1991年ピナツボ火山の噴火時に,共鳴周波数に対応する卓越周期周期225s,270sの振動が観測された.このように大気中の現象が大気自由振動を励起すると,大気音波と固体地球の共鳴が起こると予測される(図1).常時自由振動の励起振幅も詳しく解析してみると,共鳴周波における振幅が10〜20%他のモードより大きい事がわかった(図2).励起源が地表付近の大気に存在すると,この超過振幅の大きさを説明できる.
Kobayashi and Nishida[1998]の大気励起理論に基づくと励起振幅は7月をピークに5%程度年変動するはずである.実際に励起振幅を詳しく解析すると(図2),10%程度年変動が観測された.位相振幅ともに理論と調和的である.
常時自由振動現象の存在と今回の共鳴現象・年変動の発見は大気と固体地球とを1つの系として捉える事の重要性を物語る.
[1] Kanamori, H. and J.Mori, Geophys. Res. Lett., 19, 721, 1992.
[2] Kobayashi, N. and K. Nishida, Nature, 395, 357-360, 1998.
[3] Nishida, K. and N. Kobayashi, J. Geophys. Res., 104, 28741, 1999.
[4] Nishida, N., Kobayashi and Y. Fukao, Science, 287, 2244-2246, 2000.