6-4.古地震
地震発生の繰り返しの実態の解明は,地震の長期予測のために,そして地震発生の場における定常的運動及びその揺らぎの解明のためにも重要である.地震の繰り返しの間隔は数百年から数千年に及ぶ場合が多く,地質学的手法を取り入れた活断層調査,津波痕跡調査及び歴史地震調査を,各大学の研究者とともに共同して実施している.このような研究は,対象とした震源断層の物理的性質(震源の静的・動的パラメータ,破壊伝播様式,破壊強度分布等)の解明にも貢献している.
活断層の地形・地質・地球物理学的調査
単に発生時だけではなく,地震時のずれの量やその空間分布等を推定して,地震発生の繰り返しモデルの検討や,強震動予測に役立つ震源モデルの推定手法の開発等を行っている.
地質学的手法による古津波調査
津波痕跡調査により,歴史時代,先史時代の東海地震や南海地震,また十勝沖地震など,海溝型地震の発生履歴の解明を行っている.
史料地震学調査による断層モデルの推定
1854年安政伊賀上野地震,1847年善光寺地震など,地震による発生事象一件ごとの詳細位置確定,データベース化を推進し,地質・地盤情報との相互検証を行い,それらの地震の発生機構を解明している.

図1.ジオスラーサーによる丹那断層の調査(広島大学 近藤久雄撮影).

図2.バイブロコアリングによる浜名湖の津波堆積物調査(高知大学 松岡裕美撮影).

図3.十勝海岸を17世紀に襲った津波の堆積物(北海道大学 平川一臣撮影).黒土が下にあることから,津波によって剥ぎ取られた凍土層の塊が逆転して堆積したことがわかる.この土塊を黄土色の火山灰(1667年樽前)が覆っている.
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