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地震研究所 お知らせ

2007年能登半島地震の余震に関する調査研究について

2007年4月2日

  3月25日に能登半島沖で発生した地震(M6.9)の余震活動や地殻変動等を調査するため、金沢敏彦地震研究所教授を代表者とする研究チームは、文部科学省科学研究費補助金(特別研究促進費)により、「2007年能登半島の余震に関する調査研究」を行います。

1.研究課題名
 
2007年能登半島の余震に関する調査研究

2.研究チーム
 北海道大学、東北大学、東京大学、東京工業大学、新潟大学、富山大学、金沢大学、名古屋大学、京都大学、九州大学、鹿児島大学、(独)防災科学技術研究所、(独)産業技術総合研究所の研究者20名 (→ 詳細は、「研究組織」をご覧ください。)

3.研究目的
 
2007年3月25日9時42分頃に能登半島西岸付近の深さ約10kmでマグニチュード(M)6.9(暫定)の地震が発生した。この地震により石川県では最大震度6強を観測し、人的な被害に加え、家屋の全半壊、道路被害、土砂崩れ等の甚大な被害を伴った。本震の発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ型で、地殻内の浅い地震である。これまでの最大の余震は25日18時11分頃及び26日7時16分頃に発生したM5.3(暫定)の地震で、それぞれ余震域の北東端、南西端で発生している。これまで能登半島及びその周辺では1600年以降、M7を超える地震は知られていないが、能登半島西方沖では北東−南西方向に延びる長さ約20kmの南東傾斜の逆断層が確認されており、その一部が今回の地震に関連した可能性が指摘されている。
 本研究計画では、余震の精密な空間分布等を求め、今回の活動で発生した断層の正確な位置と形状を把握し、本震の性質の推定等を行う。
 なお、地震が発生した断層の位置、形状を推定するためには、測地学的手法や地震学的な手法を用いた調査が必要となる。また、今回の地震は震源域の一部が海域となり、正確な地震活動の把握は、陸域の地震観測網からだけでは困難である。そこで、海域における地震観測を含む総合的調査に行い、被害まで含めた今回の地震活動の正確な把握を行うことにより、地震発生の詳細の把握と今後の地震防災に資することを目的とする。

4.調査内容
(1)海底地震観測及び陸上臨時地震観測による余震活動調査
 
今回の地震の震源域に、多数の臨時地震観測点を設置し、余震観測を行う。また、海域の震源域には、この余震観測により、自己浮上式海底地震計を設置し、余震観測を行う。これらの観測から、余震の精密な空間分布、余震発生の時間変化、余震の発震機構解などを求め、余震活動の正確な把握、本震の性質の推定、余震分布と構造との関係等を明らかにする。
(2)GPSを用いた地殻変動調査
 陸域震源域にGPS観測点を設置し、正確な地殻変動を調査する。地震後の地殻変動の監視についての調査により、地殻内変形と広域応力場との関係を明らかにする。
(3)電磁気観測による地殻活動調査
 陸域震源域に電磁力計を設置し、電磁気観測を行う。これにより、地震活動に伴う電磁気変動を把握し、震源域の電気的構造の変化を推定する。
(4)災害調査・強震観測による強震動発生特性調査
 
地震動による構造物等の災害調査を行うとともに、余震の強震動を観測することにより、大きな地震動生成機構の解明を行う。また、これらの結果により、本震の震源過程を推定する。

5.研究組織

研究代表者
 金沢敏彦 東京大学地震研究所教授 (海底地震学) 研究統括

研究分担者
(1)海底地震観測および陸上臨時地震観測による余震活動調査
 平田直 東京大学地震研究所教授 (観測地震学) 余震観測・解析
 長谷川昭 東北大学理学研究科教授 (地震学) 余震観測・解析
 山岡耕春 名古屋大学環境学研究科教授 (地震学) 余震観測・解析
 飯尾能久 京都大学防災研究所教授 (地震学) 余震観測・解析
 清水洋 九州大学理学研究院教授 (地震学) 余震観測・解析
 宮町宏樹 鹿児島大学理学部教授 (地震学) 余震観測・解析
 平松良浩 金沢大学理学部准教授 (地震学) 余震観測・解析
 堀貞喜 防災科学技術研究所・地震研究部・総括主任研究員 (地震学) 余震観測・解析
 篠原雅尚 東京大学地震研究所准教授 (海底地震学) 余震観測・解析
(2)GPSを用いた地殻変動調査
 笠原稔 北海道大学理学研究院教授 (測地学) GPS観測・解析
 橋本学 京都大学防災研究所教授 (測地学) GPS観測・解析
 竹内章 富山大学理学部教授 (テクトニクス) GPS観測
(3)電磁気観測による地殻活動調査
 上嶋誠 東京大学地震研究所助教授 (地球電磁気学) 電磁気観測・解析
(4)災害調査・強震観測による強震動発生特性調査
 岩田知孝 京都大学防災研究所教授 (強震動地震学) 強震観測・災害調査
 壁谷澤寿海 東京大学地震研究所教授 (建築工学) 災害調査・強震観測
 山中浩明 東京工業大学総合理工学研究科准教授 (地震地盤工学) 強震観測
 吉見雅行 産業技術総合研究所・活断層研究センター・研究員 (地震工学) 強震観測
 宮島昌克 金沢大学自然科学研究科教授 (地震工学) 災害調査
 伊藤忠雄 新潟大学災害復興科学センター教授 (農業経営学) 災害調査

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