名前:森田 裕一
            職名:助教授
            所属:海半球観測研究センター
            専門:地震計測学
 
 
 
 


研究内容
 
 

       現在,主として観測に基づく地球のマントルや地球核の地震学的構造の研究に 従事している.現在においても,これらの地球深部構造の研究を進めるためには 観測データが不足しており,観測網の一層の充実が望まれる.私は, 各種の観測データから地球深部構造を解明する「海半球計画」に参加し, 主として広帯域地震観測を担当している.この計画では西太平洋・東アジア地域に, 沈み込むプレートの構造を解明しようとしている.このため, 定常観測点を設置すると共に,昨年からは私が中心になって中国大陸において臨時地震観測を開始した.地震波トモグラフィーの結果では, 中国大陸の下には沈み込んだプレートが横たわっているように見える. この様な臨時観測のデータからマントルの構造を解明し, 沈み込むプレートの描像を得たいと思っている.
       上記の研究と同時に,地震計測学の研究にも従事している. 上記のようなグローバルな観測を行うには,日本国内で利用する観測機材では 不都合なことが多い.例えば,開発途上国では,機材の運搬が困難で, 電力の確保も困難な場合が多い.このような場所では,通常日本で使っているような 高性能一辺倒の観測機材は使えない.そのため, 低消費電力でポータブルな観測装置を開発し,上 記のような観測に利用している. 更に,最近では新しい世代の高性能の地震計にも,大変興味を持って取り組んでいる. とりわけ,帰還回路をディジタル化した地震計は,その特性を自由に変えられるため, 観測の用途が広がり,大変有用である.現在,この実用化に取り組んでいる. 地球物理学の発展は,新しい観測機器で今までなかった観測を行い, 新たなデータを蓄積することにより実現された.従って, この様な観測機材の開発は地球物理学の分野では特に大切であると思う.

主要論文・著書

Yamamoto, M., H. Kawakatsu, S. Kaneshima, T. Mori, T. Tutui, Y. Sudo, and Y. Morita, Detection of a crack-like conduit beneath the active crater at Aso volcano, Japan, Geophys. Res. Lett., 26, 3677--3680, 1999.

M. Kikuchi, Y. Yamanaka, K. Abe and Y. Morita, Source rupture process of the Papua New Guinea earthquake of July 17, 1998 inferred from teleseismic body waves, Earth Planets Space, 51, 1319--1324, 1999.

Yamamoto, M., H. Kawakatsu, S. Kaneshima, T. Iidaka, J. Oikawa, S. Watada, Y. Morita, M. Yoshikawa, T. Hashimoto, and M. Nakabo, ASOBOI97: Aso Seismic Observation with Broadband Instruments in 1997, Bull. Earthq. Res. Inst., 74, 267--285, 1999.

 森田裕一, 地震と火山の活動を測る(山下輝夫編著「大地の躍動を見る−新しい地震・火山像」), 岩波書店, 2000.