氏名山下 輝夫
職名教授
所属地球計測部門
専門数理地震学
URL http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/tyama/index.html

最終更新日 04/13 2007

研究内容

大学院生などと協力しながら、地震学の諸側面について理論的研究をおこなっている。現在は、特に,震源での破壊現象の非線形性に強い関心を持っており,この非線形性こそが地震破壊を大きく特徴づけるものだと考えている。そのため,必要な数学的手法の開発や数値シミュレーションに基づいた現象の理解を進めつつある。最近の研究課題は大きく分けて以下の二つに分類される。 (1) 非平面形状をした断層の動的破壊についての理論的研究, (2) 地下流体と震源破壊の非線形相互作用についての理論的研究。  まず (1) について説明しよう。地震にともなう破壊の大きな特徴は、高封圧下で起きるずれ破壊であるということである。これは,私たちが日常目にする破壊とは大きくことなり,破壊面形状が非常に複雑化・多重化することが特徴的である。そのため破壊面の間に複雑な非線形相互作用が生じ,このことが地震破壊を特徴づけることとなる。例えば,我々の計算では,破壊面がほんのわずか平面形状からずれるということが,破壊全体の運動を大きく支配することさえあるということが示されている。これは,物事のおおまかな見かけだけからは,その運動の仕組みの理解は難しいということを意味している。地震破壊をしっかりと理解するには,その見かけだけではなく,根底に横たわる法則性の理解が不可欠である。  また、昔から浅い地震の発生と地下に存在する流体の移動との間に何らかの関係があるらしいと考えられてきた。例えば昨年の兵庫県南部地震の発生に際しては地下水についていくつかの異常が報告されている。上の(2)において、地下の流体の移動と震源破壊の間の力学的・熱的非線形相互作用についての研究を行っている。これにより,一見多様に見える地震活動を統一的に理解することが可能となりつつある。このような研究を通じて,「震源の力学」を「震源の物理学」へと昇華させる努力を行っている。

主要論文・著書

Tada,T., and T.Yamashita, Non-hypersingular boundary integral equations for two-dimensional non-planar crack analysis, Geophys. J. Int., 130, 2, 269--282, 1997.

Yamashita, T, Pore creation due to fault slip in a fluid-permeated fault zone and its effect on seismicity, Pure Appl. Geophys., 155, 1, 625--647, 1999.

Kame,N. and T.Yamashita, A new light on arresting mechanism of dynamic earthquake faulting, Geophys. Res. Lett., 26, 13, 1997--2000, 1999.

Yamashita,T.,, Regularity and complexity of aftershock occurrence due to mechanical interactions between fault slip and fluid flow, Geophys. J. Int., 152, 1, 20--33, 2003.