1.所長挨拶

 

 地震研究所が果たすべき主たる使命は,地震・火山現象を主対象とし,観測固体地球科学分野を中心として先端的研究を推進し,これらの現象について新たな理解への道を切り開くことにあります.そのためには,まず適切な研究計画を設定し,研究を組織的に推進する必要がありますが,そのような努力も所内で多くの研究者の議論に基づいて行われています.また,現象の正確な理解のためには,長期にわたる多種多様な高精度なデータの取得・蓄積が必要であり,観測も世界規模のものから,きわめて局所的なものまで目的に応じたものを実施する必要があります.このためには,国内外の研究者との緊密な共同作業が不可欠であり,地震研究所は,全国共同利用研究所として,多くの関連研究者に交流の場を提供し,全国規模での共同研究の推進をはかっています.

 また,本所では,大学での地震予知研究や火山噴火予知研究の中核的機関として,全国の関連研究者と共同して予知研究を推し進めています.両者とも,2004年度からは,新たな研究計画が開始される予定ですが,同時に,この年には,それぞれの国立大学は,個別の法人へ移行するとされています.法人化後,全国連携による共同研究がどのように推進されるか不確定な面も多々ありますが,今後とも全国の関連研究者と協力しながら研究計画の推進を図りたいと思っています.

 地震研究所の教官は,大学院教育にも大きくかかわっています.本所では,多くの先端的な野外観測や室内実験が行われており,教育の途上で,このような研究活動に参加することにより,大学院生諸君は地球の「息吹」を身を持って実感できるものと思います.研究科とも協力しながら,本研究所は今後とも特色のある大学院教育を推進していきたいと思っています.

 地震・火山噴火現象とその災害軽減についての研究成果を広く国民に還元していくことは本研究所の重要な使命の一つでもあります.本所一般公開,公開講義など多様な手段を用い,社会へ情報発信につとめると同時に社会のニーズ把握につとめたいと考えています.

 

所長  山下 輝夫

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