議事概要

第5回(平成21年度第1回)首都直下地震防災・減災特別プロジェクト運営委員会
開催日時 平成21年9月2日(水) 13:30〜17:30
開催場所 東京大学地震研究所1号館3階 会議室

議事次第

[1] 報告

・前回議事録の確認 (事務局)【首21-1-2】

・地震防災研究課ご挨拶(地震調査研究及び概算要求,補正予算等について) (文部科学省)【首21-1-3】

・地震研共同利用・特定共同研究の公募の登録 (平田)【首21-1-4】

[2] 議事

研究計画 (平成21年度の実施計画・進捗状況)

1.地震計を用いた自然地震観測によるプレート構造調査

1-1地震計を用いた自然地震観測によるプレート構造調査 (地震研、笠原)【首21-1-5】

1-2 伊豆衝突帯の地震活動調査によるプレート構造調査研究 (温泉地学研究所 棚田)【首21-1-6】

1-3 統合処理によるプレート構造調査研究及びデータ保管 (防災科研、小原)【首21-1-7】

2.制御震源を用いた地殻構造探査

2-1 稠密発震反射法地震探査による地殻構造調査研究  (地震研、佐藤)【首21-1-8】

2-2 自然地震波干渉法による地殻・上部マントル構造調査研究 (地震研、佐藤)【首21-1-9】

2-3 首都圏下のプレート相互作用を考慮した地殻・上部マントル構造解析研究 (地震研、佐藤)【首21-1-10】

2-4 長時間地殻変動からみた首都圏下の地殻構造調査研究 (千葉大、伊藤)【首21-1-11】

3.歴史地震等の記録の収集、整理及び再評価

3-1 地震記象の収集と解析による過去地震の調査研究 (佐竹(名古屋大,山中委員代理))【首21-1-12】

3-2 東北地方の地震記象を用いた首都圏の過去地震の調査研究 (東北大、中島(海野委員代理))【首21-1-13】

3-4 被害記録による首都圏の歴史地震の調査研究 (地震研、都司)【首21-1-14】

3-5 液状化痕等による首都圏の古地震の調査研究 (地震研、佐竹)【首21-1-15 】

3-6 考古遺跡における液状化痕データの収集並びにデータベース化 (地震研、佐藤)【首21-1-16】

3-7 過去地震の類型化と長期評価の高度化に関する調査研究 (地震研、佐竹)【首21-1-17】

4.震源断層モデル等の構築

4-1 強震動予測手法と地下構造モデルに関する調査研究 (地震研、三宅(纐纈委員代理))【首21-1-18】

4-2 震源断層モデルの高度化に関する調査研究 (防災研、浅野(岩田委員代理))【首21-1-19】

4-3 強震観測研究の高度化に関する調査研究 (防災科研、藤原)【首21-1-20】

4-4 地盤構造モデルの高度化に関する調査研究 (東工大、翠川)【首21-1-21】

4-5 震源断層モデル等の構築に関する共同研究 (地震研、三宅(纐纈委員代理))【首21-1-22】

その他

地震研彙報特集号の作成について (酒井)【首21-1-23】

3月の研究集会について (平田)【首21-1-24】


配布資料一覧

首21-1-1 委員名簿・出席者リスト

首21-1-2 前回議事録案

首21-1-3 平成21年度の地震調査観測について

首21-1-4 地震研共同利用・特定共同研究の公募

首21-1-5 地震計を用いた自然地震観測によるプレート構造調査

首21-1-6 伊豆衝突帯の地震活動調査によるプレート構造調査研究

首21-1-7 統合処理によるプレート構造調査研究及びデータ保管

首21-1-8 稠密発震反射法地震探査による地殻構造調査研究

首21-1-9 自然地震波干渉法による地殻・上部マントル構造調査研究

首21-1-10 首都圏下のプレート相互作用を考慮した地殻・上部マントル構造解析研究

首21-1-11 長時間地殻変動からみた首都圏下の地殻構造調査研究

首21-1-12 地震記象の収集と解析による過去地震の調査研究

首21-1-13 東北地方の地震記象を用いた首都圏の過去地震の調査研究

首21-1-14 被害記録による首都圏の歴史地震の調査研究

首21-1-15 液状化痕等による首都圏の古地震の調査研究

首21-1-16 考古遺跡における液状化痕データの収集並びにデータベース化

首21-1-17 過去地震の類型化と長期評価の高度化に関する調査研究

首21-1-18 強震動予測手法と地下構造モデルに関する調査研究

首21-1-19 震源断層モデルの高度化に関する調査研究

首21-1-20 強震観測研究の高度化に関する調査研究

首21-1-21 地盤構造モデルの高度化に関する調査研究

首21-1-22 震源断層モデル等の構築に関する共同研究

首21-1-23 地震研彙報特集号の作成について

首21-1-24 3月の研究集会について

出席者

委員

1.研究実施機関研究者

東京大学地震研究所 教授 平田 直

東京大学地震研究所 特任教授 笠原敬司

東京大学地震研究所 教授 佐藤比呂志

東京大学地震研究所 教授 佐竹健治

東京大学地震研究所 准教授 都司嘉宣

東京大学地震研究所 准教授 酒井慎一

東京大学地震研究所 助教 三宅弘恵(纐纈委員代理)

2.再委託先機関研究者

防災科学技術研究所 センター長 小原一成

神奈川県温泉地学研究所 主任研究員 棚田俊收

千葉大学理学部 教授 佐藤利典(伊藤委員代理)

東北大学大学院理学研究科 助教 中島淳一(海野委員代理)

防災科学技術研究所 プロジェクトディレクター 藤原広行

東京工業大学総合理工学研究科 教授 翠川三郎

京都大学防災研究所 助教 浅野公之(岩田委員代理)

地震予知総合研究振興会 解析部長 松浦律子

3.上記以外の有識者

IODP 理事 末廣 潔 (委員長)

東北大学大学院理学研究科 名誉教授 長谷川 昭

地震予知総合研究振興会 センター所長 阿部勝征

北海道大学大学院理学研究院 教授 村上 亮

東京都総務局 参事 細渕順一

横浜市安全管理局危機管理 室長 荒井 守

気象庁 地震情報企画官 土井恵治 (横田委員代理)

オブザーバー

委託元

文部科学省研究開発局地震・防災研究課 課長 鈴木良典

文部科学省研究開発局地震・防災研究課 課長補佐 梅田裕介

文部科学省研究開発局地震・防災研究課 地震調査管理官 北川貞之

文部科学省研究開発局地震・防災研究課 調査員 小林道和

再委託先等

神奈川県温泉地学研究所 技師 本多亮

防災科学技術研究所 研究員 関根秀太郎

気象庁 評価解析官 舟崎 淳

気象庁 地震調査連絡係長 浦谷純平

東京都総務局 防災事業推進係長 望月武憲

横浜市安全管理局情報技術課長 橋本幸二

地震研究所・事務局

東京大学地震研究所 助教 中川茂樹

東京大学地震研究所 特任助教 楠城一嘉

東京大学地震研究所 特任研究員 石辺岳男

東京大学地震研究所 研究支援チーム係長 根岸恒夫

議事録

〔開会〕

末廣委員長から第5回首都直下地震防災・減災特別プロジェクト運営委員会を開催する旨の発言があった。

〔議事〕

報告

・事務局から配布資料、出席者の確認があった。代理出席者は中島委員代理(海野委員の代理)、三宅委員代理(纐纈委員の代理)、浅野委員代理(岩田委員の代理)、佐藤(利)委員代理(伊藤委員の代理)、土井委員代理(横田委員の代理)の5名である。また、今年度より新しく運営委員になられた方の自己紹介があった。

・末廣委員長から前回の運営委員会の議事録について確認の要請があった。

・文部科学省・鈴木オブザーバーから挨拶があった。同じく梅田オブザーバーから、資料21−1−3に基づいて、平成22年度予算概要について説明があった。

・平田委員から、資料21−1−4に基づいて共同利用研究について例年通り実施する旨の発言および説明があった。

研究計画(平成21年度の実施計画と進捗状況について)

1.地震計を用いた自然地震観測によるプレート構造調査

・笠原委員から資料21−1−5に基づいて、「地震計を用いた自然地震観測によるプレート構造調査」について説明があった。また、平田委員から現在の設置状況について補足説明があった。長谷川委員から、計400点の観測点設置を2010年度までに実施するのかという質問があった。これに対し、平田委員から4ヵ年で400点を設置する計画であったが現状からは難しいという回答があった。

末廣委員長から、現状を踏まえて400点に達しなくても成果を挙げる展望はあるのかという質問があった。平田委員がこれに対して、現在設置済みの観測網によって得られるデータからでも、東京湾北部地震の想定震源域についての基本的な構造が明らかになるという補足説明を行った。ただし、首都圏で発生するM7地震予測のためには南関東全体に設置する必要があり、今後時間がかかっても最終的に400点を設置することが出来るよう尽力したいと平田委員からコメントもあった。

・棚田委員から資料21−1−6に基づいて、「伊豆衝突帯の地震活動調査によるプレート構造調査研究」について説明があった。長谷川委員から、地震活動やトモグラフィーの結果から総合的に、断層面とフィリピン海プレートとの関係を明らかにすることができるのではないかとコメントがあった。これに対し、棚田委員から今後検討していきたいという旨の返答があった。

・小原委員から資料21−1−7に基づいて、「統合処理によるプレート構造調査研究及びデータ保管」について説明があった。

阿部委員から、地震計設置の方位推定について、設置の時に方位は決定されている筈であるので、ずれているのであればそれは他の理由によるものではないかという質問があった。これに対し、笠原委員から、付近に帯磁体があると方位が若干ずれること、設置を行う技術者のスキル等に依存するので、後から設置方位のずれについて推定する方針であるとの返答があった。

2.制御震源を用いた地殻構造探査

・佐藤(比)委員から資料21−1−8に基づいて、「稠密発震反射法地震探査による地殻構造調査研究」についての説明があった。

・引き続き、佐藤(比)委員から資料21−1−9に基づいて、「自然地震波干渉法による地殻・上部マントル構造調査研究」についての説明があった。

・引き続き、佐藤(比)委員から資料21−1−10に基づいて、「首都圏下のプレート相互作用を考慮した地殻・上部マントル構造解析研究」についての説明があった。松浦委員から、以前はフィリピン海プレートから滑らかに続いていたという結論であったが今回では不連続があるという認識でよいかという質問があった。これに対し、佐藤(比)委員から、滑らかにつなげるのは難しいので、現段階ではそのような認識であるという返答があった。

・佐藤(利)委員代理から資料21−1−11に基づいて、「長時間地殻変動からみた首都圏下の地殻構造調査研究」についての説明があった。佐藤(比)委員から、古水深の妥当性について質問があった。これに対し、佐藤(利)委員代理から、1km±200mであると聞いているという返答があった。末廣委員長から、他に既往研究があるのはでないかという質問があった。これに対し、佐藤(利)委員代理から、堆積物のデータはあるが、それらを整理して議論した既往研究については見当たらないという返答があった。

3.歴史地震等の記録の収集、整理及び再評価

・佐竹委員から資料21−1−12に基づいて、「地震記象の収集と解析による過去地震の調査研究」についての説明があった。

・中島委員代理から資料21−1−13に基づいて、「東北地方の地震記象を用いた首都圏の過去地震の調査研究」についての説明があった。平田委員から、1921年と1987年の地震は蛇紋岩化域の西縁で発生した地震であるということであるが、これらの地震の震源がスラブ内とは限らないのではという質問があった。これに対し、中島委員代理から1987年千葉県東方沖地震についてはOkada and Kasahara (1990)により調べられており、フィリピン海プレート内部で発生した地震であると考えられている。1921年茨城県南部の地震については、石橋(1975)により53kmと推定されているので、現在のジオメトリからはフィリピン海プレート内部であると考えられるとの返答があった。今後再検討したいというコメントも中島委員代理から付け加えられた。

・都司委員から、資料21−1−14に基づいて、「被害記録による首都圏の歴史地震の調査研究」についての説明があった。

平田委員から、震央位置の推定手法について質問があった。これに対し、都司委員から震度4と推定した地点の位置等からプログラムを用いて震央を決定しているという返答があった。松浦委員から元禄関東地震、安政江戸地震等で東京における震度が類似していると資料中に記載されているが、類似するものから震央を推定出来るのかという質問があった。これに対し、都司委員から、今後地震工学等の新たな知見を取り入れて改良していきたいとの返答があった。

・佐竹委員から資料21−1−15に基づいて、「液状化痕等による首都圏の古地震の調査研究」についての説明があった。

・佐藤(比)委員から、資料21−1−16に基づいて、「考古遺跡における液状化痕データの収集並びにデータベース化」について説明があった。

末廣委員長からデータベースの仕様について質問があった。これに対し、佐藤(比)委員から、今後関係者と相談する予定であること、また既存の報告書を整理してデータベース化するので仕様について修正することは可能であるという返答があった。長谷川委員から、都道府県によってデータ数に大きな相違が見られる要因について質問があった。これに対し、佐藤(比)委員から、地盤や調査密度によるものと考えられるという返答があった。

・佐竹委員から資料21−1−17に基づいて、「過去地震の類別化と長期評価の高度化に関する調査研究」についての説明があった。阿部委員から、中央防災会議による被害想定は東京湾北部に震源を持つM7.3の地震を仮定したもので、地震調査研究推進本部の長期評価における「その他の南関東で発生するM7級地震」とは仮定が異なるというコメントがあった。これに対し、佐竹委員から、それぞれ異なった仮定から算出された確率や被害想定が結び付けられている問題点を指摘したとの返答があった。

4.震源断層モデル等の構築

・末廣委員長が、翠川委員からの報告を最初に行う旨の発言があった。

・翠川委員から資料21−1−21に基づいて、「地盤構造モデルの高度化に関する調査研究」についての説明があった。

平田委員から、データ入手について質問があった。これに対し、翠川委員から、今後、笠原委員や酒井委員と相談していきたいという返答があった。

・三宅委員代理から資料21−1−18に基づいて、「強震動予測手法と地下構造モデルに関する調査研究」について説明があった。

都司委員から、三浦半島で震度が大きかった点について再現出来ているか質問があった。これに対し、三宅委員代理から、まだ十分に再現出来ていないので、今後改良していきたいという返答があった。

・浅野委員代理から資料21−1−19に基づいて、「震源断層モデルの高度化に関する調査研究」の説明があった。

・藤原委員から資料21−1−20に基づいて、「強震観測研究の高度化に関する調査研究」について説明があった。

・三宅委員代理から資料21−1−22に基づいて、「震源断層モデル等の構築に関する共同研究」について説明があった。

末廣委員長から、アウターライズの地震は深さの違いが観測に現れているかという質問があった。これに対し、三宅委員代理から、震源過程の違いが主要因であるという回答があった。

その他

・酒井委員から、資料21−1−23に基づいて、「地震研究所彙報における特集号の作成」について説明と協力要請があった。

・平田委員から、資料21−1−24に基づき、「3月に予定している南カリフォルニア地震センターと東京大学地震研究所合同のワークショップ」について説明があった。また、それぞれのグループでワークショップを開催することや学術論文を投稿し、プロジェクトの成果を挙げて欲しい旨の発言があった。

・土井委員代理から、プロジェクト全体についてのコメントがあった。非常に大きな成果が上がってくることが期待され、気象庁からの情報の高度化にもつながるので頑張っていただきたい、という激励の言葉があった。

・村上委員から、具体的な成果が上がっていることに感銘を受けた、当該地域では火山の効果も考えられるので様々な専門家を加えて解釈をしていただきたい、という要望があった。

・細渕委員から、プロジェクト全体についてコメントがあった。

・長谷川委員から、被害想定や長期評価などにおいて根拠等が曖昧な点を解決することを目的として本プロジェクトが立ち上がったというプロジェクト設立の経緯について説明があった。当初問題視された地震観測網の都市ノイズの問題などが克服され、プロジェクトとして成功する見通しがでてきたのではないかという発言があった。また、もともとの目的を念頭において今後更に研究を推進して欲しいという要望があった。

〔閉会〕

・末廣委員長から挨拶があり、閉会した。