名前：岩崎貴哉
            職名：教授
            所属：地震予知情報センター
            専門：制御震源地震学
 
 
 
 
 

研究内容

日本列島は，活動縁辺域に属し，地殻活動の活発な領域である．このような場所に おける地殻構造の研究は，沈み込み帯のダイナミクスの解明を理解する上で， 極めて重要である．我々は，特に陸域において，制御震源を用いた大規模な 地殻構造探査を実施し，地殻構造とともにその地質学的・岩石学的構造まで視野に 入れた研究を行ってきた．

しかし，日本列島の構造は極めて不均質であり，単一の手法のみによる探査だけでは， その詳細を明らかにすることは難しい．現在，我々は，他分野の研究者と共同で， 新しい研究体制をつくり，多面的な構造探査を行おうとしている． 即ち，屈折・広角反射法地震探査，反射法地震探査及び高密度自然地震探査を軸とし， 構造地質学や岩石学的研究をも取り入れて，島弧地殻の形成・変形過程を多面的に 明らかにしようとしている．

その最初の実験が，東北日本弧を横断する測線で行われた．その結果， 日本海のopeningに伴う大規模な地殻の変形や，内陸地震を起こした断層の深部構造などの詳細が明らかになった．また，北海道の反射探査では，千島弧の衝突に伴って 剥離した地殻からの反射波を捉えることができた．
 

主要論文・著書

Ozel, O., Iwasaki, T., Moriya, T., Sakai, S., Maeda, T., Piao, C., Yoshii, T., Tsukada, S., Ito, A., Suzuki, M., Yamazaki, T. and Miyamachi, H., Crustal structure of central Japan and its petrological implications, Geophys. J. Int., 138, 257--274, 1999.

岩崎貴哉・加藤亘・阿部信太郎・一ノ瀬洋一郎・海野徳仁・岡田知巳・越谷信・小菅正・・佐藤比呂志・清水信之・武田哲也・津村紀子・野田憲・長谷川昭・平田直・渡邉和俊・井川猛・大口健志, 千屋断層帯における人工地震観測, 地震研究所彙報, 74, 49--62, 1999.

爆破地震動研究グループ（執筆者　岩崎貴哉）, 東北日本弧横断人工地震探査（釜石ー岩城測線）, 地震研究所彙報, 74, 63--122, 1999.

岩崎貴哉・加藤亘・阿部信太郎・海野徳仁・岡田知巳・関根秀太郎・武田哲也・田代勝也・長谷見晶子・松島健・溝上智子・宮下芳・宮町宏樹・森谷武男, 1997年東北日本横断地殻構造調査, 月刊地球（号外）, 27, 48--55, 1999.

平田直・佐藤比呂志・岩崎貴哉・蔵下英司, 反射法地震探査からみた奥羽脊梁山地の地殻構造, 月刊地球（号外）, 27, 39--43, 1999.

武田哲也・岩崎貴哉・佐藤比呂志・平田直, 東北日本屈折法探査データの反射法的処理による地殻下部不均質構造マッピングの試み, 月刊地球（号外）, 27, 56--60, 1999.

中村綾子・長谷川昭・平田直・岩崎貴哉・浜口博之, 1998年9月3日雫石の地震（M6.1）前後の地震波速度変化検出の試み, 月刊地球（号外）, 27, 167--172, 1999.

田代勝也・鈴木貞臣・松島健・宮町宏樹・岩崎貴哉・吉井敏尅・武田哲也・朴成実・酒井慎一・飯高隆・久保篤規・森谷武男・安藤誠, 人工地震による九州東部の上部地殻構造, 九州大学理学部研究報告, 20, 111--123, 1999.

岩崎貴哉, 北海道中軸部・衝突帯の形成と地殻再編過程　( 課題番号　10304033)　, 平成10-11年度科学研究費補助金（基盤(A)(2))　研究成果報告書　研究代表者　岩崎貴哉, 1--183, 2000.

 Iwasaki, T., Yoshii, T., Hirata, N. and Sato, H., New features of island arc crust inferred from seismic expeditions with controlled sources in Japan, International Workshop on Seismotectonics at the Subduction Zone -Toward the breakthrough in the next century-, Tsukuba, Japan, 29 Nov.-1 Dec., 1999, 55--72, 2000.

Sato, H., Hirata, N., Ikeda, Y. and Iwasaki, T., Geometry of active reverse faults in Northern Japan, International Workshop on Seismotectonics at the Subduction Zone -Toward the breakthrough in the next century-, Tsukuba, Japan, 29 Nov.-1 Dec., 1999, 209--215, 2000.