-4に基づいて「平成20年度報告書の作成について」の説明があった.報告書の事務局締め切りは323日である.また,32日にはサブプロジェクト1から3の合同成果報告会が開催される予定となっており,ここでは専門分野外の研究者にいかに分かりやすく成果を報告するか工夫が必要であるとの発言があった.

・平田委員から資料20-2-25を用いて,2009年地球惑星科学連合大会のS221首都直下地震防災・減災特別プロジェクトの投稿状況に関する説明があった.口頭発表とポスター発表あわせて34編の申込があり,口頭3コマを確保できた.

・本蔵プロジェクトディレクターから以下のような総括があった.@当プロジェクトは順調である.A社会へどのように成果が活かせるのかを明確にする必要がある.B当サブプロジェクトが他のサブプロジェクトにどのように役立つのかを明確にする必要がある.C今後のプロジェクトから期待される成果についての目標や見通しを示す必要がある.D最終的には,もしもう一期当プロジェクトを遂行できれば,どんなことが明らかにできるのかに関して見通しを示す必要がある.

・森委員から,南関東の地震についてどのような観点で監視したらいいのか,ヒントを頂ければありがたいとの発言があった.


〔閉会〕

・末廣委員長から挨拶があり,閉会した.