名前:井田 喜明
            職名:教授
            所属:火山噴火予知研究推進センター
            専門:火山物理学
 
 
 
 
 



研究内容

主な研究テーマは、マグマや火山が関係する各種の現象について、その物理モデルを 形成することである。マントルで
誕生したマグマは最初浸透流として移動するが、 岩石に対するマグマの相対運動がマグマ組成にどのような効果を及ぼ
すかを理論的に 見積もることで、海嶺に沿う系統的な組成の変化を説明できた。 リソスフェアに入ると、マグマは筒状
や割れ目状の通路を上昇してくる。 割れ目によるマグマ輸送の理論を構築して、強い張力場では貫入したマグマは 一定
の長さと幅で安定化するが、中間的か圧縮的な応力のもとでは、 割れ目はどこまでも伸びて噴火を起こすことが示され
た。 割れ目がどこまでも伸びる場合、割れ目は最終的には閉じて筒状の通路に分離する。 筒状の通路がマグマだまりの
圧力で粘性的に開閉する効果を考えると、 火山噴火が間欠的に起こることが説明できる。具体的に火山を選んで、 マグ
マの供給の仕方についてモデルを立てることも行う。 伊豆大島火山については、北西山腹の地下にマグマだまりを考え
ることによって、 最近の噴火の特性が説明できた。霧島火山では、地震波の減衰に周波数依存性の あることが観測さ
れ、薄い板状のマグマが地下に水平に分布することで説明された。 火山性微動に関する研究もなされている。長時間継
続するような単色的な微動は、 球状の流体が共振を起こしているとして説明できる。一方、伊豆大島の微動は様々な 周
波数を連続的に含んでおり、それはパルス的な励起が繰り返されていることを示す。

主要論文・著書
 

Ida, Y., Effects of the crustal stress on the growth of dikes: Conditions of intrusion and extrusion of magma, J. Geophys. Res., 104, B8, 17897--17909, 1999.

Fujita, E., and Ida, Y., Low attenuation resonance of a spherical magma chamber: Source mechanism of monotonic volcanic tremor at Asama Volcano, Japan, Geophys. Res. Lett., 26, 21, 3221--3224, 1999.

井田喜明, マグマのダイナミクスと火山噴火の予知, 地球観の新しい奔流, 73--86, 1999.

阿部勝征・井田喜明, 地震・火山, 知恵蔵, 675--685, 1999. \item 井田喜明, 火山爆発と火山災害, 月刊地球, 22, 5, 287--291, 2000.

井田喜明, 噴火現象の多様性と災害予測:有珠山噴火を例にして, 月刊地球, 22, 6, 359--368, 2000.

井田喜明, 火山噴火予知の新展開, 月刊建設, 44, 9, 4--5, 2000.