5.2 施設・設備

2006年に完成した1号館の免震構造は,2011年の東北地方太平洋沖地震での大振動に対しても,全く被害がなかったことからその有効性が証明された.2号館についても,2006年~2007年に行われた耐震改修によって,被害を最小限に抑えることができた.一方,3号館については建築基準法上は問題なかったが,本棚の固定等に不備があり,研究室によっては大きな被害が生じた.そのため,2012年に3号館から1号館に研究室を移動するための改修工事を実施し,スタッフが常時滞在する研究室を1号館と2号館に集約した.

設備・装置の新設や更新については,「地震研究所設備整備マスタープラン」を学術企画室において毎年取りまとめ,重要性の高い案件を概算要求事項として大学本部に提案している.マスタープランの作成に当たっては,東京大学の一附置研究所としての立場にとどまらず,全国共同利用研究所としての機能維持や地震火山噴火予知研究にも配慮している.

なお,設備・装置の導入後に必要となる維持費も,国立大学法人化後は特段の措置がなくなったので,研究所予算のなかから捻出せざるをえなくなった.そこで維持費の取り扱いについて,次のような原則を2005 年に定めて運用している.

(a) 維持費の総額は,研究所当初予算の10%を上限とする.
(b) 2004 年の法人化以後に外部資金で購入した設備も含めて,3000 万円以上の価格のものについて,維持費を措置する.
(c) 維持費配分基準は,導入後の経過年数をもとに段階的に調整する.
(d) 装置の有効利用の観点から,定められた年限を過ぎた設備等の維持費は原則として措置しないが,特に必要と認められた場合はその限りではない.