2.沿革

 

地震研究所は,大正14年11月13日に創立された.それまで30余年にわたり日本の地震学発展に貢献した文部省震災予防調査会の研究業務は,このとき本所に引きつがれた.昭和3年6月には,東京帝国大学(当時)の構内に,本庁舎が完成し,本所は,同大学附属の研究所として,その基礎を定めたのである.

2次世界大戦の苦難の時期を経て昭和24年5月31日には,国立学校設置法が制定され,本所は東京大学附属の研究所となった.戦後の復興と共に,国内外の研究の進展にもめざましいものがあった.本所でも研究規模の増大に伴い,創立当時の庁舎は次第に手狭になり,研究活動に支障をきたすにいたったため,農学部構内に昭和45年3月に現在の庁舎が建設された.

現庁舎完成以後,本所は地震学・火山学の基礎研究を行うとともに,わが国における地震予知・火山噴火予知計画推進の一翼を担ってきた.昭和54年度には地震予知観測センターが地震予知観測情報センターへと改組され,地震予知研究に必要な観測研究の他に,全国の大学の地震予知計画に係わる観測データの集積,整理,提供等による研究も行われるようになった.

近年,全国の大学が合同で実施する集中観測や海底観測,全国微小地震観測網のデータ流通とそれに基づく各種プロジェクト研究,海底ケーブル利用による地震津波電磁気観測や,広帯域地震計による海外観測網の整備(POSEIDON計画)など,地震研究所が全国の大学機関と共同して運営しなければとうてい実現しないような大きな研究計画が立案開始されるようになり,これを担うに足る体制が地震研究所に要求されるようになった.このような状況を背景として平成6年6月,地震研究所は改組されて,東京大学附置の全国共同利用研究所となった.地震研究所は4部門,6センター・施設の組織となり,客員教授制が採用され,全国から研究協力者を集めた各種の共同研究が行われるなど,より「開かれた研究所」として新たな出発をすることになった.

平成9年4月,これまでのPOSEIDON計画の地震観測ネットワークを発展的に継承し,地球電磁気学や測地・地殻変動などの分野の総合的地球規模観測ネットワークを構築して,国内外の研究者と共同して観測研究する目的で,新たに海半球観測研究センターが発足した.

トップページへ戻る