5-5 海底地殻変動観測手法の開発

 

海底での地殻変動観測は,巨大地震の発生するプレート境界での歪・応力の状態を知る上で重要である.このためGPS-音響結合方式の海底測位システムを開発した.海底測位の実用化には高精度な海底音響トランスポンダと沿岸から数百キロメートル離れた海域でのキネマチックGPS測位が重要な開発要素である.我々は水深6,000mを超える太平洋プレート上での計測を可能とするために,斜距離にして10km以上の音響測距が可能な高精度音響トランスポンダシステム(PXP)を開発した.船からブイ式海上局を曳航して計測することによって観測船から発生する音響ノイズの低減を図っている.ブイ式海上局には,3台のGPS受信器,音響測距装置,無線LANシステムが搭載される.2001年にハワイ島沖と日本海溝の東方海上で計測した結果,15kmを超える斜距離でも音響測距できることを確認した.現状の精度は10cm程度である.

図1.GPS-音響結合方式による海底測位の概念図.GPS受信機3台と音響測距計を搭載するブイ式海上局を観測船から曳航して海底局と海上局間の距離を高精度に計測する.ブイの下側に固定するトランスジューサの位置はGPSにより求める.

図2.高精度測距用の海底音響トランスポンダ

図3.ブイ式海上局.

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